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この剣は、貴方のために  作者: 凪砂 いる
第九章 怨嗟への審判

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37.女王の怒り

 会議室の重厚な扉が開かれ、女王レナータ、続いて王太子フレン、神官長セシリオ、騎士団長ヴァレリオが会議室へ入室する。

 

 会議室には、所々に設置された魔法灯の光だけがゆらゆらと輝き、照らしている。

 中央に設置された楕円形のテーブルには、既に集められた貴族である魔導師会幹部が数名、騎士団、神殿の神官からも数名が集められていた。

 

 女王の席の左右にはフレンとヴァレリオが控え、女王の正面向かいにはセシリオが立つ。

 そしてゆっくりとレナータ女王が入室する。その足音は、重厚だった。


 レナータが席につき、手にした杖をコツッ……とつき、揺るぎない強い声で告げる。その目は揺るぎなく、奥に炎のようなものをたたえていた。

 

 「……まず、今回の神殿の崩落で命が失われなかったことに感謝します」

 

 一息ついて、冷徹な口調で言葉を続ける。


 「しかし――それで罪が消えることは、決してありません。……始めましょう。ブラゼッティ家と、その罪を問う会議を!」


 レナータはフレンの方を見て、口を開く。

 「王太子フレン、今回の件について、報告を」


 フレンが一歩前に出て、震えているが、冷静に声を上げる。

 「王太子フレン・デ・ヴァローツァです。――今回の神殿崩壊および王太子妃候補ルエリア・アルデンツィに対する一連の被害について、私が事実のみ報告します」

 

 彼は淡々と、しかし重い口調で話を続ける。


 「ルエリアは、王太子妃教育開始以降、複数回にわたり精神的・肉体的な被害を受けていました」

 

 周囲を見渡し、正面を向く。

 

 「加害者は、ブラゼッティ家令嬢アミティエ。内容は――侮辱、孤立化、魔力を用いた威圧行為、そして身体への直接的な暴力です」

 

 セシリオの方を一瞬見つめ、話を続ける。


 「本日、神殿・祈りの間において、アミティエ嬢は無断で侵入し、魔力を暴走させました。――結果として、神殿結界の一部が破壊され、騎士フラヴィオ・アルデンツィが二度にわたり致命傷を負っています」


 フレンの視線がすっと鋭くなる。


 「これは、個人間の感情的対立ではありません。王妃候補への攻撃は王家への敵対行為であり、光の神殿への攻撃は――信仰と、王国秩序への反逆です」


 彼はちらりと魔術師会の幹部たちを見やる。

 幹部たちは刺すような視線に次々と目を逸らす。

 「――なお、アミティエ嬢の魔力には通常ではありえない増幅の痕跡が確認されています。これは――彼女ひとりの制御能力を超えたものです」


 そして、フレンは正面を見て低い声で続ける。


 「私は……王太子として、そして――ルエリアの婚約者として、この件を看過できません。以上が、私が確認し責任を持って報告できる全てです」


 彼は自分の席に戻る時、レナータをちらりと見て最後に一言。


 「陛下――裁きは、王国の名のもとに」

 レナータは頷く。


 魔術師会の幹部が一瞬ざわめく。


 続けて神官長セシリオが口を開く。

 「今回の神殿崩壊に伴い、魔力の痕跡を確認しましたところ、アミティエ嬢個人の制御を遥かに超えた、何者かによって魔力が増幅され誘導されていた形跡がありました。……今回の件、誰かが彼女を『煽った』それは明白です」

 

 レナータは魔導師会の幹部たちを静かに見つめる。


 その時、会議室の扉が開かれ、騎士に挟まれ魔導師会会長、ドミヌス・ブラゼッティが入室してきた。彼は黒い封印魔法で鎖のように拘束されており、その表情は青ざめていた。


 レナータはドミヌスを冷徹な目で貫き、告げる。

 「今回の王太子候補への攻撃、娘への魔力干渉の隠蔽、そして引き起こした神殿の崩壊、これは国家への敵対、秩序への反逆です――どういうことか、説明なさい、ブラゼッティ卿」


 会議室内の空気がぴんと張り詰める。

 ドミヌスの目には焦りの色が浮かび、血走ったまま見開かれている。

 そして、彼は絞り出すように呟く。

 

 「私は……ブラゼッティ家当主として当然のことをしたまでです。……どこぞの騎士の娘に王太子妃の座を奪われてはなりませんからね……! 傷ついた娘の邪魔をする者を排除しようとした……それだけですよ」


 レナータとフレン、ヴァレリオの顔が歪む。


 レナータが氷のような冷たい視線でドミヌスを刺す。

 「その結果、王太子妃候補とその兄を殺害しかけ、神殿を崩壊させた、と?」

 レナータの指摘にドミヌスは言葉を失い、視線はソワソワとどこか泳いでいた。

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