またいつか一緒に【第15話】
リレー小説(第二弾)設定・注意事項
★全40話
★一話2000文字以上
★登場人物数制限なし
★ファンタジー要素無し
★SF要素無し
★地の文は主人公視点
★重複執筆可
★ジャンルはその他
★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)
★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください
★執筆投稿後、必ず御一報ください
★あらすじは、前話までの要約を明記
★全ての物語を聖魔光闇がお気に入り登録します
★後書きに執筆著者様募集広告を添付
1話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1590t/
2話:日下部良介先生 http://ncode.syosetu.com/n2296t/
3話:ふぇにもーる先生 http://ncode.syosetu.com/n3991t/
4話:koyak http://ncode.syosetu.com/n4630t/
5話:創離先生 http://ncode.syosetu.com/n8318t/
6話:蟻塚つかっちゃん先生 http://ncode.syosetu.com/n9612t/
7話:聖魔光闇 http://ncode.syosetu.com/n1100u/
8話:伝次郎先生 http://ncode.syosetu.com/n2759u/
9話:koyak http://ncode.syosetu.com/n4425u/
10話:このはな さくら先生 http://ncode.syosetu.com/n4766u/
11話:鳩麦先生 http://ncode.syosetu.com/n8057u/
12話:ポテトバサー先生 http://ncode.syosetu.com/n1332v/
13話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n5466v/
14話:真野 優先生 http://ncode.syosetu.com/n8285v/
15話:koyak
よろしくお願い致します。
「くそっ! 出ない!」
一度悪い想像をすると連鎖してどんどん不安が広がっていく。僕は乱暴に携帯を閉じた。
単に病院内だから携帯の電源を切っているのかもしれない、と自分に言い聞かせる。
(だけど最近は携帯の使用を認める病院が増えてきていて、ここも使用可のはずだろ?)
心の声がそれを打ち消す。
なら勝俊に連絡を、と再度携帯のアドレス帳を開いていると、ふと視界に見慣れた人影が映った。
「遥……? 何だよそこにいるんじゃないか。お~い、遥~!」
しかし、その人影は僕の声など聞こえないかのように歩き去っていく。
「遥! 聞こえないのかよ!?」
慌てて車椅子の車輪をまわし、人影を追いかけた。
このままいけばもう少しで追いつく、と思っていると、その人影は廊下の左側から地下へと続く階段を下りて行った。
「あいつ、何だって地下に!?」
車椅子では階段を下ることはできない。近くにエレベーターがないか見まわそうとしたそのとき。
ドンっと車椅子ごと揺さぶられる衝撃と共に、僕は大きくバランスを崩した。
フラッシュバックするあのときの光景。
煙草煙草と連呼する優の声。
それにキレる来栖の声。
僕の背後に立つ酔っ払いのオッサン。
背中に衝撃。
警笛を鳴らしながらプラットフォームに入ってくる電車。
右半身に焼けつくような痛み。
「うあああああああああああああああああああっ!!」
自分自身の叫び声で一瞬だけ我に返った僕の視界に映ったのは、じっとこちらを見下ろす、ここにはいるはずのない人物の顔だった。
(八草……!?)
全身に激しい衝撃。階段から転落し、車椅子から投げ出された僕の意識はそこで途切れた。
・
・
・
「よお、こんな所で寝てると風邪を引くことすらできなくなるぞ」
記憶のどこかに僅かながら引っかかる中年の男の声で僕は目をあけた。
ゆらゆらと陽炎のようにゆらめく周囲。背中には硬い感触。
「ここは……」
ベッドの上? 違う。
病院の床? 違う。
駅構内のタイル? 違う。
僕は石畳の上に横たわっていた。ふと思い出す。この石畳。ここは、
「もしかして、あのときの伊勢神宮!?」
「やっとお目覚めか。いや、目覚めるってのはちょっと間違っているかな」
声の主である男はゴミ箱をあさりながら更に語りかけてくる。
この人は、まさか、あのときの浮浪者、なのだろうか。
黒崎さんの話では名前は石谷健人。五年前に死んでいるはずの男。
「何だよ、今更化けて出てあのときの恨みを晴らそうっていうのか?」
状況を把握できない不安をごまかすように強気に問いかけてみる。
一瞬きょとんとした顔を浮かべた後、石谷は若干神経質な声で大笑いし始めた。
「ひっはっはっはっはあ! いやあ、"こっち"にきてからこんなに笑ったのは初めてだ。
確かにお前らのことは恨んでいるさ。ぶち殺してやりたいくらいにな。
だけどな、ガキにはわからんだろうが、その程度のことはそれなりに生きていりゃ……いくらでもあるんだよ」
いくらでも、ある?
