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異世界戦線異常あり! 『ただいま!』のために異世界で戦う  作者: 藤 明
異世界転移と異文化交流

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順調な狩りの後……

 夢を見ていた。


 妻が目の前で泣いている。いつも笑顔で楽しそうにしている妻だが、たまに過去の悲しいことを思い出した時に悲しい顔をし、それがこらえきれない時は泣き出してしまう。俺は少しでも彼女の助けになりたいので理由を聞いてみたが、返答はいつも有耶無耶にされてしまう。過去のことは俺にはどうしても言いたくないようなのでどうしようもない。俺は妻を抱きしめ、彼女が泣き止むまで出しき締め続けた……

 彼女の母親からは、「あなたと出会う前は悲しい顔をしている時が多かったわ。あの子はあなたのおかげでもの凄く変わったのよ……」と言われた。



『絶対に戻らないとな……』


『へ、どこに? おはよう、タクマ』

『あ、おはよう……夢を見ていた』

『故郷の夢か……ほら、シュウト、起きる』

『ほぁ~あ、まだ暗いじゃないですかぁ』


 エルドが、相変わらず早起きで面倒見が良かった。外はどう見ても夜なんだけどなぁ……凄い体内時計の精度だ……




 今日は久しぶりの休日。満場一致で朝一で狩りに出かけることになっていた。ヴィナルカが情報を集めてくれていて、俺たちがこの世界に来た山の方向での狩りになるらしい。今までは狩人協会が正体不明のなにかのせいで狩りの禁止をしていたが一昨日に解除されたらしい。


『今日は随分とすごいもの借りたね』

『このチーム、強い。いっぱい捕れると思う』


 エルドが背負子の他に大八車もレンタルしていた。狩場の近くの道まで持っていき大量の獲物を運ぶそうだ。巨大イノシシ5,6匹は載せられそうだな……


『それじゃ、軽く魔力を込めて移動するわ』

『おー!』


 狩場まで6人が体に魔力を薄く込めながら移動をする。マラソン選手ばりの移動速度だ。エルドに引きずられる感じで移動する大八車の音が少々うるさい……



 30分ばかり移動すると、俺たちが最初に迷いでた場所付近についた。この辺りをベースに狩りをするみたいだ。


『ここって、たしか……最初に来た所じゃない?』

『そうだね……懐かしい気がします』

『まだ2週間くらいしか経ってないんだけどね』


 思い返すとあまりに色々なことが有りすぎてあっという間の2週間だった。すぐに帰れるかと頑張ってみたが、そう簡単には行かないようだな……妻がまた昔を思い出して泣いていないか、子供をしっかりと育てられているのか……とても心配だ……


『え? ……あなた達、ここに来たことがあるの?』

『うん、最初にあそこの山の方の森の山小屋の近くに来たの』

『……よく無事で……ここは騎士、狩人の上級者、探索者くらいにならないと生きては帰れない様な場所よ?』

『……え?』

『突撃イノシシが当たり前にいて、切り裂きカモシカ、血眼オオカミ、赤爪巨大グマも結構いる危険な山よ?』


 俺たち日本人3人は思わず顔を見合わせてしまった。救難信号を偶然撃ち上げなければ……セクティナ達が助けに来てくれなければ……完全に終わってたな……


「ハードモードな世界だったんですね……」

「運が良かったのね……」

「山小屋無かったら終わってた気がするね……」


『あ……怖がらせてしまってごめんなさい。今のあなた達だったら大丈夫よ。赤爪巨大グマの時だけ注意して』

『わかったわ、エルドの後ろに隠れてる!』

『俺、お前たち守る。安心する。でも、2匹の時、考える必要ある』

『それならウチが1匹倒すわ。あなた達でもう1匹をお願い』

『キョウカがそう言うなら……大丈夫よね。それじゃちょっと軽く戦術会議をしますか』


 それからは6人で軽く、熊二匹の場合、イノシシ二匹の場合、切り裂きカモシカ2匹の場合……など想定してどうやってチームを分けるかなどを話し合った。


『なんで2匹を想定するの? 全部夫婦?』

『ここの繁殖期がわからないから、全部夫婦と思って行動したほうが良いと思うの』

『切り裂きカモシカもですか?』

『そのはずよ? なぜ?』

『僕らの世界のシカは、強いオスが1匹、メスが沢山だったので』

『ああ……どうなのかしら、そこまで細かいことは分からないかも……』

『それなら、群れを狙わければ良いから大丈夫よ』

『俺、切り裂きカモシカ狩る、1匹の狙う。大丈夫』


 まぁ、切り裂いてくる相手だから群れに手を出すのは厳しいか……


 大体の戦術を話し終えたので、川の近くに大八車を置いて森の中に入っていく。日本の雑木林と違って、ところどころ茂みの生えていない所があったりして割と歩きやすい。


『あ、みんな、魔力を小さくして。獲物に気が付かれるわ』

『あ、そうでした。思わず使い続けてました……』

『楽だもんねぇ』


 


