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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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111/111

111.エピローグ

「3……2……1……」


 バーン!!

 クラッカー替わりの色とりどりの魔法が空へと放たれる。


「皆の者! モフモフパーク開園だぁああ!」


 双頭ダンジョン、上層43層、湖畔エリア。


 たくさんの探索者達が列を作り、順序良くモフモフパークに入場していく。


「うぉおおお! クガよ! すごい人だ! こんなに来てくれるとは……!」


「そうだな……ひとまず一安心だな」


 パーク中央にそびえたつモフモフキャッスルの最上階の5F。

 その一室からアリシアとクガはモフモフパーク開園の様子を確認していた。


 日本ダンジョンのラスボスとなったアリシアであったが、無事にモフモフパークの開園にこぎつけていた。

 アリシアは商魂たくましく、モフモフパークの宣伝文句に〝ラスボスに会える〟を付け加えているのであった。


「さぁ、クガよ! 始めるぞ!」


「ん……? 何を……?」


「何って決まっているだろ?」


「……?」


「配信だ!」


 そう言って、アリシアはにやりと笑う。


「皆の者ー! 今日はモフモフパークに来ているかなー?」


【お、配信始まったぞ!】

【都合があっていけなかったから嬉しい】

【自宅警備中でいけなかったから嬉しい】


「ふむ……よかろう、よかろう。来れなかった人も楽しめるよう配信もお届けしていくぞ! なにしろ今日はモフモフパーク開園という特別な日だ! ゆえに、今日は従業員が全員、参加しているぞ!」


 アリシアは後方に向かって、手を広げる。


 そこには、人狼のグレイ、妖狐、柴犬コボルト隊隊長のワワンオ、そしてクガが立っていた。

 グレイは少し恥ずかしそうに佇んでおり、妖狐はニコニコしながら手を振っている。

 ワワンオは敬礼し、クガは棒立ちだ。


【うぉおおおおお!】

【全員揃い踏みかぁああ!】

【今からでも行くか】


「あ、ちなみにケルベロスとかヘビオくんは自分の配置についてるからここにはいないけど、ちゃんと全員いるからな! そしてそして、今日は超特別ゲストにも来てもらっているぞ!」


