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ほぼ実話&エッセイ あれこれ

書き手歴一年ちょっとの初心者が今更一人称と三人称視点で悩んでいる件。

※9/3(土)ごく一部の表記を修正しました。


 こんにちは。黒星★チーコです。


 今回は珍しく、創作論エッセイ的なものです。

 しか~し、タイトルにも書きましたが、私は小説を書き始めたのが去年の6月からという初心者なので、皆様の参考にはあまりならないかもしれません。


 大したことは書きませんからね? 読んでから思ってたのと違うってガッカリしないでね?(←予防線を張ってます)


 あと、このエッセイに出てくるのは「ひとつのお話の中で一人称で統一するか、三人称で統一するか」についてのみです。

「ひとつのお話の中で一人称と三人称が混ざる」話題については、書き手様にも読み手様にもそれぞれのスタンスや好みがあると思うので、私がエッセイにするには難易度高すぎて無理でした。

 上記を踏まえてお読みいただけますと幸いです。


 ★


 さて、本題です。

 私は書いている途中でボツにすることがとても多いです。稀に書き上げたものですらボツにすることがあります。


 多分小説を書き慣れた方ならこんな無駄なことはしないだろうと思うのですが、一度書き上げてから文字数が多過ぎてザクザク削ってしまったり、一人称視点で書いたものをまるっと全て三人称視点に書き直す(あるいはその逆)……なんて事をしょっちゅうやらかしています。

 いずれも投稿前の話なので誰にも迷惑はかけていないのですが、実に無駄無駄無駄です。


 で、今(と言うか5月くらいからずーっと)書きかけていた、とある小説がありまして。これも最初は一人称で書いていたのですが行き詰まり、全てボツにして三人称で書き直し始めてみたのです。


 皆様一応御存知だと思いますが一人称視点と三人称視点の小説の違いについて、大まかに説明すると以下のような感じです。


 仮に、山田七緒さんという女の子が主役の小説で、彼女には鈴木君という彼氏がいる設定とします。

 一人称視点は、山田さんの視点で話が進みます。地の文は“私は◯◯だ”あるいは主語を省いて“○○した~”といった一人称で進行します。

 三人称視点だと地の文は“七緒は◯◯した~”または“彼女は◯◯した~”という三人称で進行します。

 更に三人称一視点(単視点とか一元視点とも言うみたいですね)と、三人称複数視点(神視点?)があり、一視点の場合は一人称視点に近いですが、少し離れて見ている様です。

 複数視点の場合は文字通り、色んな人の視点で話が進むので“鈴木は◯◯した~”なども出てきます。


 私は今までお話を書く時、なんとなく感覚で話によって一人称視点と三人称視点を使い分けていて「この話は三人称の方が合うな……イチから書き直そう」とかやっていたのですが、今回初めてその感覚が自分のなかで言語化できたんです。

 それを下にメリットデメリットとしてあげていきますね。


 ・一人称のメリット

 心理描写がしやすい。

 読み手様に物語への共感や没入感を感じて貰いやすい。

(※あともうひとつありますが後述します)


