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間章 エピローグ 来訪、そして新たなる戦いへ

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 グアム島を攻略してから、トラック泊地に寄港した第1空母機動群の各艦は錨をおろしていた。


 第1空母機動群が初陣を経験してから、一週間後。トラック諸島近海まで無事に航海を終えた大型艦が15ノットの速力で白い航跡を引いていた。


 その艦は第1空母機動群が長期航海と長期の作戦行動を遂行するために建造された大型艦だ。


 多目的支援艦[はりま]。


[ましゅう]型補給艦の艦体をベースに建造された[はりま]型多目的支援艦はわかりやすく説明すれば自衛隊が運用するクルーズ客船に近い物だ。


 海上自衛隊が運用する自衛艦である以上は自艦防衛に必要な防衛火器が装備されているだけで、後は娯楽設備と宿泊設備を重視している。もちろん、操艦要員と各種設備を運用するスタッフの居住区も充実している。


「艦長。予定通り、本日の1100(ヒトヒトマルマル)にトラック泊地に入港できます」


「設備の点検や検査、各種配置訓練でかなり時間がかかったが、問題なく、本艦が第1空母機動群と合流できた。彼らの士気の向上等は本艦にかかっている」


 艦長席で腰掛けている白髪が混じった中年の男はいかにも船乗りと言った風貌だ。


 彼が[はりま]の艦長である(せん)(どう)(じん)1等海佐。


 自衛隊の1佐にある3段階の区分のどれにも該当しない特等と呼ばれる区分だ。


 船藤は海上自衛隊出身の水上艦勤務要員では無い。彼はもともと運航会社に雇われていたベテランのクルーズ客船の船長だった。


 本艦は自衛艦の中でも特殊な任務を遂行する艦であるため、現役の海上自衛官よりもクルーズ客船勤務が長い船員の方が、都合がいいと判断されたからだ。


 これは本艦の目的は精神的ケアと肉体的負担の改善を主目的にしているからだ。そのため、自艦防衛用火器を運用する要員以外はクルーズ客船の操船等を行っていた船員たちが乗艦している。


 もちろん、幹部クラスの操艦要員は海上自衛隊幹部候補生学校で教育を受け、一般船員はその経験に応じて海曹教育課程又は海士教育課程を受けている。


 そのため、彼らの階級の呼称は特等と言う区分が付けられる。


 例えば、3等海尉であれば3等海尉特等と呼称される。





 1月上旬。日本では真冬に突入している頃だが、トラック諸島は相変わらずの気候だ。


 第1空母機動群は次期作戦のため、各艦の整備と乗員の休息、食糧や医薬品の搬入等でしばらくの間、トラック諸島で待機を命じられていた。


 今は平時とは異なり、戦時だ。


 常に艦と運用する乗組員はできる時に整備と補修、人員の休息とケアが大事だ。


 艦長室でこれまでの航海日誌とグアム島での戦闘報告書に目を通していた緒方は上に報告する報告書の作成に追われていた。


 コンコン。


 艦長室のドアからノック音がする。


「入れ」


「失礼します」


 水野が入ってきた。


「艦長。急な要件ですが、菊水総隊司令部より、緊急入電です」


「どうした?」


 緒方が作業の手を止めて、顔を上げた。


「聯合艦隊司令長官である山本五十六(やまもといそろく)大将と海軍予備役の米内光(よないみつ)(まさ)大将の両名がお忍びで本艦に非公式の視察をすると連絡が入りました」


 水野の報告に緒方は驚いたが、いつかそう言う日が来ると予感していた。


「いつ、お越しになられる?」


 緒方が問うと水野は腕時計を見て、答えた。


「後10分程で春島航空基地から離陸する陸自のEC225で本艦に着艦します」


 水野の報告に緒方は驚いた。


「随分と急だな。まあ、我々の苦労を労うのと両大将の暗殺を防ぐための防止策と言う訳か・・・」


 緒方は艦長室に設置されている艦内電話の受話器を取り、関島の個室に連絡した。


「関島1佐。これから、山本大将と米内大将が本艦に訪問する。航空管制室に連絡して、着艦許可を出しておいてくれ」


 緒方の説明に関島は2つ返事で了承した。


「副長。群司令にもこの事を伝えているのか?」


「ああ、その事なら、群司令の副官が報告に行っている」


「そうか」


 緒方はそう言うと、立ち上がり、純白の制帽を被り、艦長室を出た。





 牟田、緒方以下[あまぎ]に乗艦する幕僚たちが整列するなか、着艦したEC225のタラップを、山本と米内が降りてきた。


「ほう・・・」


「これが、未来の日本が保有する空母か・・・」


 2人は感嘆の声を上げながら、周囲を見回した。


「ようこそ、[あまぎ]へ。お会いできて光栄です」


 緒方が代表して、声をかける。


「うむ、君たち海上自衛隊の切り札と言うべき艦隊を、視察できるとは俺の方こそ光栄というべきだろうね」


 挙手の敬礼を受け答礼を返しながら、山本は上機嫌で語った。





 時間の限られた、視察であったため山本と米内は[あまぎ]だけの視察しかできなかった。


「次は[大和]と共に来る。楽しみにしていてくれたまえ。君たちの知らない[大和]だ、今度は我々が君たちを驚かせる番だ。あそこに停泊している[大和]型戦艦のライバルと言えるアメリカ海軍の戦艦[アイオワ]級以上の外交的効果のある戦艦にして見せる」


「・・・・・・」


 帰り際に山本は、悪戯っぽい微笑を浮かべてそう言った。


(たとえ、空母が海軍の中心的存在になろうと、戦艦は政治的、外交的には第一印象でインパクトを与えるか・・・)


 緒方は心の中でそうつぶやいた。


[あまぎ]に乗艦し、今も空母の操艦等を指導しているグティレスの言葉が頭に過る。


 間章エピローグをお読みいただき、ありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 本章で間章は終了しました。本間章で登場した第1空母機動群そして多目的航空母艦[あまぎ]は本間章では主役扱いでしたが、本編では単なる登場艦隊の1つであり、登場艦の1隻ですのでご了承ください。

 次回は大日本帝国海軍軍人の視点から見たこぼれ話を2話投稿し、その後、本編第4部に入ります。

 こぼれ話は1話目は戦闘で2話目は軍令部の話です。

 投稿予定は5月3日を予定しています。

 

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