第49話 VS偽りの魔王 前編
前回のあらすじ
試練を終えた
わたし達が新しい力を手に入れてから、一週間が経った。
試練で負った怪我も完全に快復して、いよいよわたし達が王立魔法学院を去る時がやって来た―――。
◇◇◇◇◇
「……というわけで、わたし達はこの学院を去ることになりました。……みんな。短い間だったけど、お世話になりました」
そう言ってわたしは、クラスメイト達に向かってペコリと頭を下げる。
朝のホームルームの時間を使って、クラスメイト達にわたし、アレン、フレイルの三人が卒業することを伝えた。
反応は様々だったけど、みんな驚いた様子だった。
とりわけ反応が大きかったのは……。
「お姉様ぁ〜……。行かないでくださいまし〜……」
わたしのことを『お姉様』と慕うフランが、滂沱の涙を流しながらわたしとの別れを惜しんでいた。
アレンとフレイルも、クラスメイト達に別れを告げる。
そしてわたし達は、この学院を後にした―――。
◇◇◇◇◇
学院を去り、王都を後にして、わたし達は王都の近くにある平原までやって来ていた。
わたしはフレイルの方を振り向く。
「それじゃあフレイル、お願い」
「はい」
フレイルは頷くと、その姿を漆黒の鱗を持つドラゴンへと変化させた。
そしてわたしとアレンは、彼女の背中に乗る。
わたし達が乗ったのを確認したフレイルは、一対の翼を羽ばたかせてゆっくりと上昇する。
そして一定の高さまで上昇した後、とある場所を目指して飛翔する。
その場所は――魔王城だ。
◇◇◇◇◇
偽りの魔王が待ち構えている魔王城は、西大陸にある。
この大陸は、大陸自体が一つの国だった。
かつてはちゃんとした国名があったけど、『原初の魔王』が引き起こした第一次人魔大戦の折に、魔王領と呼ばれるようになった。
けれど元の国名は、魔王領の首都―魔都の名前へと変化した。
その魔都の名前は……ソロモニア。
『最後の魔王』に由来した都市名だった。
そしてその魔都に、魔王城がそびえ立っている。
ただ、一つ問題があるとすれば……。
南大陸にある魔法王国の王都から西大陸の魔都までは、すごく距離があることだった。
だからどこかで一泊する必要があった。
なので南大陸の北西部のとある町で、一晩休憩して英気を養った―――。
◇◇◇◇◇
そして翌日。
再びドラゴンの姿になったフレイルに乗って、魔都を目指す。
三時間ほど空を飛んでいたその時、突然フレイルが口を開いた。
「アリシアさん、アレンさん、見えてきましたよ。アレが―――」
「……魔王城」
わたし達の目に、うっすらと魔王城の威容が見えてきた。
「あそこに偽りの魔王がいるとは思いますけど……どうしますか?」
「突撃しよう。魔王にわたし達に対処する時間を与えたくないから」
「了解です。しっかり掴まっててくださいね!」
フレイルはそう言うと、グンッ! と飛翔速度を速めた。
魔王城がはっきりと目視出来る距離まで来た時、彼女は口を大きく開いた。
そして―――。
「《ドラゴンブレス》!!」
竜人族の固有魔法である息吹魔法を、魔王城目掛けて放った。
そしてその青白い炎は、魔王城の一角を破壊した。
わたし達はそこから魔王城に侵入する。
「私はモミジとエミリの救出に向かいます!」
魔獣化を解除したフレイルが、わたし達にそう告げる。
「分かったわ! 偽りの魔王の相手はわたし達に任せて!」
わたしはそう告げて、フレイルと別れる。
そしてわたしはアレンと共に、魔王がいるであろう場所へと向かう。
城内は幸いにも、わたしが魔王だった時とさほど変わっていないようだった。
「アリシア。魔王の居場所に心当たりがあるの?」
並走するアレンが、そう尋ねてくる。
それに走りながら答える。
「うん。たぶんだけど、魔王は王の間にいると思う。……というか、確実にいる」
「なんでそう思うの?」
「だって……索敵魔法に反応があるから」
「それなら納得だ」
それからしばらく城内を駆け回り、わたし達は王の間の前までたどり着いた。
そして扉を開けて、中に入る。
その際、わたし達はいつ戦闘になってもいいように、武器を構えていた。
すると玉座には、くすんだ金髪をオールバックにして、冷酷で鋭い目付きをした男性が腰掛けていた。
もしかしなくても彼は―――。
「……ようやく来たか。勇者とやら」
彼は肘をつきながら、低い声音でそう言う。
「待たせたわね! 偽りの魔王!!」
わたしは聖剣の剣先を向けながら、大声でそう言った―――。
ダイナミック入城。
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