第5話 見てください、俺の超変s・・・
「さて、シルバは最初っからスグルに対する忠誠度MAXだったわけだから、従魔術の究極奥義ともいえる装魔を教えるよっ!!」
訓練場に行った俺を待ち構えていたレテーシャとシルバは俺に会うなり、装魔とかいうのを教えると言ってきた。なんのことなのかわからないので詳しく教えてプリーズっと行ったらレテーシャ先生による装魔のレクチャーが始まった。
「従魔との信頼関係がMAXになると装魔っていう技が使えるの。もっとも下界だとすでに失われた技術に近いらしいんで、ほとんどの従魔士は使えないみたいだけどね、信頼MAXでも。
この技は、従魔を自分の武器や防具として使う技よ。これによりお互いの能力を引き出して戦うことができるの。やり方はって聞かれても困るけど、こー従魔と心を一つにしてバーンってやればできるわよ」
おい、やり方教えるって行って、聞かれても困る上にバーンとやれってお前教える気あんのかと、小一時間問い詰めたい。
「シルバをどんな武具として装備するかをイメージしなさい。剣でも槍でも鎧でも盾でもいいわ、あなたの想像力が全てよ。ただし、一度装魔すると他の武具にはできないから気をつけなさい」
自分で想像か…うーん。個人的には防具になってもらって一心同体ってのがいいなぁ…イメージ的には特撮なんかであるような獣モチーフの戦士って感じで…っといろいろと想像をふくらませる。
「イメージ固まったら、『装魔着装』って技を発動させなさい。必ずできるって自分とシルバを信じて」
やっぱ曖昧だぞ、その教え方。だが、シルバと自分を信じるか、ダメ元でやってみよう。
「行くぞ、シルバ」
「オン!!」
「装魔着装!!」
俺とシルバが光に包まれる。そして更に俺は温かいなにかに包まれる。光が消えると、俺だけがその場に立っていた。シルバはどこに行ってしまったんだろうか?改めて、自分の体をチェックする。手が黒いぴっちりとした布地のなにかに覆われ、腕には白銀の手甲が装着されている。確認してみると体を黒いピッチリとした全身タイツのようなスーツに覆われ、そこに白銀色の手甲、グリーブ、ブレストプレート、ベルトが装着されている。あと頭にはフルフェイスのヘルメットのようなモノをかぶっており、首には紺色のマフラーが巻かれていた。
「あら、なかなかいんじゃない?ほらこんな感じ」
レテーシャが姿見を取り出すと俺は自分の全身を確認する。なんというかすごい特撮ヒーロー風の格好です。はい。頭のヘルメットは狼の頭をモチーフにしてますわ。ぶっちゃけシルバの。ちょっと鎧のデザインに中華入ってるかな?っと思いつつけっこうカッコイイんじゃないかなって思ったりする。
「ちなみに解除って念じれば解除できるわよ」
「解除」
すぐに俺とシルバに別れる。なるほど、これはあれだよな。俺が代行者としてばれない変装に使えるわ。
「装魔形態になったときは戦闘力が飛躍的に上昇するから使うとしたら切り札とかにつかいなさいよ。あと時間制限は装着してから30分。リミットを超えると強制分離するわ。その後、1時間は使えないから。ただし、いま見たいに時間途中で分離すれば使用時間はリセットされるわ」
「つまりぶっちゃけ29分59秒で解除して、また合体すればいい?」
「まぁ、そうだけど、戦いの最中にそんな悠長なこと行ってられないでしょ?もっとも、ココを出て行くときのあなたの装魔相手に30分持ちこたえられる存在が下界にいるのか知らないけど」
「了解」
とりあえず、この後装魔状態での動きなどを試した。どうやらそのまま魔法や武器は使えるようだ。せっかく変身ヒーローみたいなことができるんだ、これ専用の武器とか作りたい衝動に狩られる。
「うぉっ!!なにそれ、スグル、カッコイイ!!」
「ふっふっふっ、よし、みてろよ、ティリア」
一度装魔を解除する。
「俺の装魔をお見せしようっ!! 変身っ!!!」
変身ヒーローっぽくポーズをとって装魔する。
「神の代行者!! 神狼咆哮ハウリングブレイバー!!」
名乗りと同時に後ろでこっそり炎魔法で爆発を起こす。ノリは昭和の戦隊物だけど、やったあとにちょっと恥ずかしくなったのは秘密だ。
「おお、かっこいい!!下界ではそのノリで行くの!?」
「ああ、そのつもりだ、どうだいいだろう?」
「なかなかいいんじゃね?」
アリュアスなどの神々も集まってくる。途端に見世物になった。まぁいいか。よし、とりあえず代行者はこのノリで行こう。そう勝手に心に誓った。
午後からはいままでが戦闘系だったためか制作系の修行になった。そこで俺は下界で使う武器や今回の装魔で使う武器などの作成を依頼しつつ修行をした。武器や防具の作成や薬の作成などなど、この日から午後にこれらの技術をみっちりと鍛えられた。なぜか夜には特別授業として房中術なんかまで仕込まれた。ほんと極楽でした。ありがとうございます。
なんだかんだで数ヶ月の代行者としての訓練が終わった。今ココにはあのデブオタはいない。びっくりするくらい痩せた。
「今日お前はウジ虫を卒業して、代行者になったっ!!」
「あ、まだそのネタ使うんだ」
「今更だよね?やーめた」
ティリアは飽きっぽいのです。この数ヶ月で分かりました。うん。
「そこのゲートから下界に下りれるから。どこに降りるかはわかんないけど、さすがに海の底とかそーいうことはないから、シルバと一緒に頑張ってね」
「ランダムかよ…まぁいいや、それじゃまたな」
「とりあえず500年くらいがんばってね」
「は?」
「じゃね」
目の前のゲートじゃなくて、足元にぽっかり開いたゲートに俺とシルバは落とされた。
お読みくださってありがとうございます。
第1書は唐突ですがこれにて終了です。ぶっちゃけ飽k…いやいい加減本編に移りたくなった…反省はしてる。