【ん……? 誰だ?】

【ざわ……ざわ……】


 ドローンが画角外に待機していた女性を映し出す。


「ど、どうもこんにちはです……」


 可愛らしい声のその女性はぺこりと頭を下げる。

 それは牛の頭を持つ大柄の女性であった。


【うぉおおお! ミノちゃん!!】

【ミノちゃーん、こっち向いてーー!】

【ミノちゃーん、ゴーレムくじの調子はどうですかー!?】


「おい、お前ら、私の一番の友人でもあるミノちゃんに無礼をするでないぞ!」


「ヴァ、吸血鬼ちゃ……いや……吸血鬼さん……」


「む……? どうしたのだ? ミノちゃん」


「え……だって、吸血鬼ちゃ……いや……吸血鬼さん……ラスボスになったんでしょ? ラスボス様にちゃん呼びなんて……あ……吸血鬼さま……の方がいいかな……」


「っっっ……!」


 アリシアはミノタウロスにそう言われ、ショックを受けた顔をする。

 そして……、


「うっ……うっ……ミノちゃん……そんな……私は悲しい……」


 突然、さめざめと泣きだす。


「あぁ……あぁ……ごめんなさい……吸血鬼ちゃ……いや……吸血鬼さま」


 ミノタウロスはアリシアのその姿を見て、うろたえる。


「いや、ミノタウロス、こんな奴……今まで通り吸血鬼ちゃんで大丈夫でしょ。なんなら呼び捨てでも問題なし」


 傍で見ていたグレイが呆れたように言う。


「え……? ほ、本当に大丈夫でしょうか」


「大丈夫だ! 問題ない!」


 アリシアは必死の形相である。


「う、うん……わかった……じゃ、じゃあ、吸血鬼ちゃ……ん」


「はわぁああ」


 アリシアの表情はパーッと晴れる。


「このラスボスさん、情緒不安定過ぎ☆」


「ワワンオ!」


 妖狐が苦笑いし、ワワンオが敬礼する。


 そうこうしていると……、


「つ、着きましたぁあああああ!」


 何者かが部屋にダイブ入室してくる。


【ん……? 今度は何事だ?】

【おや、この姿は……】


 その人物はボブスタイルの黒髪に明るい瞳、やや童顔で背は160センチくらい。深緑の制服のような衣装を身にまとった少女であった。


「く、クシナ……!?」


 アリシアがその少女の名を呼ぶ。

 彼女はクマゼミの再生士クシナである。

 と……、


「一番乗りですか!? 一番乗りですよね!?」


 クシナはくわっとした表情でそんなことを確認する。


「あ、あぁ……」


「やったぁあああああ! モフモフパークRTA、大成功です!」


「あ、RTA……?」


【RTA:リアルタイムアタックのことだな】

【ゲームとかでクリアまでのタイムを競ったりすることですな】


「ほ、ほう……」


 アリシアが唖然としていると、


「あ、どうもー、アリシアさん、お邪魔しまーす」


 クシナに続いて、付与術師のミカリが現れる。

 その後ろには、聖女のユリアと剣聖のセラもいる。

 要するに四人そろって、クマゼミのメンバーである。


「あ、えーと……」


 アリシアがあたふたしていると、ミカリが説明をしてくれる。


「クシナがね、5Fのミーティングスペースに絶対一番乗りしたいって。それで開園早々、全力でここまで駆け抜けてきたのよ」


「おぉ……!」


 今、アリシアらがいるモフモフキャッスルの最上階の5Fは、ミーティングスペースである。

 通常であれば、この5Fでは、アリシア、グレイ、妖狐、クガの四人のうちのいずれかに会うことができるというアクティビティである。


「クシナは、前回のプロモーション配信の時も4Fのモフモフ地獄で力尽きてここに到達できなかったでしょ? そんなこともあり、記念すべき第一号到達者になりたかったみたいね」


「うぉおおおお! 成し遂げてやりましたよ! あやうく今回もモフモフ地獄の餌食になりかけましたが、鋼の心で乗り越えました!」


 クシナは達成感に満ち溢れている。


「お、おめでとうぉ」


 クシナの並々ならぬ熱意に、アリシアは若干、たじたじとしている。

 と……、


「アリシアさん、クガ。モフモフパーク開園、おめでとうございます」


 鼻息を荒くしているクシナを横目に、セラが祝福の言葉を送ってくれる。


「「あ、ありがとう……」」


 普通に祝福されたクガとアリシアはシンクロしてしまう。

 少し気恥ずかしかったのか互いに顔を見合わせる。


「……おめでとう」


「「っ……!?」」


 そんな二人をじとっとした目で凝視しながらも、ユリアが祝意を伝えてくれる。


【アイエ:僕からもおめでとう(¥10000)】


「っ……! あ、アイエもん……!」


 それはアイエからのコメントでのお祝いであった。


「おー、アイエもん、お祝いありがとうー! クガよ、これは支援金付きのコメントというやつだよな? いちまんえんが付けられているようだが、大丈夫か?」


「ん、まぁ、そうだな……一万円は小さくはない額だが、今日のような特別な日は、有難く頂戴しても問題ない額だな……」


【アイエ:お(¥10000)】

【アイエ:め(¥10000)】

【アイエ:で(¥10000)】

【アイエ:と(¥10000)】

【アイエ:う(¥10000)】

【アイエ:ご(¥1000000)】

【アイエ:ざ(¥10000)】

【アイエ:い(¥10000)】

【アイエ:ま(¥10000)】

【アイエ:す(¥10000)】


 アイエは細切れに何度もコメントし、そのたびに支援金を投下する。


【草】

【計10回コメントしてるから10万円かな?】

【ん……? あれ……どさくさに紛れて……いや、なんでもない】


 と、その時であった。


 プルルルル! プルルルル!