 ・一人称のデメリット

 主人公の知らないことは書けない(どうしても書きたければ視点変更などの工夫が必要)。


 ・三人称のメリット

 情景描写がしやすい。

 主人公が見聞きしていない事も書けるので、ストーリーが破綻しにくい。


 ・三人称のデメリット

 読み手様に共感や没入感を感じて貰いにくい。

 口数の少ない、または話していることと考えていることに大きな違いのあるキャラは説明が必要。

 上記の理由などから地の文の説明が多くなりがち。


 こんな感じですかね。一応例文も書いてみます。


 ↓↓↓


 ■一人称例


 私には心配ごとがある。

 最近つきあい始めた鈴木君が冷たい気がする。以前は休み時間はいつも一緒だったのに、今は向こうからこちらのクラスに来てもくれない……。


 彼を探しに隣のクラスに行くと、私の親友のみーちゃんととても楽しそうに話す彼の姿を見てしまった。

 心臓がきゅうっと音を立てそうなほど、私の中で萎むのが自分でわかる。

 二人は私を見るとハッとして離れた。私、大丈夫かな。変な顔を、してないかな。

 自分の笑顔がいつも通りなのかわからないまま、二人に話しかける。


「二人、仲良いんだね? 何を話してたの?」

「別に……」


 鈴木君はそれだけ言って素っ気なく横を向いてしまった。いつもならちょっぴりだけど微笑んでくれるのに。私の心臓が、なお一層嫌な動悸を刻む。

 みーちゃんが明るく言った。


「えっ? さっきの授業でわからないとこ聞いてただけだよ~。ねっ、鈴木?」

「……うん」


 彼女とはずっと友達だからわかる。あきらかに誤魔化すような素振りだ。それに、最後にみーちゃんは鈴木君とアイコンタクトをした。

 何か二人だけの秘密があるのだと、私にはわかってしまった……。



 ■三人称(複数視点)例


 山田七緒は授業が終わるなり隣のクラスへ向かった。

 付き合って1ヶ月の彼氏、鈴木に会うためだ。最近彼の態度が冷たくなったと七緒は感じていた。


 廊下から1-Bの教室を覗くと、七緒の長年の親友、美優が鈴木と楽しげに話をしている。二人の距離が妙に近いことに、七緒は胸が苦しくなった。

 彼らは七緒に気づくと、気まずそうにパッと離れる。七緒は笑顔を作り、話しかけた。


「二人、仲良いんだね? 何を話してたの?」

「別に……」


 鈴木は七緒と目を合わせず横を向く。「何考えてんのかわかんない」とよく言われる彼の表情の小さな違いを、いつも七緒は細かく気づいてくれる。今の考えも見抜かれてしまいそうで怖かったのだ。

 だから彼は逆に七緒の様子に気づかなかった。一方、すぐに空気を読んだらしい美優は明るい声を出すことに努めた。


「えっ? さっきの授業でわからないとこ聞いてただけだよ~。ねっ、鈴木?」


 最後の「ねっ」で口には出さないがありったけの思いをぶつける。


(馬鹿! 七緒が不安がってるじゃん! 普通にしてて!)


「……うん」


 普段から口数が少ない鈴木はそれしか言わない。七緒は黙り込んでいる。美優はそれらを見て内心で舌打ちをした。

 来週は七緒の誕生日がある。鈴木がこれではバースデーサプライズを計画していた事が七緒にバレてしまうのではないか……とイラついたのだ。


 ↑↑↑


 いかがでしょうか。

 一人称の例では主人公への共感度が高く、悲しい気持ちを感じ取られた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 その上で三人称の例の最後を読むと「なーんだ。仲良しかよ!」ってなりますよね。


 一人称では主人公がサプライズの事などわかるわけが無いので、書いていません。主人公が知らないところで話が動くことが度々あるような小説なら三人称複数視点が良さそうですよね。

 ただ、三人称だとキャラクターの気持ちはつぶさに表現しづらいわけです。

 例で美優がやったように、()で心の内を出していく……と言った方法もありますが、どうしても“彼女は○○と思った~”等の地の文が増えがちです。


 だから間を取って、例えば一人称だけど鈴木や美優の視点変更シーンを入れて、サプライズの事を読み手様にバラしてしまう……といった方法もあるわけですけど、視点変更を何度も入れるとやはり物語への没入感が削がれたり、読み手様を混乱させてしまう気がします。


 別の方法もあります。それは、一人称視点の主人公を鈍感にしてしまうのです。

 さっきの例で言うと、例えば「みーちゃんの手にあるスマホの画面に誕生日ケーキの検索結果が見えた」などのヒントを読み手様に与えておきつつ、しかし主人公はそれが何を意味するのか気づかない……といった感じですね。