 それからは楽なものだった。ヴィナルカがどうやって見つけているのかはわからないが、突撃イノシシを直ぐに見つけ、2匹のつがいを狩り、解体した後に大八車まで運び、肉を川につけて冷やす。川の近くに大八車を置いたのはこれが目的だったのかと持っていって初めて気がつく。


 昼ご飯を食べた後、またヴィナルカが簡単に見つけてくれた2匹の突撃イノシシを狩って解体した後、背負子に素材をくくりつけ大八車に方向に戻る。なんか順調過ぎていいのだろうか? 結構な儲けになりそうな気がした。


『ねぇ、今日はこれでおしまい?』

『そうね、あと1回は探せそうだけど、みんなどうする?』

『あと1回……ヴィナルカはすごいね。ウチも狩り得意だと思ってたけど、こんなに簡単に探せないわ』


 キョウカがちょっとだけしょぼんとした感じになった。


『フフッ、後でちゃんと教えてあげるわ。コツをわかれば簡単だから』

『本当か!ぜひ教えてくれ!』



 大八車のキャンプに近づくと、何かがおかしかった。あれ? 川に山のような毛皮が動いてる? 目を凝らすと、先程俺たちがイノシシの肉を置いた辺りにいるな……食べられちゃってる感じか……


『赤爪巨大グマよ! みんな注意して!』


 全員でジリジリと近づく……結構近づいた所でやっと俺たちに赤爪巨大グマが気がつく。熊なのに「えっ?」とびっくりした感じになっていた。


『他には……周りにはいないわね……荷物を置いて……行くわよ!』

『ハハッ! 久々のクマ!』

『タクマ、シュウト、チサト、後ろしかりついて来て』


 キョウカとヴィナルカが左右に散会し、エルドを中心に俺たちは赤爪巨大グマに接近する。赤爪巨大グマが迷った感じになっている。


『こっちだ!!』


 エルドが両手に持った盾を打ち鳴らしながら前進する。赤爪巨大グマがエルドに注視し、左右にさまよわせてた視線をエルドに固定する。


『訓練の時よりも大きく見えますね』

『本当に……』


 赤爪巨大グマがいざエルドの方に走り出そうとした瞬間に顔の側面に矢が突き刺さる。痛みでびっくりした赤爪巨大グマが矢の刺さった方を見た瞬間に全てが終わった。


『もらったわ!』


 ドゴッ!!!!


 キョウカの気配と魔力反応に気がついた赤爪巨大グマが振り返り顔を守ろうと腕を前にした瞬間にキョウカの振るった呪印刀が腕ごと顔面を打ち砕く。ふらついた赤爪巨大グマの脳天を空中に跳躍したキョウカが追加で打ち抜き赤爪巨大グマが力なく地面に倒れてしまう。


『イェイ!』

『やったわね!』

『すごく良い連携。上手』


 ヴィナルカ、キョウカの気配を殺す能力と、エルドの存在感が相まってものすごい連携になっている。普通に赤爪巨大グマに遭遇したら……結構強いんだよな……彼女たちが圧倒的すぎて弱く感じてしまう。俺たちはあんまり役になってない、いや、全く立ってないな。運搬の時に貢献しよう……


『タクマ!槍で血抜きおねがい!』

『わかった!すぐ行く』


 俺は小走りでキョウカ達の方に移動し、赤爪巨大グマの動脈がありそうな場所を槍で一突きする。こうやって血抜きするんだよね……大量に出てくる血を見ても割と慣れてきたせいかあまり何も感じなくなってきた。


『えっ?』


 突然、ヴィナルカが後ろを振り向く。チサトとシュウトくんの後ろの方から今倒した赤爪巨大グマより二周りは大きい赤爪巨大グマが接近してきていた


『え、マジ?』

『あ……』


 二人共突然過ぎて、動けていないようだった……


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「バトロワ」無視して異世界サバイバルライフ! 
「殺し合い」のはずなのに協力して攻略する!
カクヨムで新作連載中こちらも読んでいただけるとありがたいです。


異世界スキル強奪バトルロワイヤルを避けて生き抜く話になります。


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