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第6話 テヘペロ!

「これより、ゲルプ隊はリアル飛行を行う」

 と、いうことで我々ゲルプ隊は実際に『飛燕』を飛ばすことになった。

 俺にとっては初である。なんか、緊張する。

「それよりも源田氏聞いてくだされ! 滋野氏はエースパイロットで上位ランカーだったでござる!」

「キモイから氏をつけるな。そんなゲームばっかりしてるクソニートの二次元がどうしたの? 所詮はただのオタクでしょ?」

 まぁ……クソニートだったのは事実ですがね……。あと加藤と俺のエスパのランキングには真ん中に500人くらいのひらきがあった。

 どうもカミカゼアタックで戦績を落としてるようで、もったいないというか、残念の一言だ。

「滋野軍曹、前にも言ったがリアルで戦闘機を落とした場合は――」

「べ、弁償ですよね」

 「わかっていればよろしい」と源田少尉は戦闘指揮室と書かれた部屋に入っていった。

「あれ? 搭乗員室じゃなくて戦闘指揮室?」

「源田氏は指揮官だから実際にはあんまり飛ばないで指揮することが多いでござる。だからこういうときはソレガシがゲルプ1で、滋野氏がゲルプ2でござる」

「把握しますた。てか源田少尉ってネットスラング話す割りに丁種の人に厳しいよな。前にオタクはキモイとか腐ってる人は人間にあらずとか……」

「色々あるんでござる。ささ、さっさといくZEYO!」



 俺たちゲルプ隊は北海道は千歳基地にいた。本来であればゲルプ隊は南西方面の航空作戦を行う第5航空師団に属していたが、源田少尉の計らいで第2航空師団の『飛燕』を借りることが出来たのだ。

 マジで感謝。ちなみに兵装は前回の戦闘と同じものが搭載されている。もしかするとスクランブルがかかるかもしれないから、ということだった。

 オラ、わくわくすっぞ!

『ゲルプ隊、離陸を許可します。民間機のフライト予定もあるので任務で定められた定時には帰還をお願いします』

 今回は電子音ではなく、肉声で通信が入った。民間機の離着陸を見てからの離陸なので暇な待機時間が多かった。しかし、もう許可はもらえたので時間まであそ、もとい訓練飛行をする。

 滑走路を滑り出した『飛燕』は抜群の加速性を発揮する。リアルでも『飛燕』の加速性は変わらない。本当にすごい加速だ。

 管制塔から指示された場所で旋回していると加藤が上がってきた。

『ゲルプ隊、こちら早期警戒機『彩雲』のスカイアイ。聞こえたら応答せよ』

『こちらゲルプ1、感度良好』

「ゲルプ2、同じく」

 どうやらスカイアイから聞こえる声は源田少尉のもののようだ。

『レーダー情報に演習空域までの情報を転送した。演習空域まで飛行せよ』

『了解』


 そこからは単純な飛行だった。

 ゲームと同じようだ。

 突風が吹くこともあるが、それもシュミレーターで体験積みだし、雲に入って画面に水滴がついて視界が悪くてもそういった天候についての訓練も完了していた。

 演習空域に到着した。想像はしていたが、何もない空間に味気なさを感じた。

 俺はそこで加藤と共にマニューバの確認や変態もとい編隊飛行の練習をしていた。

 その時に緊急通信が入った。

『こちら第712邀撃司令部、スカイアイ、聞こえるか?』

『スカイアイ。どうした?』

『不明機が領空に接近している。演習を中止して邀撃に迎え。これより不明機の位置情報を転送する』

『スカイアイ。それは承認できない。こちらは今日初フライトする新人がいる』

『心配するな。相手は2機の東京急行だ』

『しかし! 指令!? はい。わかりました……第712邀撃司令部』

『どうしたスカイアイ?』

『第5航空師団指令からスクランブル発進許可が出ました。これよりゲルプ隊は邀撃行動を行います』

『了解! 最適の健闘を』

 なんか、イベント発生!?


 しばらくスカイアイの指示通り飛行していたらレーダーに機影が映った。報告より1機多い3機編成。

『こちら日本国航空自衛軍。国籍不明機へ、貴隊はわが国の領空を侵犯しようとしている』

 相手は無視。こっちとの距離をつめる。国籍不明機を視認した。

 ロシア連邦空軍の主力無人戦闘機『Su-127』――NATOコードネーム『スクラム』が2機。水色と灰色を組み合わせた洋上迷彩が美しい。

 もう1機はすでに旧式の無人偵察機『ストロイ-P』だ。

 源田少尉が英語、ロシア語でそれぞれ警告をだすがまったくの無視。てか無人機相手に警告とか、大草原不回避ですぞ。

 どうせ人間が乗っていないのだから警告しても無駄だろうに……。まぁ形式美を重視する日本人らしいと言えばらしい。

『源田氏どうします? 落とします?』

 加藤さん……物騒ですよ……。

 でも少しロシア機と遊びたい気はした。『隼』や『飛燕』相手にバーチャルで戦っていたが、少々、マンネリ化してる。

 俺は加速して1機の『スクラム』に接近。相手は動じない。

 『飛燕』の加速性で簡単に『スクラム』に追いつく。そのまま半分のロールをして『スクラム』の真上でひっくり返る。『スクラム』の機体上部のカメラが『飛燕』を捕らえてきた。

