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ダンジョンへの挑戦

 よろしくお願いします!



 しばらくセラフィーの噂を落ち着けるため、治療院は一週間だけ休みを取ってダンジョンに向かうことが決まった。レハナ伯爵からはむしろ推奨されたが、悪い顔をしていたとだけ言っておこう。なにを企んでいるのやら。


 民衆の熱を冷ますのが目的なので選んだのは人に出会いにくい不人気ダンジョン「石人形の遺跡」である。まあ一週間程度でなにが変わるか分からないけれど。そもそも暁の星傭兵団の名前を上げなければいけないのでチームを分けて潜ることにした。


「つーわけで私らは私らで潜ることになった」


「楽しみだね~」


「準備はよろしいのですか?」


「わほん(野生の肉は勘弁して)」


 セラフィーのインベントリは冒険のための全てが備わっている。問題はない。スヴァルトは野生の獣らしく生肉でも食べたいのだろうか? 今回は肉はドロップしないと思うが。やはりセラフィーには狼語は分からなかった。ウーシャンはずいぶん楽しそうだ。いつでも元気な妖精である。


 チームを分けるということで最初はヒーラーのセラフィーとアイリスは中央よりで救援にいつでも走れる配置にした。一階層ごとに連絡拠点を設けて連絡要員にアンとハル、パーバルを置き、残りを二チームに分けた。レベルを上げるために敵は殲滅していくスタイルである。ゴーレムは経験値だけは美味しい。ドロップは石ブロックとかのカードだが。


 このチームでの初めてのダンジョンアタックなので、作戦は一階層ごとに決めることにした。当初の予定とは違うがセラフィーチームが前に出る。


「さて、まず先頭はうちが行く」


「れっつごー!」


「まずは強敵の掃討ですね!」


「くぅん(ここ食べ物の匂いしない)」


 スヴァルトはイヤな予感がした!


「鑑定は常にかけて罠を探してくれ。私も直感で避ける」


「分かりました!」


「ウーシャンとスヴァルトには索敵を任せる」


「りょ!」


「わふん……(やっぱり石の臭いしかしない!)」


 さっそく石の人形が何体か歩いてくる。これは後ろに回す。セラフィーたちは華麗に人形の隙間を抜けて走った。小物が続く一階層、雑魚は後ろに任せて下位メンバーに仕留めさせる。


(うーん、強敵はいないな。上層では下位メンバーを先に走らせるか)


 セラフィーたちは一階の最奥で一度計画を練り直すべくカルヴァインたちを待った。下位メンバーたちは雑魚を倒してなんとかセラフィーたちのところまでくる。しばらく休憩させ、その間セラフィーは試しに石人形を倒してみた。……ぱりーんとかいって一発で全身が粉々に。ドロップしたのは魔石(微小)のカードのみ。しょっぱいな。まあだから不人気ダンジョンなのである。


 このダンジョンはとにかくドロップがしょっぱいのに刃物や魔法が通じにくい上にタフなゴーレム系ばかり出るのである。ゴーレムの死体がドロップするなら美味しそうだが、しない。ブロックとか良くてアイアンゴーレムを倒したあとにインゴットで鉄が出るくらいだ。アイアンゴーレムは鋼レベルの刃物がほぼ通じない。ゴールドはレアだし、ミスリルなんて上位でも刃が立たない。不味いのである。


 まったくこれっぽっちもぜんぜん完璧に呆れるほどにダンジョンを埋めたくなるレベルで泣きたくなるほど利益が出ないのである。良いことはひとつだけ。経験値はもらえる。そりゃ不人気にもなる。割に合わないのである。


「まあ目的はレベルの底上げと名声を高めることだからな。あとは伯爵がなんか悪いこと考えてる」


「なんでしょうね? とにかくレベル上げというなら私も混ざりたいのですが」


「ルシアも混ざれ混ざれ。パール姐さんにも負けたらしいじゃん」


「ううぅ……強かったです……」


 実際パールは剣だけならカルヴァインとでも競える。


「セラは瞬殺してたけどね~。あははっ!」


「化け物ですね」


「誰が化け物やねん。ただのドワーフだ」


「いえーいドワーフ万能説ぅ~!」


「万能なわけあるか」


 器用になんでもこなすがどの分野でも超一流には及ばないのをセラフィーは知っている。器用なドワーフたちの里のそれぞれの分野の超一流に色々教わった結果全部そこそここなせるようになっただけだ。里がセラフィーを育てたのだ。思い出すと泣けてくるのでセラフィーは軽く頭を振り、またぼんやりと無表情になる。それが、ルシアとウーシャンには痛々しく見えた。


「さすがに下位のメンバーもレベル二十は超えてるから一階ではなんともなさそうだな」


「しばらくは能力強化(バフ)もいらなそうですね!」


「罠もなかったし~」


「わふっ(休憩にしよう)」


 ぞろぞろと下位のメンバー、カートたちが集まる。冒険者としては中堅程度か。年の割りには充分に強い。感想を求められたのでセラフィーは軽く総評などしておいた。


 このダンジョンは大型のゴーレムが動き回るので道幅が上下左右に六メートル以上もあるため、長柄も振り回せるし視界も行き届いている。そのせいで宝箱もすぐに漁られるのだがそれがまた旨味をなくしていた。ちなみに管理型ダンジョンの宝箱は復活する。魔力次第で時間は変わるらしい。


 修行と割り切ろう。セラフィーはカルヴァイン団長たちと二階以降の予定を立てて、階段を下りていった。






 なかなか上手く行きませんね。


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