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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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105.リベンジャーズ

 ユリア、クシナによるモフモフパークのプロモーション配信が行われた三日後のこと。


「にゃー、にゃー、にゃー」


【ん……?】

【なんか始まったぞ?】

【猫の鳴き声?】


 予告なしにクガとアリシアの配信が始まる。


「あ、どうも、アリシアです」


 ドローンは画角一杯にどアップのアリシアを映し出す。


【おー、吸血鬼さん】

【なんかちょっと久しぶり】

【やっぱこれよ】

【ところでなんで猫の鳴き声?】


「ふふふ、実はな、今、私は人間界にいるぞ!」


【な、なんですと!?】

【いつの間に!!】

【また来てくれてたのか!】


「そしてな、今日は、ここ! 猫カフェなるところに来ているのだ!」


 ドローンの画角が広がり、アリシアの背景を映し出す。

 そこは綺麗な佇まいの空間で、たくさんの猫達が自由気ままに寛いでいた。

 あと、クガがいた。


【おぉおお! 猫カフェか!】

【猫かわいいいいいいいいいい】

【そっちのモフモフもありだよな】

【ぬ? 他にお客さんいなそうだから、貸し切りかな?】

【でもなんで猫カフェに?】


「それはずばり、モフモフパークをより良いエンターテイメント施設にするためだ。人間界のそういった施設を視察して、良いところを取り入れようと思ってな! 人間界ではそういうことを研修(?)と呼ぶらしいな」


【研修!?】

【吸血鬼さん、勉強熱心だな】

【想像以上にモフモフパークに本気だ】


「それで、私はクガに亀カフェにまた行きたいと言ったのだ。そうしたら、あそこはちょっと特殊過ぎると言われた。それで、もっとスタンダードなところがあると教えてくれたのだ!」


【確かにあそこはちょっとマニアックだな】

【いやまぁ、そうだけども……】

【クガが猫カフェ来たかっただけ説】


「ちなみに本日もゲストがいます! この猫カフェを紹介してくれて、貸し切り手配までしてくれた~……」


「あ、出るタイミング、今? あ、はい」


 そそくさと二人の人物が画角に入ってくる。


「どうも~~、クマゼミのミカリでーす」


 一人は、淡い桃色のジャケットにへそ出しのショートパンツ。オレンジのボリュームのある髪を両サイドで結った少々、派手なスタイル……クマゼミの付与術師ことミカリだ。


「どうも、恐縮です。クマゼミのセラです」


 遠慮がちなもう一人は、騎士風の衣装に身を包んだ金髪の男……クマゼミの剣聖セラである。

 ちなみに、基本的に配信時は自身のキャラクター付けもあり、人間界においても、ダンジョンでの装備をそのまま着用するのが一般的となっている。


【お、今日はこの二人か】

【前回のユリアとクシナはどうした?】

【最後のグダグダっぷりに解雇されたか?w】


「はは……ははは……」


 ミカリは意味深に空笑いする。


「まぁ、人選のことは置いておいて、アリシアさん、今日はたっぷり猫カフェを楽しんでいってね」


「うむ……しかし、猫という生き物は放っておくとあまり近づいてこないのだな……」


 自由気ままに寛いではいるものの、積極的に近づいてきたりはしない猫の様子に、アリシアは少々、寂しそうにする。


「ほら、セラ! 答えなよ! セラ、猫に詳しいんでしょ!」


「えっ! まぁ、実家に猫はいたけど、詳しいってほどじゃ……」


「ほらっ、いいから!」


 ミカリに突かれ、セラはやむなしという様子で語りだす。


「えーと、まぁ、そうですね。猫は元々、群れをなす動物じゃないです。なので、基本的には犬みたいに忠実でべったりって感じではないですね」


「ふむふむ」


 セラの説明にアリシアはまじめに耳を傾ける。


「なんですが! 信頼関係が構築されると、時々、きまぐれに甘えてくるんですよ。そのランダム性が可愛くてですね!」


 セラは最初、乗り気じゃなかったのに急に熱を込めて語りだす。


【まぁ、そうなんだよな】

【俺は断然、猫派】

【猫の可愛さをランダム性と表現するやつ初めて見たわ】


「なるほどなるほど、なんとなくはわかった。しかし、今日は、ゆっくり信頼関係を構築するのも彼らのきまぐれを辛抱強く持つのにも時間が足りないぞ? どうするのだ? これでは撮れ高(?)がいまいちではないか?」


