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第2話 ゴッデスブートキャンプその1

「話しかけられたとき以外は口を開くな。口でクソたれる前と後に“サー”と言え。分かったか、ウジ虫!!(以下略)」

「サー!イエッサー!!」


 ――どーしてこうなった?

 ティリアに言われるまま、ジャージに着替えると食堂に向かった。食堂は普通に食堂だった。食堂では、食に関係する神が食事を用意してくれていた。神様が給仕とかしてくれるんかい!?って内心突っ込みながら朝食――卵かけご飯と焼き鮭、豆腐とワカメの味噌汁と味付け海苔――を食べた。っていうかなんで和食なんだよ?って思ったら、シェフ神様が「故郷の料理のほうがお口に合うでしょう?」って笑顔で。しかもクソうまいんでやんの。

 その後は、書物と知識の神ラディスって神様に2時間ほどセイルーン世界に付いて学んだ。歴史とかそーいうのを。なんか勝手に頭に入ってく。学生時代でもそんなことなかったのになぁ。コレもチートのひとつなんだろうか?今後のことにも係るので本能的に必死に覚えたのかもしれない。

 で、それが終わってグランドに出てティリアの元に向かったら冒頭のセリフである。どこのお約束有名映画の軍曹殿のセリフだ。


「サー!教官殿、質問がありますサー!」

「許可する」

「サー!そのセリフをどこで覚えたのでありますか?サー!」

「マブダチのアマテラスから教えてもらった映画をみたのだ」


 アマテラス様、なにしてんすか?っていうかそれ日本の映画じゃなくてアメリカの映画ですよ。そして、感化されるティリアもティリアだ。


 結局、このノリのままグランドを力尽きるまで延々と走らされる。歩こうとすると雷が落ちて無理矢理走らされる。虐待だー!!っていいたいけど、俺は所詮ウジ虫。そんな権利はないってことだ。辛いけどやめたらビリビリ辛いけどやめたらビリビリ。

 ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ……あ、いかんなんかハイになってきた。このまま倒れるまで走り続けてやる…って思ったところで意識を失った。


――知ってるおっぱいだ

 目が覚めると目の前におっきなお山が2つあった。思わず手を伸ばして揉む。その瞬間に顔面に肘が落ちてくる。いい反応だティリア。そしてどうやら俺はティリアに膝枕をされている模様。限界まで走りこんだご褒美だろうか?せっかくだから柔らかい太ももを堪能しよう。と思ったらティリアめ、いきなり立ちやがった。


「エッチなのはいけないと思うわよ、スグル」

「はっはっはっ、それくらい役得だろう?」

「起きたなら次の特訓よ、はい」


 ティリアにスコップを渡される。これってあれか、ただただ穴を掘って埋めるっていう苦行ってやつか。どうせ拒否しても強制的にやらされるんだからやってやるさ。

 ただひたすら掘る掘る掘る……自分が埋まるくらいまで掘ったら穴からでて埋める。そして、埋めたらその隣にまた穴を掘る。ティリアはそんな俺を見ながら満足そうな笑みを浮かべるが黙々と穴を掘っては埋める俺に飽きたのか、椅子に座って寝てやがる。この野郎…いや女神だから野郎は違うか。この穴掘りを夕方までやる。正直疲れた。っていうか気絶してたから昼食くってねー。腹減ったぞ、おい。

 穴掘りを終わった後、ティリアに浴室で汗を流してこいと言われて、浴室でシャワーを浴びる。シャワーなんてあるんだな。汗を流し、体を洗った後に風呂に浸かる。マジ気持ちいい…聞いた所温泉らしい。疲れが取れるわー、マジで。

 風呂から上がると夕食が用意してあった。その夕食を食べて部屋に戻り、そのままベッドへ。疲れたのでそのまま寝てしまう。こんな生活がいつまで続くんだ、デブオタおっさんにはつらすぎるぞ。


 翌日は前日より早く叩き起こされる。そのまま着替えさせられたらかなり重いズタ袋を背負わされ走らさてる。朝食までひたすら走れと言われる。なんかこんなの見たことあるわ。俺の走り方が悪いのかどんどんと疲れが溜まっていく。マジ辛いわ、これ。そんな俺の後ろを赤毛の細マッチョなイケメンが俺と同じ装備でものすごい速度で追いかけてくる。誰だあいつ?


「お前が代行者として特訓中のスグルってやつだな、俺は『戦いと炎の神』アリュアスだ。付き合うぜ、超付き合うぜ~!!楽しいよなっ!体を鍛えるのはっ!!」


 アカン、こいつ熱血体力バカだ。ホント楽しそうだよこいつ。しかし、速度が一定で安定している。この走り方を参考にしてみよう。こんな感じか?

 試行錯誤しながら走っているとだんだん慣れてきたようだ。そういえば昨日も思ったが、本来の俺はこんなに物覚えなどが早かっただろうか?


