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失恋関係

別れを告げたのは私だ

作者: 華霧むま

 普通の日だった。一緒にファミリーレストランでご飯を食べ終わったタイミング。


「別れようか」


 そう言ったのは私からだった。何かが決定的にずれている感覚が拭いきれなくて。その違和感を放置できなくて。


 そんな耐えきれない感覚は、私の口を軽くした。決意などできていなかったのに、いとも簡単に言葉は転げ落ちた。


「分かった」


 全く躊躇う様子もなく彼が頷いたことに、グサリと胸を刺された気がした。


 しかし、それはなかったことにした。どうせ、時間とともに消えゆくものだ。


 別れたところで何も変わらない。そう思っていた。


 それなのに。なぜ、物足りなさがあるのだろう。なぜ、私の視線は彼を探しているのだろう。


 その答えは見なかったことにした。どうせ無駄なものだから。何も生み出さないから。


 この世には、男が星の数ほどいる。そんなことは知っている。


 それなのに。なんで私の時間は止まったままに感じるのだろう。


 彼しかいない、などと嘘でも思えない。それなのに、この世が錆びついて見えるのはなぜだろう。


 うまれてくる疑問は放置し続けた。考えても無意味だ。


 ベッドに倒れ込むように寝転がった。天井を見ながら思う。


 後悔のない選択って難しい。


 自分を巣食う空虚とともに、私は今日も呼吸を続ける。

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