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ある雨の日に  作者: tomo
9/20

第9章~子犬を拾った~

いつもの金曜日。

いつもの帰り道。

いつもの時間。



いつもの夕日こんな日々に慣れ始めた私はただその一つの道を辿った。

感情を見せないそれだけを繰り返して学校を過ごす。



いつまでも続くことの無い世界だと知っているのに同じ事のように思う。

幸せな日々がずっと続かないのと同じで。



学校から家に帰る次いでに買い物を済ませた後の出来事だった。

なんとなく下を見ながら歩いていたら、小さくて消えそうな鳴き声が聞こえる。



でも、私の耳にははっきりと聞こえる。

助けを呼んでるように聞こえる。

周りを見渡すと小さい段ボール箱に目が止まる。



ゆっくり、その箱に近付くその箱の中身をなんとなく想像しながら。



そしたら、やっぱり小さい子犬がちょこんと、箱の中で座っていた。

特徴は毛は長めでボーとしていてあどけない感じだった。

色は…汚れていたのでよくは分からない。



”誰か拾ってください。

飼えなくなりました。

優しい人だといいです。

お願いですからその子を飼ってあげて下さい“



恐らく、飼い主の拾った人へのメッセージなんだろう。



「…可哀想に君も独りなんだね独りは哀しいよね苦しいよね」


私は思わず呟く。

寒いせいかその子犬は震えていて、汚れていたので私はその子犬を家に連れて行った。



その後お風呂場で洗ってあげた。

洗ったことは無いけど、想像しながら洗ってみた。



(えっと、耳に水が入らないように洗うんだよね?え?灰色と白が混じってたの?ってことはミニチュアシュナウザーなのかな?でもやっぱり、子犬って可愛いな)



そんなことを考えながら、なんとか洗い終わったけど次は乾かさないといけない。

風邪を引かないようにタオルで子犬を優しく拭いて、暖かい風で乾くぐらいになったら少しだけ考えて横にあったドライヤーを手に取った。



(ドライヤーで良いのかな?弱なら大丈夫だよね)



頭の中で考えながら、子犬にドライヤーをゆっくり当てる。

意外と子犬は大人しくて素直に私の上で寝転んで眠そうな顔で私を見ている。

乾いたようなので、エサをあげようと台所へ向かうことにした。



子犬が眠そうなのでタオルケットを掛けてあげた。あの日の不思議な出来事を思いながら。



もちろん、家の窓は閉まっているから何処かへ行くことはまず無いだろう。

台所で何か子犬でも食べれそうな物は無いかと探していたら、ミルクとソーセージが冷蔵庫にあった。



ソーセージを子犬でも食べれそうな大きさで切って、ミルクを丁度良い温度にして子犬の所へ運んだ。

子犬は気持ち良さそうに寝息を立てて寝ている。



(撫でても…大丈夫かな?)



ソッと子犬の頭に手を乗せて撫でてみた。思った以上にふわふわしててとても暖かい。

その後は私はソッと立って自分の夕御飯を作ろうと台所に再び向かう。



暖かい物を食べようかなとなんとなくそう思ったので久しぶりにビーフシチューを作ることにした。



作り終わったので、子犬が寝ている横の机でご飯を食べることにした。

こんなにわくわくしながらご飯を作ったのは久しぶりかもしれないと僅かに私は微笑んだ。



感情を忘れかけてたのかもしれないと言うよりも自分自身の感情を消していたのかもしれない。



そして、この世界では感情なんてなにも意味がないとこの感情を消して生きてきた。

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