「そうだ。いくらでも、だ。化けて出るくらいは何度もやったさ。
だけど、どいつもこいつも驚くどころか気づきもしやがらねぇ。
呪いなんかをかけてやろうとも思ったがやり方なんてサッパリわからねぇ。
この歳になって実体験でもって学習させてもらったよ。
『どうあがいても"死人"には何もできない』ってな。死人に口なしとはよく言ったもんだ」
「……」
「ところで、いつまで寝転がってんだ? いい加減、立てよ」
立てと言われても生憎こんな身体なもんでね、と憎まれ口をたたこうと立ちあがる。
立ち……あがる!?
「え……足が動く!?」
「そろそろそのユル~い頭でも理解できたか? ここは現実じゃないってことをよ」
「僕は、死んだのか? オッサンがお迎えなのか? どうせなら綺麗なお姉さんがよかったんだけど」
「はっ、意外と元気じゃないか。誠に残念ながら、まだお前は死んじゃいないよ。
お前が"こっち"にくるのはまだ早い。"こっち"にくるのは、そうだな……」
石谷は顔を歪ませながら、こう告げた。
「もっともっと、苦しんでからにしてくれや。なあに、死ぬなんていつでもできる。
折角なんだからもう少し生きておけ。
死んでからわかったけどな、生きてるってのはそれだけで凄ぇことだぞ。
何でもできると言っても過言じゃない。
どんな優しいことも、どんなでけえことも、その気になりゃ多分できる。
そんでもって……どんな"恐ろしいこと"も、な」
石谷はそう言いながらゴミ箱の中から何かを掴みだした。
それは石だった。恐らくは、僕達があのときに投げつけた石。
「そろそろ行けよ。俺はここからもう少し、お前が地べたを這いつくばる様を眺めてやる」
それまでののろのろとした動きからは想像もできないような速さで掴んだ石を投げつけてくる。
避ける間もなくそれは僕の額に命中し、僕はまたバランスを崩して一歩後ろに下がった。
一歩後ろには、さっきまであったはずの石畳が消失していた。
転落する僕の身体。僕はこれから先、あと何度転がり落ちればいいのだろうか?
・
・
・
再び目をあけたとき、そこはベッドの上だった。
存在しない右腕。動かない両足。皮肉にもそのことが僕に教えてくれた。
ああ、ここは……現実だ。
「智哉、目を覚ましたのね!? ああ、良かった!」
涙を流しながら抱きついてきたのは残念ながら遥ではなく、母親だった。
「母さん……痛っ」
上半身を起こそうとしたとき、額にチクリと痛みがはしった。思わず額をおさえる。
丁度石谷に石をぶつけられたところ。
あの伊勢神宮や石谷と話をしたのは幻か何かだったのだろうか。それとも。
「お医者様はそのうち消えると仰っていたけど、ちょっと傷になってしまっているわね。
智哉。貴方は階段から落ちて頭を打って意識不明だったのよ。目を覚ましてくれて本当に良かった」
意識不明。僕はどのくらい意識を失っていたのだろう?
ここはやはり中央病院なのだろうか? 遥や勝俊、来栖はどうしたのだろうか?
母親にそれらを尋ねてみるのが、何故かためらわれた。
(続く)
これはリレー小説です。
リレー小説とは、複数の筆者による合同執筆(合作)を言います。
御参加頂ける方は 聖魔光闇先生までメッセージにて、ご一報ください。
参加していただける方は、再度メッセージにて、正式に依頼させていただきます。
その後、投稿後にもう一度ご連絡いただきますよう、お願いいたします。
現在、18話以降の執筆担当著者様を、募集しております。皆様のご参加、心よりお待ちしております。