表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/105

ローネルシアからの旅立ち

 この章も終わりですね。




 国王からはいくらかの土産や王宮関連施設のフリーパスまでもらった。またテレポートで様子を見にこなければ。さらにはアレク王子の護衛として暁の星ではなくセラフィーパーティーに依頼がきた。まあ暁は魔王国でこもるからセラフィーパーティーがついていくしかない。


 同行するのはエリ、イェフタン、ヨハ、アレク、マウ。魔王国までの護衛依頼金でアンが幸せそうな顔をしていた。


 なぜかカートをはじめ数人がすごいレベルアップをして修羅のような気をまとっている。アイリスに至っては聖女になっていた。覇気を漏らしているが。この世界の聖女はヤバい。


「はぁー、俺もうかうかしていられないな……」


「カルさんは政務ばっかりしてたな」


「一応アウスローナの貴族なもんで」


 しかしアウスローナを出れば自由だ。三年でカルヴァインはレベル三百を目指すつもりらしい。セラフィーの横に並べなければ団長としての面目も立たない。


「無理すんなよ。アイリスはいるけど」


「大丈夫だ」


 魔王国ヤーシャンケルでは今度はガムマイハートが政務に追われそうではあるが。


「胃が痛い……」


「神経性胃炎だな。月属性の安息レストをかけておこう」


「助かる……」


 まあガムマイハートは遊び歩いているので自業自得だとは思う。一応各国で得た情報を中央に送る役割は果たしているらしい。情報は外交取引の上でも役に立つだろう。一応仕事をしているようだ。


「あたしもしっかりサポートするわよぉ」


「頼む……」


 ウィーギネストスも参謀としてカルヴァインやガムマイハートを支えている。地味だが大切な役回りだった。


「物資は私とハルで揃えました。ダンジョンに三年潜るくらいはできますね。資金はセラさんが受け取らなかった分で賄えました。頭が上がりませんね。全員で土下座しましょう」


「いや、そういうのいいから!」


 セラフィーはガチでお金持ちなのだ。ドワーフの寿命約三百年でも一生遊んで暮らしても余る。カルヴァインたちに賞金などを渡すのはある意味で投資だ。機神国マギエグゼリアを攻めるための戦力が必要なのだ。


「これから南部諸国の一つフレオノットを通過して魔王国ヤーシャンケルに入る。町には立ち寄らず野営をしながら一週間で渡るつもりだ。意見はあるか」


「一応王子含む重要人物がいますけど野営ばかりで大丈夫でしょうか?」


 カルヴァインに対し、アンが指摘する。アンの役割は一般の目線から見た暁の問題点提起である。


「本人たちはむしろ冒険者的な生活を望んでいる。いろいろ指導するつもりでいてほしい」


「分かりました」


 出発前の会議は終わる。セラフィーは王女の容態を確認したのち、レハナの貴族子弟二人をテレポートで送る。定期的にレハナとローネルシアにテレポートで訪れることを決めた。セラフィーの役割はとても大きい。


「さてと、うちのパーティーは私、ウーシャン、スヴァルト、スーシェル、それとルシア、この五人だな。ルシアいたの?」


「うう、勇者なのに! 勇者なのに!」


 出番が全くなかった勇者さまは拗ねた。これからはこのパーティーで動くので役割は多くなりそうだが。一応レベリングはしているらしい。カートが強くなっててルシアと互角に打ち合っていたが。ルシアさらにへこむ。ちなみにパール姐さんもさらに強くなっている。ルシア地面にめり込むくらいしょげる。勇者って最近かませ犬多いしね。


 そして冬の始まりとともに、暁の星傭兵団はローネルシアを立つ。


 南部諸国を抜け、魔王国へ。





「ふふん、ずいぶんとまあ強い聖女が生まれたものだな」


「どうなさるおつもりで?」


 美しい闇色の衣を纏う魔人族の少女は遥か遠くから近寄る気配を感じている。メイドらしい魔人族の少女がその赤い瞳で主の濃紺色の瞳を見た。闇色の髪に焼けた褐色の肌、全てを見通すような理知的な瞳に白銀の髪に白い肌のメイドはみとれている。


「どうもこうも、やるに決まっている」


「立場があるにも関わらず放置してご主人さまが自ら出向くと?」


「はっはっは、他の誰がアレとやれるものか。無駄死にするだけだ。私が自ら出向く以外あの者を量る術はない。あと放置じゃないからな? 仕事は済ませるからな?」


「一応は私に偵察の許可を。一当てしたらご主人さまのようにみっともなく逃げますので。一応敵対はしないように話をしておきます」


「ん~、まあいい。手加減しないことが条件だが。あと私みっともなくないからな?」


「主人が放し飼いの犬か毛並みボロボロの野良犬みたいに彷徨うろつくよりマシでございますからね。ときおりに遠吠えするし負け犬っぽいですね」


「お前たまにひどくない?!」


 セラフィーたちがふたたび馬車に揺られはじめたころ、目的地ヤーシャンケルでも貴族たちが動き始めていた。


 神級武器の持ち主も当然のようにセラフィーに狙いを定めている。この大陸の神級武器は四つ、そのうち二つは魔王国に存在している。その二つはドワーフの王国で打たれたものだ。ドワーフ王国は魔王国内の自治区になっている。魔王国では獣人や始祖吸血鬼ヴァンパイアオリジンの国などが自治権を持っている。それらを魔王がまとめあげているのが魔王国である。その獣人王や吸血鬼たちも動き始めていた。


 かつてない過酷な戦いの気配が、セラフィーを待ち受けている。






 応援ありがとうございました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