 気分としては某アメリカの戦闘機パイロット養成学校の映画のワンシーンだ。

 『飛燕』のカメラと『スクラム』のカメラが見つめあう。

 異常接近を知らせるアラームがなる。

 しかし、バーチャルとはいえ最高積載での機体のコントロールもマスターしている。ロールしたことによる揚力の変化も完璧につかんでいる。

『ば!! おま! なにしてんの!?』『滋野氏大胆すぎぃぃぃ!!』

 『スクラム』が急に加速して『飛燕』の前方にでる。

 その瞬間、『スクラム』が消えた。ってどこいった?

 俺はロールして機体を正位置に戻す。カメラを振る。

『滋野氏! 上!!』

 上を見れば木の葉のように舞う『スクラム』がいた。失速ギリギリの行為、源田少尉のマニューバもすごかったが、こっちのほうがヤバイ。機体が分解しそうじゃないか。

 俺の『飛燕』の上に倒れこむように接近する『スクラム』。

 ぶつかる。弁償しなきゃと思った瞬間、『スクラム』は揚力を取り戻した。

 『スクラム』と『飛燕』の位置が入れ替わっていた。

『滋野! 離れろ!!』

 源田少尉の命令で俺は『スクラム』から離れる。『スクラム』も離脱していく。相手はバンクを振ってきた。俺も振り替えした。

 ま、この後、司令部の人たちに散々怒られたんだけどね……!!



「何故あんなことをした?」

 源田少尉と基地指令の大佐、第5航空師団の幹部といった人に俺は査問会を開かれていた。ドウシテコウナッタ。

「で、出来心で……」

 自分でも声が上ずっている。国際問題に発展するかも的な緊張感がある。もうあんな事はやめよう……。

「ロシア駐在武官からです」

「モニターに出せ」

 壁に埋めこまれたプロジェクターが白い壁に映像を映した。

『ロシア駐在武官の明石陸自大佐です。ロシア当局から非公式な発表で、今回の日本側の危険飛行を黙認する代わりに、今回の一件を無かったことにせよ、と言ってます』

 どうやら外交的には不問になるようだ。安心したぁ。

『また、今回接触したパイロットからメッセージが……』

「メッセージ?」

『度胸のあるやつだ。また踊ろう、と』

「だ、そうだ滋野軍曹。返事はどうする?」

「え? それは……こちらこそ、と」

 「つまらないな」と誰かがつぶやいた。なんて失礼な。


 どうやら今回のことは防衛機密となり、飛行そのものをしなかったことになった。

 そして俺は『飛燕』の性能がロシア側に露見した疑いが濃いとして減給と反省文、外出禁止エトセトラといった措置がとられた。



『いや~それにしてもあの『スクラム』はすごかったでござる』

「確かに~。雑誌にも載っていたけど、あの大型のカナードと推力変更ノズルに大型フラップとステルス性を犠牲にした前進翼……『隼』でもあんな機動はムリダナ」

『なんせ『変態飛行』が大好きなロシア空軍ですぞ。デュフフフ』

『こちらスカイアイ。ゲルプ隊私語は慎め! 任務中だ』

 今回の任務は東シナ海の哨戒作戦であり、本当は単機飛行の無人対潜哨戒機『東海』に付き添って編隊飛行の訓練をしていた。

 この間の『スクラム』との接触の時も俺の経験をつませようと源田少尉がわざわざ行ってくれたのだ。ちなみにお礼をいうと、

「べつにお前のためではない」

 と似非ツンデレ。正直可愛くはない。無理スンナBBA。

『スカイアイより各機へ。不明機が接近してきた! 警戒せよ! ゲルプ2は相手を刺激するな』

「りょ、了解しました……」

 ほどなくして俺は2度目のスクランブルを迎えた。

 相手は2機。中華人民共和国解放空軍の『J-20』だ。尾翼には赤い星、機首には孔雀の尾羽のような物が書かれている。

 俺たちはしばらく並行して飛んでいたが、何もなく中国軍機は離れていった。



 それから2週間くらいたった。俺たち『飛燕』を有するゲルプ隊は敵水上艦船に対する対艦攻撃のシュミレートと空母からの発艦と着艦ばかりやらされていた。

「源田氏~もう飽きたでござる~」

「黙れオタク! 任務を全うするのが軍人だろ!」


実際やったらプーチン激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム不回避wwwww

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