EP1 Anfang/アンファング
EP1 Anfang/始まり
俺も高校二年生に成った、友達と馬鹿やったり告白して振られたり..それなりに充実した日々を過ごしていたと思う。これからもそんな毎日が続くんだと思っていた。
そんなある日、「アイツ」はやって来たんだ。
海外からの転校生だという「アイツ」は..ローランド・シュヴァイは転入早々しつこく俺に話しかけてきた。
良い奴だし、テンションが高くて俺も嫌いじゃ無い、だけど...ローと居ると、時々ここじゃない何処かで、ずっと過ごしてきた様なそんな気持ちになる...。
「おはよー!、蓮」
「おっす、ロー」
ローは良い奴だ、ただ..ちょっと俺の事に対して熱い。一種のストーカーの様だ。そして..デリカシーが無い。
「なぁなぁ、蓮」
「何だよ?」
「この間、三組の水無月さんに告白したんだろー? 」
「...さ、さぁ、どーだったかなぁ?」
声が、でかいんだよ!何なんだよ!止めてくれよ..
周りの奴等も、案の定騒ぎ出した。..はぁ
日に日に溜め息が大きくなる気がする...。
「隠す事無いだろ〜?どーだったんだよ?」
「...。ぬぉおおおおおお!」
俺は叫びながら教室を飛び出した。..これで、何回めだろう..。
「うぉい!待ってくれよ〜、蓮ー。」
「一人にしてくれよーーー!!」
俺は、全速力で逃げた。何でかって?恥ずかしいからだよ!
いつもこんな感じなんだ。だけどその日は、ちょっと違った。
廊下を駆け抜けていると、ゴロゴロと地響きの様な音が鳴り出した。
「っ!?地震か?」
急に走るのを止めたからローがぶつかってきた。
「あ、わりぃ、ロー。」
いつもなら絡んでくるんだ、いつもなら...
「? ローどうした?そんなに当たり所が悪かったのか?」
でも、ローは..言ったんだ。
「行かなきゃ。」
「は?行くって何処にだよ。...おい、ロー?」
その時のローの顔は、見たことが無いくらい真面目だった。
「っ!」
ローは走り出した。
「お、おい!何処行くんだよ!教室もどんねーと危ねえって!!」
俺はローを追いかけた。普段なら逆なんだけど...。
アイツ..何処行くってんだ?
「蓮っ!お前は来るな!!」
「来るなって、おい、ロー戻ろうぜ!」
「来るなって言ってんだろ!!お前は教室に戻るんだ!!」
あんなに本気なローは、見たことが無かった。正直ビビった。
戸惑っていると、ローは又走り出した。でも今度は速すぎて見えなかった..。ローを放っておくわけにも行かないし、俺はローを探した。...すると鐘の音が聞こえた。
「!? 鐘の音?一体どこから..」
当たりを見渡すと、廊下の端に一つの画が飾ってあった。
俺は、画に向かっていった。
「…この風景...。」
その画を見たのは初めてだった筈なのに、妙に懐かしかった。
「...時計塔。この鐘の音も..懐かしい...?」
画には中世ヨーロッパの様な街並みが描かれていた。中心にある時計塔から、鐘の音は聞こえるんだと、不思議と分かった。暫くすると鐘の音も地響きも止んだ。
「...何だったんだ、それにローも一体何処に..」
少し、考えていると。画が、俺を吸い込んだ。
訳が分からなかった。とっさに目を閉じた。
そして再び目を開けると、そこは画の中の街だった...。