夜の電車
カランコロン。
そんな音を立てて夜の電車は走ります。
誰かが飲んだビールの缶が、左右の壁に当たり、音を立てて動きます。
酔っ払ったおじさんに、塾帰りの子供や、仕事帰りのサラリーマン。みんな椅子に座り、静かに下を向いている。
毎日、夜の電車ではいろんなことが起こるの。
昨日は傷害事件が起きた。一昨日は不良たちの取っ組み合いがあった。日に日にましてひどくなっている。
今日は何が起こるのだろう。傷害事件の次は殺人事件かな。それともテロでも起きるかな。
何が起こるかわからない、出口のない密室で私は小さく鼻歌を歌う。
そういえば電車では心霊現象が起きるんだっけ? ああ、一度見てみたいな。
お隣の車両で大きな音が鳴った。何かが叩かれたような音や、ぶつかった音。恐らくケンカだろうとすぐにわかった。
だけど私はそれを止めないし、見に行こうともしない。何が起こるかなんて大体検討が付くから。酔っ払いが誰かとぶつかって、取っ組み合いになって、殴ったりしているんだと思う。
私には関係はないけど、とっても迷惑。明日の予習が出来ないから。あ、今日になってるかもしれない。
集中できなければ静かにしてもらえばいい。私は片手に水が少し滴る傘と、たくさんの本が入った鞄を持って隣の車両に行く。そこではやっぱり予想していた光景があって、思わず呆れてしまう。
鞄を肩に背負いなおして、彼らに歩いていく。車両には誰もいなくて、二人だけが殴りあいをしている。多分巻き込まれたくなくて、他の車両に行ったか、もともといなかったか。
「ねぇおじさん」
私が話しかけても全く気付かない。壁にぶつかって、蹴り飛ばして、鞄で頭を殴って、それでもやめずにやり続ける。一人が私に気付いたけど、全く相手にしない。
「うるさいからさー静かにしてくれないかなっ」
持っていた傘をその一人の心臓目掛けて突き刺す。私の傘を先が細いし、勢いもつけているから、簡単に突き抜ける。もう一人から悲鳴が上がって、床に倒れこんだ。
傘を抜くと、透明のビニール傘の先が赤く染まった。ばたりと目を見開いたまま倒れて、どくどくと血を流し続ける。あーあ、汚れちゃった。
「ぅ、うわぁぁあぁっっ!」
「ほら、君もうるさいよ」
そのまま傘を倒れこんだ男に突き刺す。今度は少し突っかかったけど、貫通しちゃったな。うるさい悲鳴だけを残して、死体に重なる死体。
これで静かになった。私はその車両の近くの椅子に座り、教科書を開く。
夜の電車は何が起こるかわからない。
なーんか出来てしまった一品。
雑でごめん。初のホラーなの←
あんまり怖くないケド、、、