生きているのなら帰ろう
帰ろう。
ふと、そう思う。そう思える場所がある幸運がある。
心は死に向かっている。
命を断とうと思うことは、もはや呼吸を感じるくらいに身近なものだ。
それでも、まだ命はある。
ならば生きなければいけない、はずだ。
心のことは知らないけれど、少なくとも身は死んでいない。
ならば生きねば。
生きるということがどういうことなのか、分からないけど。
だから、帰ろう。とりあえず。
帰る場所がある。
その幸運に、命だけは救われている。
帰る場所をなくしたら。
きっとこの身は、転がり落ちるだろうけど。