アリシアをいじめるな!【ショートショート】
「マリア・アレストネ。君との婚約を破棄する!」
「そんな!」
御茶会で突然婚約破棄宣言をされてしまった。華やかな会場に影が落ちる。目の前には、カーチス第一王子と、アリシアが居た。カーチス様は、私を睨みつけている。
「理由をお聞かせくださいな、カーチス様!」
私の問いにカーチス様は答えた。
「心当たりがないとでも言いたげだな。アリシアのことだ。この子に、陰湿で姑息な嫌がらせの数々を行ってきたであろう」
「そんな気はございません!」
私はアリシアに意地悪をした覚えはないわ。ただ、近寄ることを避けていただけ。幼い頃に一緒に遊んだ記憶だってある。今だって仲良しだと思っている。
ただ一言。
「御茶会に呼ぶのは止めましょう」
と侍女に言っただけ。
カーチス様は、アリシアの頭を撫でてお姫様抱っこした。彼は、
「見てみろ、お前を見るアリシアの目を! 怯えているだろう」
そう言って、私にアリシアの表情を見せた。
(目……?)
きゅるん。
とした黒目が潤んでいる。
「それは、アリシアが大型犬だからです! カーチス様!」
「ええい、御茶会に犬は必要だ! かわいいだろう!」
「中にはアレルギーの方がいらっしゃるのよ。配慮なさってくださいな!」
また始まった。と噂がされる。
それは、婚約後も続いたそうな。
ジャンル変更で『その他』にしました!