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警鐘

 過酷な戦いが始まります。


 本日も二話更新します。




 それは突然の出来事だった。鐘が鳴る。セラフィーがこの里に生まれてから一度も鳴ったことのない警鐘が。


「機人兵だあーッ!!」


 一瞬、ゼロのことが頭を過ったがすぐにそれはないと思い直す。とにかく状況を把握しなければ。まずは父の元に向かう。


「僕は村を見てまわる!」


「気をつけて!」


 一旦はオーリと別れて走る。地精解放。地の精霊の束縛から解き放たれることにより、セラフィーの体重は一時的に十キロを切る。突然軽くなる体をふらつかせないようにコントロールしつつ、跳ぶ。セラフィーが五年かけて鍛えた体幹は揺るぐことなくセラフィーの肉体を一瞬で数百メートルも運ぶ。


 道々に金色に輝く能面の化け物たちが村人を襲っているのが見えた。早く、助けに行かないと!!


 父はすでに洞窟の入り口まで出ていた。手には大斧が握られている。


「セラ、敵を蹴散らせ! 治療はあとだ!」


「分かった!!」


 すぐに踵を返し先ほどの戦場へ向かう。


 こんな、こんなのがデビュー戦かよっ!


 セラフィーは自分の認識の甘さを、この時、初めて思い知った。




 ドワーフたちは頑丈だ。ほとんどのドワーフたちは傷を負いながらも耐えていた。魔力が持つかは分からなかったがセラフィーは次々と回復を飛ばし、黒銀をインベントリから抜いた。


 上空から地精を全開でまとい、自由落下に任せて落ちつつ、黒銀をコントロールして機人兵に叩きつける。


 機人兵一式、身長一メートルほどの歩兵型の機人兵はそれであっさり砕け散り、機能停止した。


 機人兵は現在雑兵として九タイプ、オリジナルとして四タイプが研究されているという。ゼロ式の情報が確かなら現在運用されているのは四タイプ。


 機人兵一式、歩兵型。雑魚だ。


 機人兵二式、飛行型。飛ぶ雑魚だ。


 三式、砲兵型。撃ってくる雑魚だ。四式、戦闘型。ちょっと強い雑魚だ。


 もし五式が完成していれば指揮官タイプ。雑魚どもを統率したり魔物の指揮を執りスタンピードを起こす。こいつがもしもいたら厄介だ。本体の戦闘能力も高い上に雑魚をまとめてくる。これだけ大規模に攻めてきているのだ、いる可能性は高い。


 助けたオヤジたちは家に武器を取りに走った。セラフィーは中央に向けて雑魚の一式を蹴散らしながら走る。子供が……!!


 子供に群がっている機人兵を蹴散らすも、子供は事切れていた。ちくしょう!!


 機人兵たちは北東のぶどう畑からやってきている。あちらには高い山があり普通には通れないはずだ。飛行型の二式が運搬したにしても数が多すぎる。誰かが手引きしてあらかじめ畑の奥のどこかで陣取っていた?


 可能性は高い。とにかく山に走る。そこに、もしかしたら五式がいるのかも分からない。まずは頭を潰す。大丈夫だ、ドワーフは弱くない。親父たちも立ち向かっている。


 そしてぶどう畑の奥、いた、一体だけ毛色の違う機人兵!


「潰れろおおおおおッ!!」


「!!」


 セラフィーは一気に潰しにかかる。機人兵……おそらく五式はカウンターでレーザーを放ってきた。セラフィーは結界でそれを逸らし、そのまま黒銀の重厚な一撃を叩き込む。


「緊急回避……敵性生物を確認。ドワーフの女性。推定年れ」


「やかましいッ!!」


 横面を殴り飛ばすように黒銀を振るう。ゼロ式と同じような声、人工音声なのに何故だかとてつもなく腹が立つ。


「迎撃モード」


「うっ!?」


 レンズが向けられたのを察知、大きく体を左に反らすと光線が体の直上を通過する。危ない。この隙に距離を離そうと後ろに跳ぶ五式、空中に浮いた瞬間を狙う。


「神聖魔法、太陽属性、光弾(レイショット):5!!」


 太陽属性攻撃魔法、光の弾丸を五発まとめて放つ。直撃しガツンガツン、と次々に金属音が響く。しかし浅い。追撃する。


「カウンターレイ」


「うおわっ!!」


 中央のレンズから太い閃光が放たれた。結界を魔法盾(マナシールド)に変えて斜めに受け流す。ギリギリのやり取りだ。ミスったら多分死ぬ。


「……スタンピード、モード:ハーピィ」


「……は?」


 五式の呟きの直後、山から大量のハーピィがもぐらの里を目指して滑空を始めた。これか、こいつらを運んだのは。冷静に分析している場合ではない。こちらへもハーピィは五羽ほど飛んできている。


光弾レイショット:20!!」


 とにかく近寄らせないために数の限り光弾を飛ばす。何羽か引っ掛かって落ちた。警戒し離れるハーピィ。魔物のコントロールにリソースを割いて止まっている五式に殴りかかる。


「潰れろおおおッ!!」


 ズシン、と。重い一撃が決まる。


「……メインセンサー機能停止……!」


 やったか? しかしまだ動きは止まらないようだ。村の方が心配だが、とにかくこいつを仕留めなければ話にならない。またハーピィを呼ばれたら堪らない。


「しつっ!こいん!!だよっ!!」


 釘を打ち込むかのごとき連続攻撃。徹底的に黒銀を叩き込む。


「……深刻なダメージが発生しました……」


 ここで押しきる。セラフィーは一枚カードを切った。


「神聖魔法、月属性、魔力強化(マナブースト)、太陽属性、身体強化(フィジカルブースト)! 『二重強化(ダブルブースト)!!』」


 魔力を二倍に跳ね上げ、その二倍の魔力で筋力を跳ね上げることで一時的に四倍以上の力を引き出す。一度使えば三日は寝込む大技だ。戦闘好きなら一度はやってみたい技。もちろん開発していた。


 その威力は、絶大。


「ぎゃべっ!!」


「まともにしゃべれてねえぞ、おらアッ!!」


 ぐしゃり、ぐしゃりともはやスクラップと化した五式をなおも殴りつける。ぺしゃんこになってはさすがに修復もできまい。ゼロ式の情報通りなら終わったはずだ。インベントリに残骸を収納してみると、しっかり収納できた。


「きっつ……」


 一旦は座りこんで魔力回復ポーションとスタミナ回復ポーションを飲む。まだ終わっていない。






 暴虐は許せない。


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