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いつもの日々、終わる。

「空から美少女落ちてこないかなぁ…」


 熱気の篭った教室の、揺れることもないカーテンの隙間から覗く青い空を見ながら、そんな事を無気力に願っていた。……ら、声に出ていたらしい。パシン! と後頭部に乾いた音が響いた。ああ、先生にプリントで叩か痛っっっ! なんか頭を弾かれた! もしかしてスナイパーにでも撃たれた!?


「なにを血迷ったことをいっとる! そんなことがあるわけないだろう! アニメの見すぎか!」

「……」


 先生。でこぴんは痛いです。

 ずきずきと疼く額とくすくすと肩を揺らす同級生たちは、一緒になって俺を笑っているようだった。ちくしょー。いいじゃんそんなことを呟いたってさ。


 退屈な授業、平凡な毎日。晴れても雨でも曇っても、面白みのない日々。もしも、いやないけどあの子と付き合えたりしたら、そりゃまあちょっとはこの人生色が着くかもしれないけど、さ。


 わかってるんだ。


 一瞬で変わってしまうようなことがおこって欲しいことが。このつまらない日々を打破するきっかけがほしいことが。気になるあの子に体育館の裏に呼ばれるとか、昨日応募した最新のゲーム機の抽選があたるとか、蒸発した親父が何となしに帰ってくるとか……空から美少女が降ってきて異能力に目覚めてその子を守るために戦うことになるとか!


 おき……るはずないよな。うん。


 今日も無気力に、変わらない退屈な風景を飽きずに眺めていた。


 そんな時、空にキラリと光るものが視界に入った。


「?」


 見間違えか? ああ、校庭でやってる野球でホームランでも打ったか。と思ったが、疑問が消えない。ホームランでぶっとんだ玉が光る? 野球ボールって光るっけ? じゃあなに、今のもしかして…もしかしてUFO?


 なんて、平和なことを考えていた俺は、次の瞬間、自分の想像の範疇を軽く飛び越えるような(いやある意味想像はしたことある)自体が起こった。それはまさしく。


 UFOだった。

 うん、なんていうか…そう表現するしかなかった。いやもしかしたら違うかもしれないまったく道の物体かもしれないが、校庭の上に突如現れた浮遊する金属質の物体を、UFOといわずなんと言おう?


 ……いやまて。

 よく見てみると、その金属の物体の丈夫に円盤が……いや、高速回転している羽…プロペラがあった。ヘリコプターのようだ……ヘリコプターなのか? 否。なぜならこんな至近距離にあるのに。


 音が全くしないから。


「……」


 んまぁーーあれか、変な妄想のし過ぎでついに幻覚でも見えるようになったか。だって音せんし。やれやれ、こりゃまいったぜ。さすがにここまで頭がおかしくなってたなんて思わなかった。さて、授業に集中集中!


 半ば現実逃避にも近い理由で黒板に目を向けた俺は、それは幻覚では無いことを知ることになった。

 丸めたプリントを片手に持った先生も、窓の外側を。


「そんなことがあるわけないだろう……」

「……」


 先生にも、見えてる…?

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