 ただ、これも話やキャラを選ぶんですよね。鈴木のわずかな表情の違いを読める七緒が、誕生日ケーキでピンと来ないのは変かもしれません。他人のことには一所懸命だけど自分のことは大雑把なキャラだ、という設定なら、その説明もどこかに入れなくてはならないと思うんですよね。


 ★


 先程、「これも話やキャラを選ぶんですよね。」と書きましたが、どんな話を書くかによって一人称視点と三人称視点が傾向として合っているか(※傾向です。絶対ではありません)というのもありますね。


 例えば、10万文字以上の長編ハイファンタジー。設定も壮大だったり登場人物も多い……となると、主人公の一人称視点では追いきれないところが多いですよね。三人称視点で書く方が無難な気がします。


 例えば、推理小説。一人称視点の方が叙述トリックは仕掛けやすくなります。


 例えば、アクション。同じ剣劇だとしても一人称視点なら白刃が目の前に迫る臨場感を演出できるでしょう。三人称視点なら、切り結ぶ二人が目にも止まらぬ早業で剣を繰り出したり、それを美しくかわす様子など、俯瞰や遠目から見るように表現することができます。


 で、私が今書いているお話が何かというと、異世界恋愛です。ヒロインが口数少なめだけど内心はそこそこ気が強めであれこれ考えてるタイプなので、一人称向きかなと思って書き始めました。

 ところが登場人物が多くてヒロインの知らないところで皆がちょこまか動くから、一人称視点だと追いきれなくなってきたのです。

 まあ、つまり、私がそれを書ききれるような筆力が不足しているだけなんですけどね……。(自嘲)


 ★


 最後に、もうひとつの悩みポイント。後述すると書いていた一人称のメリットです。

 これは、あくまでも私だけかもしれないんで、ここだけの話にしてほしいんですけど。

 私の場合、一人称視点の話の方がポイントが付きやすい気がするんです。


 私は殆ど短編~中編のスケールの小さい話しか書かないので一人称の方が脳内イメージがノリノリで書けることが多いとか、三人称にするとどうしても(私が説明したがりな性格なので)固めの文章が続いてしまうとか、そういう個性の問題もあるのでしょうね。


 しかし、割りと自分では自信のあった三人称視点の話が伸びないとしょんぼりしてしまいます。やっぱりポイントが付くと嬉しいですもん。だから「一人称で書いた方が良いのかな~」と揺れてしまうんですよね。

 まあ、でも私のなろうのスタンスはマイペースエンジョイ勢なので、ポイント至上主義に偏るとそれはそれで辛くなりそうです。

 グダグダ考えたくせに、結局最後は「自分が書きたいもの」と「少しでも読み手様にウケそうなもの」の狭間を自分なりに追及していくしかないのかも……とお決まりの結末に落ち着く次第です。


 そんなわけで今後も一人称と三人称で迷い、書き直すような創作方法が続きそうですが、今回言語化出来たことでちょっと無駄無駄無駄が減るかもしれません。……減るといいなぁ。


 皆様はどうですか? 一人称と三人称、意識して使い分けとかされてますか?


お読み頂き、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言]  三人称視点(ゲームみたいなキャラ見えるやつ)を一人称の文章で書く人がいるけどアレだけは本当に読むの苦手。一生懸命に行動を「説明」してくれて納得はするんだけどそれは共感じゃないと言うかなんと…
2022/09/08 18:58 退会済み
管理
[一言] こんにちは。 私は連載の途中から、説明しやすさを求めてわざと三人称に切り替えたアホですが、例文がとてもわかりやすくて勉強になりました。 こちらのエッセイを読み終えて、一つの物語で一人称版と三…
[良い点] 私も悩んでいたな~と思い出しました。 [一言] 私は三人称一元視点で統一しています。 他の作品を読んでいると一人称かこの三人称一元視点がほとんどのような気がします。 完全なる三人称である神…
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