「ああ、それは私達の加護で、あなたの成長にブーストかけてるのよ」


 食事の時にティリアに聞いてみたら、普通にそう答えてくれた。まぁたしかにそーいった措置を取らないといつまで立っても訓練が終わらないもんな。37歳にしてこの物覚えのよさっ!!とか思ってたよw


「それに立った2日だけど結構お腹引っ込んだでしょ?」

「え?あ、ホントだ!?どんな魔法だよ、これ?」

「魔法ってより奇跡よね」

「女神様だもんな」


 言われて確認したら俺のデブ腹がかなり引っ込んでいた。さすがに腹筋の割れ目が見えるとかそこまでではないけど、だらしなく出ていた腹が引っ込んだのだ。今体重を測ればきっと2桁になっているだろう。もともと3桁あったしね。


 午後は魔法の練習らしい。魔法なんて現代日本に住んでいたんだ使えるはずがない。そもそも29の時に急いで童貞捨てたから(風俗だけど)30歳で魔法使いにもなれなかったんや。


「魔法は基本的にイメージです。日本からの召喚者や転生者はこの体系での魔法のイメージがとても得意だといろいろな世界の神が言ってます。ですからあなたも割りと簡単に魔法が使えるんではないでしょうか? まずは体内から手のひらに魔力を集めて、手の上に燃え盛る炎の球をイメージしてみてください」


 魔法と伝承の神ラース(これまた知的イケメン)に言われて、そのようにやってみる。魔力を集めるってのがよくわからないが手のひらに力が集まるイメージをして、それが炎の球になるようにイメージする。そうするとなにか熱いモノが体を流れて手のひらに集まってくる感じがする。そして、俺の手のひらの上に炎の玉が出現する。思ったより簡単だったので、拍子抜けする。


「おや、本当にすぐイメージ出来たようですね」


「ん~魔法ってことはこんな感じでやればいいのか?」


 俺は自分の体から魔力を発して体の周りに炎の球が複数展開するようにイメージする。マンガやアニメのワンシーンを想像して行う。イメージ通りに炎の玉が5個くらい俺の周りに浮遊する。


「ほう、飲み込みが早い上にもう同時展開まで…あそこに的を用意しましたのでぶつけてみてください」


 サブカル大国日本のヲタをナメんな。これくらいのイメージなら平気でやってやるさ。で、あの的をめがければいいのか。イメージ的には順番に連続射出。俺のイメージ通りに炎の球は順番に的にぶつかっていく。案外簡単なのか、魔法って?


「簡単にやってくれるね。魔法はだいたいこんな感じだよ。あとは魔力の練り方とかを教えれば簡単にレベルアップが出来そうだね。」

「魔力の練り方?」

「そう、それを行うことで効果を上げることができる。この訓練を毎日行うことで最大魔力量もあげることができますよ」


 なるほどなるほど。要するに1の力で魔法を使うより、魔力を練り上げて10の力にして使えばより効果はますということか…言ってみれば「今の炎はメ○ゾ○マではない、○ラじゃ!!」的なアレか。しかし、より多く集めるということは魔力の消費が増えるってことか?まぁ、牽制に使うならそのまま、威力を上げて使うなら練ってって感じに使えということか。なるほどためになる。


「練り方といってもそんなに難しくはありません。魔法をイメージする前の魔力の移動を増やすだけですからね。そうですね、スグルの世界のゲームでいうチャージみたいなイメージです。格闘ゲームでいう溜めみたいなもんです。ボタン長押しです」


 こいついきなりぶっちゃけやがったけど、なんとなくわかりやすい。つまりはこの溜めをなるだけ短時間で行えるようになれということか。ついでにどのくらいの魔力量で、どの程度の効果が現れるか把握しないといけない。そこも要訓練と言うわけか。


「魔法の試し打ちなどをしたい場合は私に言ってください。練習場を用意してありますので。スグルはなんとなくですが突拍子もない威力の魔法とか使いそうですからね」


 まぁ、そういうこともあるんじゃないかな?うん、いきなりでっかい火の球とか打ち出しそうな気はする。あと隕石落としたりとか。だって、そういう魔法を簡単にイメージできるもの。初歩っぽい魔法からちまちま試していきますかねぇ。


「あ、スグルにこの本を渡しておきます。地上の方で使われている魔法の解説書です。それにそってイメージしていけば、逸脱することもあまりないでしょう」


 最初から渡せよ。そう思いながら本を受け取りペラペラとめくって内容を確認する。結構しっかり書かれている。たぶん神パワーで地上の本をコピーしたものなんだろう。コレは寝る前とかに読めれば読んでおこう。


「そうだ、最初に一番重要な魔法というか魔法スキルを教えるのを忘れてました。亜空間倉庫ってヤツです。あなたも知識としては知っているでしょう?」


 おお、ラノベやマンガによくあるアレか。アレはぜひ覚えたい。ものすごく重要だ。なんたって荷物の持ち運びがすごく楽になる。今日で一番真剣にラースの話を聞く。その結果、亜空間倉庫は無事習得できた。早速さっきもらった本をしまう。そして出す。うん、完璧。


「もう、夕食の時間ですね、今日はこの辺にしておきましょうか。どうです、このあと食堂で軽く」


 ラースは右手でジョッキを傾けるジェスチャーをする。いいねぇ、久々に酒を飲むのも。俺は2つ返事で、一緒に食堂へ向かった。





お読みいただきありがとうございます。


現在出てきた神様まとめ


生命と太陽の女神ティリア

書物と知識の神ラディス

戦いと炎の神アリュアス

魔法と伝承の神ラース

(まだ)名も無き料理の神

(おまけ)アマテラス様


ラディスとラースは兄弟神って設定です


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