【確かにそうではあるんだが……】

【ついに吸血鬼さんの口から撮れ高という言葉が……】

【なんだろう……成長していく娘を見ているような気分だ】


「ですね。そういう時は、オプションを使ってみましょう」


「オプション?」


「そうです。えーと……店員さーん!」


 セラはカフェの店員さんを呼び、なにやら受け取っている。


「アリシアさん、これです!」


「ぬ? なんだ?」


「猫アイスです」


「ほぉ! これで猫をおびき寄せるというわけだな」


「おびき寄せるという表現がちょっとずるいことをしている感じがしないでもないですが、まぁ、そういうことです」


「ふむふむ、早速、やってみようではないか」


 アリシアは猫アイスを近くをふらついていた猫に差し出す。


「ふぉお、食ったぞ、食いおった!」


 猫は猫アイスをペロペロと舐め出す。


「ふむ、なかなか可愛いではないか」


【この隙に撫でるのだ!】


「な、なるほど……! ふぉお! これはなかなか良きものだ」


 アリシアは興奮している。


 と、


「ふぁっ!?」


 アリシアは急に背筋をびくんとさせる。


 アイスが少し付着していたアリシアの指を猫が舐めたのだ。


「ふわぁ、な、なんだこれ? どういうことだ? ちょっとザラザラしているぞ」


「そうです。アリシアさん。猫の舌は糸状乳頭と呼ばれる無数の小突起が生えているんです。自然界で骨についた肉を削ぎ取るように食べるためと言われています」


【へぇー、そうなんだ。肉を削ぎ取るためってちょっと怖】

【猫の舌がザラザラしてるのは知ってたけど、そんな詳しくは知らんかったな】

【セラ……実家に猫がいただけというわりには妙に詳しいな】


「なに! じゃあ、こやつ、私の肉を削ぎ取ろうとしているのか!?」


「はは……どうでしょうか……でもまぁ、実際に皮膚に被害が及ぶようなことはありませんよ」


「そうか……ならば良いのだが……しかし、なんだかむず痒い感じだな……」


【僕も吸血鬼さん、ペロペロしたいお】


「ぬ? 殺されたい奴がいるようだな?」


 アリシアは翼の触手を刃に変えて、カメラに向ける。


【ひっ!!】

【怖い怖い】

【で、でもカメラ越しだから大丈夫だよな? 匿名だし……】


「ぬ? ミカリから開示請求(?)なるものができると聞いたぞ?」


【開示請求ですと!?】

【誰がコメントしたか調べられる奴!】

【何、教えてんだよ! ミカリ!!】

【これはまずいぞ……さっきペロペロコメントした奴、逃げてぇええええ】


「アリシア、やるならダンジョンでな……」


「……ちっ、そうであったな。人間界に来るときの約束があったな……」


 クガになだめられ、アリシアは渋々納得する。

 アリシアは人間界では自動蘇生(リライブ)が発動しないため、人間を殺してはいけないとクガと約束をしていたのだ。


【ほっ……】

【そうだよね、人間界じゃリライブ発動しないもんね】

【逆にダンジョンなら容認してて草】


「ふむ……それで猫カフェ配信に戻るが、一つ、気になっていたのだが、この書物はなんだ?」


 アリシアがセラに尋ねる。


「あ、それは……漫画ですね?」


「漫画……?」


「はい、人間界のエンターテイメントです。絵にストーリーがついています。こういった猫カフェには置いてあることが多くて、漫画なんかを読んでリラックスしながら過ごしたりもできるんです。猫ってのはきまぐれでして、意外と漫画に夢中で自分に興味なさそうな人のところに近づいて行ったりするんですよね……」


「なるほどなるほど……」


「猫と戯れにきたつもりが、ついつい漫画を読みふけって終わっていたなんてこともしばしば……」


「ははっ……そんな本末転倒な……全く……人間は愚かだなぁ……」


「ははは……そうですよね」


「ん……しかし、これ……ちょっと面白いぞ……むむ……」


【あっ……(察し)】

【これは……】

【手遅れ】


 その後、配信はアリシアが猫達の中で漫画を読んでるだけの配信となった。


 ◇


 四日後、深夜。

 アリシアとクガはダンジョンに戻るため、ダンジョン入口のある有明付近に来ていた。

 配信から少し間隔を開け、深夜を選んだのは、あまり人目につかないようにするためである。


「わざわざ、見送りありがとうな」


 アリシアは見送りに来てくれていた人間にお礼を言う。


「いえいえ、こちらこそいつもよくしてくれてありがとう。アリシアさん」


 クマゼミの付与術師ミカリが微笑みながら返事する。

 クマゼミのクシナ、ユリア、セラ、ミカリが今日は四人そろい踏みで、見送りに来てくれていたのだ。


「うむ、またクマゼミがなにかダンジョンで困ったときにはいつでも声を掛けてくれ。可能な限り対応させてもらおう」


「ふふっ、それは心強いわ」


 そんな会話をしつつ、ダンジョン入口付近に接近する。

 その時であった。


「やぁやぁ、吸血鬼、随分と呑気なもんで……」


「……!?」


 突如、威圧的な声を掛けられ、アリシアは警戒姿勢を取る。


 すると、暗闇から何人かの人物が姿を現す。


「お、お前らは…………誰だ?」


「っておい、忘れてんのかよ!」


 一番前にいた大柄でワイルドな男性が怒り気味に言う。


「あ、あいつは……アドベンジャーのブラックか……」


 唯一、その人物が誰だかわかったセラがそう呟く。


「……?」


 そう言われてもピンとこないアリシアは不思議そうに首を傾げる。


「ちょ、完全に忘れてんのかよ! 吸血鬼!」


「ほっ……!」


「まぁまぁ、ブラック君、落ち着いて。忘れられていても仕方がないよ。ねぇ、吸血鬼?」


 神官のような白いローブに身をまとった丸眼鏡の男性が横から出てくる。


「お、おう……」


「いや、お前も忘れられてんじゃねえか! サイオン!」


「っ……!」


 アリシアは忘れていたようだが、クマゼミのメンバーは流石にその人物が誰であるかわかった。

 クガが抜けて、クシナが加入するまでの間、クマゼミのヒーラーであった男、サイオンである。

 クガにより殺害され、リライブを発動し、ダンジョンを去った男だ。


 他にも、アリシアに狩られたと思われるどこか見覚えのあるメンバーが数名いた。


「俺達は〝ヴァンパイア♰リベンジャーズ〟、俺はリーダーのブラックだ」


 ブラックはにやりと笑う。


「要するに彼ら……アリシアさん被害者の会ってことよね?」


 ミカリが言う。


「被害者の会じゃねえよ! ヴァンパイア♰リベンジャーズ!!」


 ミカリの一言にヴァンパイア♰リベンジャーズのメンバー達は憤慨している。




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【小説】
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【作者新作】
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