オーク集落の壊滅
今日は四話更新します。
まずトラップとして魔法を設置できないか試す。
神聖魔法、星属性、停止。魔法効果を一時的に停止できる。この状態でタッチしたら魔法が発動する……なら成功だ。
この魔法は時間を止めるのではなく魔法効果の処理を一旦停止するもの。つまりA地点からC地点に飛ぶ、という処理をしている魔法を途中のB地点で一旦処理を停止させて動かなくする。魔法は術式が加えられた時点で物理的に作用するようになるから、進行という計算が止められていても魔法としての効果は出るはず。
これに月属性、眠り、もしくは麻痺や石化を足せばいい。でも麻痺は火の魔法で石化は土の魔法なので使えない。他に硬直させるのは、大技になるが気絶なんて魔法もある、が、成功率はすさまじく低い。やはり無難なのは眠りであろう。ものは試しといくつか仕掛けてみた。
結果、オーク二匹を一度に眠らせることに成功。ナイフで頸動脈を切り裂き、インベントリへ収納。しかし、楽しくない。ハンマー使いたい。
いっそ大規模魔法で巣をまるごと眠らせて強襲をかけるのもありか。チマチマやるのは趣味ではない。
ストッパーだったオーリがいなくなったために、セラフィーは悪い方向に暴走を始めた。オークの集落を潰す。……機人兵と同じことをやってやる。自分だけがやられっぱなしは嫌だった。セラフィーは根っこではいまだに戦乱を求めているのだ。
「神聖魔法、月属性、深き眠り、星属性、広域、拡大、自動、『スリーピングフィールド!』」
いくつもの魔法を合体させた結果、魔力が一発で尽きた。マナポーションを飲み干してから眠っているオークを潰していく。オートは起きたオークに自動でもう一度眠りをかける。そのために魔力がガンガン減っていく。数を早く減らさないといけない。ガチンコで殴り合いたいが、数が多すぎた。百は下らないはずだ。
魔力が尽きる前に半分は減らした。元々魔力回復の大を持っているので、減り方は緩やかになってきた。餅つきのようにペッタンペッタンとオークを潰していく。作業は辛い。殴り合いがしたい。そう思いつつもセラフィーは作業を終わらせた。もう肉には困らないな、これは。塩などもストックしているので一年くらいは塩焼きで持つだろう。ベーコンや熟成も試してみたい。文字通り腐るほど肉が集まった。
集落には囚われた人などはいないしお宝のような物もなかった。オークが装備しているのも冒険者から奪った二流品だ。これは研いでから売ろう。星属性に道標の魔法があるので迷うことはない。星属性は占いとかもあるし、運命にも絡む魔法のようだ。確定的な未来予知のようなことはできないのだが。
オークの本隊を潰したので斥候オークたちとはガチで殴り合うことにした。二体のオークを魔力感知で発見。正面から攻める。
……オークと言えば性欲旺盛だが、十才のドワーフにも反応するらしい。キモい。ゲートボールしてやろうかと思ったが黒銀が汚れたら嫌なのでやめた。頭をカチ割る。
まずは動きづらそうな向かって右のオークから。そいつが右手を振り上げると右側のオークの視線も動線も断たれる。実質一対一だ。そのまま向かって右に通り抜けつつ脛にハンマーを喰らわせる。弁慶も泣くだろう。そのまま屈みこんだオークの後頭部に鉄槌を喰らわせる。そのまま踏みつけてジャンプしつつ奥のオークの額にハンマーをフルスイング。その一撃でオークは倒れた。二匹退治。肉が増えたな。
斥候はまだ残っていそうなのでさらに探知。思わず鼻歌を歌いそうになる。これがやりたかったんだ。
もう一部隊を発見。四匹が固まり、なにかを話し合っている。巣の状態に気づいた個体がいるらしい。四匹か。試してみるか。
話し合っている。ところに乱入。右端の一匹、一番大柄なオークの頭をカチ割る。そのまま左に振り子のように振り、左のオークの脛を折る。さらにその反作用でハンマーを振り上げ、奥の右手のオークの顎を横から叩き割る。倒した右端のオークの頭を踏みつけてジャンプ。一回転して最後のオークの脳天を砕く。遅いな、オーク。脛を折ったオークに止めを刺してその四匹を収納し、さらに他の斥候を狩っていく。その頃には血塗れ。
オークを完全に駆逐した。一仕事を終えて、なんとなくボーッとしているセラフィー。心のダメージがじわりと上がってきていた。
寂しい。誰かと共有したい。そう思いつつも次の獲物を探そう、と、セラフィーは歩き始めた。止まれば呑まれる気がした。
ヒルジャイアントとかトロールいないかな、などと思いつつ、魔力探知を広げる。かなり広げたところで、南で誰かが戦闘しているのを感知した。鉈で蔦などを払い、藪こぎしつつ南下する。
簡単に勝つ方法はいくらでもあります。
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