「ん……?」


 アリシアがどこからともなく電話のようなものを取り出し、そして出る。


「あぁ、あぁ……まぁ、そういうことだよな……全く……こんな時に……」


 電話で会話するアリシアは露骨にテンションが下がっていく。


「あぁ、わかった。連絡ありがとう」


 そうして、アリシアは電話を切る。


「アリシア……ひょっとして……」


 クガは恐る恐る尋ねる。


「あぁ、セシルから通達だ。ラスボスの部屋に挑戦者が来るようだ」


「……そうか」


「なんたって、こんな時にぃいいい!」


 アリシアは憤慨する。


「だが、行くのだろう?」


「まぁな、ラスボスたる者の務めだからな」


【吸血鬼さん、がんばー】

【ボコボコにしたってください】

【さっさとやっつけて、戻ってきてください!】


「わかった。すまないな、リスナーの皆! 行くぞ、クガ……!」


「あぁ……」


 そうして、クガとアリシアはワープする。


 ラスボス部屋に到着し、しばらくすると挑戦者らしき四人組が扉を開けて、現れる。


 そして……、


「OH! Beatiful Vampire!」


「ぬ?」


 テンション高めの挑戦者にアリシアは少々、怪訝な顔をする。

 挑戦者達は堀の深い顔立ちをしていた。


【海外勢か】

【あの一件以来、ちょっと増えたよな】

【そりゃ、世界で初めて発覚したラスボスだしな】


「異国者か……」


「クガよ、やすやすとラスボスに挑戦できないように、バグ通路の前にも守護ゴーレムを配置した方がいいだろうか?」


「そうだな、それも検討した方がいいかもな……」


「ん……? しかし、君がサナダ虫を倒してしまって、守護ゴーレム専門店はどうなっているのだろうな?」


「それなんだが、ミノタウロスに少し聞いてみたら、どうやらお店は開いているらしい。それと、赤と白の服を着た女性の店員になってるらしい……」


「ほほう……なるほどな……」


 アリシアは少しにやりとする。


「しかし……全く……今日は大事な開園日だというのに……」


 ぶつくさと言いながら、アリシアはその両翼を広げ、


「ラスボスとは……大忙しだな! 今日は最初から出血大サービスだ!」


 夥しい数の血の紅石を撒き散らす。


「Oh my goodness……Oh my goodneeeeeess……!」


 その神々しい姿に、挑戦者達は己の愚かさを知るのみである。


「さて、クガよ。モフモフパークに戻るぞ!」


「……あ、あぁ……」


【すげぇ……】

【あまりにあっけねえ……】

【なんかこの挑戦者もどこぞの国のダンジョンじゃ、そこそこ名の知れたパーティだったみたいだぞ】

【しかもさらにクガもいるんだぞ?】

【こんな二人、勝てるわけがねえ】


 地球に突如、ダンジョンが出現し、魔物や魔法、ジョブの存在が確認され、早五〇年。

 近年、一度きりではあるものの自動蘇生できる魔法〝リライブ〟が一般化したことで、ダンジョン探索、そしてダンジョン配信が急激に流行する。

 そんなダンジョンにおいて、〝戻らずの隠し部屋〟……改め〝戻らずのラスボス部屋〟いつしかそう呼称されていたその部屋からは、過去に誰一人、ダンジョンに戻れたものはいない。全員が一度きりの蘇生魔法(リライブ)を消費し、ダンジョンから退いた。その元凶たる魔物は……美しき吸血鬼。


 そんな吸血鬼には一つ曰くがある。


 吸血鬼は堕ちた勇者と共に立つ。


これにてWEB版、完結です。


本作は小説がガガガ文庫から3巻<完結>、コミカライズがマンガワンから3巻まで発売中です。


書籍版は内容に少し差分があります。

特に結末(小説3巻)がかなり違いますので、もしよかったら読んでみてくださいね!

コミカライズ版は、可愛い絵で、ちょっと叡智になっております。正直、読んだ方がいいです!

特にコミカライズは連載中ですので、応援いただけると嬉しいです。

(この下にある広告の下にamazonのリンク貼っておきます)


また、もしよければ

『【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜』

という作品もよろしくお願いします。


https://ncode.syosetu.com/n8282li/


こちらも下の方に直接リンクも貼っておきます。


なにはともあれ、ここまでお読みいただき有難うございました!

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【小説】
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【コミカライズ】
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【作者新作】
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