表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生け贄の神子と華劇を  作者: 犀島慧一
第一章のおまけ
38/71

NG集もどき(17-20)

*いつも通りの注意事項*

※シリアスをお求めの方は、即刻退避をお願いします。

※うp主の気晴らし。シリアス漫画の表紙裏にあるようなもの、小話を目指して。

※これは本編とは全く関係がない、ようであるようでないような…。

※兎にも角にも、これまでの雰囲気を壊したくない方は即刻退避を!


※19は割愛。

17(接待戦の後日、筋肉痛の痛みのせいか選択肢とか言う幻覚を見た少女がいた)


 前代未聞の筋肉痛に、私と兄上、クロエのメンバーが倒れ、サミとアマのお世話になっていた。ストレリチア組で唯一の生き残りは身内に向けてなんとも冷たい視線を浴びせる。どう考えても儀式場の上下移動のせいだ。

サ「情けないですね。ストレリチアにお帰りの際は全員、私自ら“しごいて”差し上げますので覚悟してください」

 私と兄上はとても身に覚えのある“しごき”を鮮明に思い出し揃って身体を震わせた。真冬にフルマラソンと帰宅後の筋トレ、何よりサミ特別訓練のフルコンボはご勘弁願いたい!

 そこへ、救世主の神子様が現われた。昨晩私と兄上と剣を交えた彼は、平然としてそこに立っている。

 何故なんだ、この差は。……隣の兄上も彼を見て複雑そうな表情を浮かべていた。


ウ「あの、サミさん、これは僕が無理に連れて行ったのが原因ですから」

サ「どこに連れて行かれようと、筋肉痛の原因はその結果を招いた本人にあります」

 うぅ、きついぜ姉さん。流石のウィル神様もどうしていいか分からず困っている。


 ――すると、項垂れる私の目の前に、突然みたことのないタイルが浮かび上がった。

 この国にはない字、けれど、私にはその内容が正確に読めた。


どうしよう…

 勉強を申し出る。

 ‣ウィルの予定に同行する。

 大人しく筋トレに励む。


 ……選択の余地がない選択肢だな。

 課題後回し人間に勉強はない。筋肉痛なのに筋トレはない。カーソルをいじり真ん中を押す(フリ)をすると、隣の兄上がおずおずと口を開いた。


ニ「ところでウィルは今日どこへ行く予定だったんだ。ずいぶんとラフな格好だが」

ウ「え。ああ、これですか」

 ウィルは小首を傾げ、自分の身なりを確認する。

 彼は普段の上下かっちりと着込んだ形ではなく、恐らく内側に着ているであろう白シャツと黒のパンツスタイル。いつも瞼にかかる位あった前髪は横に寄せてピンで留められている。

ウ「これからエルドラ様のお世話に伺う予定だったのです……そうだ!」

 その仕草はいつかどこかで見た物語のヒロインよろしく。花開いた笑顔で、胸の前で両手を合わせている。その状態を維持したまま固い無表情のサミに向き直り、額に合わせた指先を当て懇願するような姿勢を取った。

ウ「その、“しごき”の代わりとして、明日エルドラ様のお世話を皆で一緒にやるのはどうでしょうか」

カ「なにそれ。おもしろそ……」

ウ「筋トレにもなりますし、エルドラ様とお話すれば勉強にもなります」

カ「まてまてまてーい!」

 ダブル要素はまずい。真ん中は上下の複合だなんて聞いていない!

 焦って止めようとする私を完璧に無視して視界は真っ暗に切り替わる。

 そして脳裏の声は、やけに機械的なぴぴぴ音で囁くのだった。

?『知識が 5  あがった

  力 が 10 あがった

  エルドラの好感度が5あがった


 ――無理をし続けたため、 風邪 になった。

                  THE END』


18(抜いてしまった部分、真面目な話)


 先に帰る兄上を見送りに街の外れまで来た私とウィル。

 冗談を交わしながら歩いて来たものの、別れの間際となれば互いにその表情を一転させる。兄上はその冷たいとも取られがちな厳粛さを湛えた姿に切り替えた。

ニ「本当に、世話になった」

 ウィルに握手を求めれば彼も応えて、二人はしっかりと手を繋いだ。

ニ「まあ、植物収集は半分趣味になっているけどな」

ウ「じゃあ、それは止めない。でも剣は練習しないと。せっかく素養があるのに」

ニ「言っておくけど、お前の基準は異常だからな」

 二人はお互いの手を握ったまま、その力を上げていく。

カ「ウィルの手が折れそう」と

 私が、本心から呟いたら、二人同時に吹き出して手を放した。


 一度客車に乗る直前で兄上は振り返らずに問う。

ニ「手紙なら読めるし返せるんだったな」

ウ「うん、手間と時間はこれまで以上にかかるけど」

ニ「じゃあ、“続き”の話はその時にまとめて送る」

 兄上は淡々と返していたが、その言葉にウィルは瞠目し、瞳が堪えた涙で揺らめいていた。そして思わずといった風に兄上の服を掴み制止を促した。

 私はその傍で、何かよくある別れ際の一幕みたいだなと思うだけである。

ウ「一つ、これは信じて欲しいとしか言えないのだけれど」

ニ「なんだ?」

ウ「君の植物園の大きな樹。君がどうにもならない生死の境に立たされたとき、彼女に助けてもらえばいいよ」


 ――兄上が、なんですと?

 傍観に徹していた私も今の発言は無視できない。

 生死、だとかそんな物騒な話題を別れ際にするなんて。ウィルのことだから冗談でもないと思うからこそ、私はこの空気に胸騒ぎがしてしまう。

ニ「……いまいち、状況が分からないのだが」

 流石の兄上も困惑の色を隠せない。

 だからこそ、ウィルは私達の視線を一心に受け止めて、ただ静かに告げた。

ウ「僕も予言に目覚めたわけじゃないから上手く言えない。

ただ、あの樹は君を守ろうとしている、恐らく今も君たちを守っている。それだけ」

 安心させるでもなく、かといって警告するでもない。笑顔も消して、神子は私達にただ告げている。


ニ「……覚えておこう」

 私は何も言えず、ただ兄上だけが力強く頷いた。


※抜いた理由:作者がねじ込む努力を怠ったためヾ(*´゜ω゜)┌┛)Д゜) ・∵、


20(涙に暮れる心を慰めるお茶、けれどその中身は…)


 一つ。思い出したいのは、ランタナへ入国を果たした初日のカップ。

 あの日のウィルはハーブティーに蜂蜜もシロップも何も入れなかった。

 けれど今彼の口にしているカップには

 ミルクとお紅茶の比を1:1にして、且つ砂糖は甘党の私基準の約2.5倍。

 しかも止める間もなく、激甘ティーをぐいと飲み干し満足気な息を吐き出した。


 唖然とする私を認めたウィルは、自分のカップをじっと見つめた後、いたずらっ子のようなどこか黒さを感じる笑みを浮かべる。

ウ「カレン様も飲んでみますか? 甘くはないですよ」

 甘くはない砂糖なのか、ならその表情はなんだ。絶対何か隠しているだろう。

 私は勢いよく首を横に振った。

カ「もう間に合っておりますので、結構です」

ウ「そうですか」


 想定していたよりも彼は割とあっさりと引く――それ故に、私は気になってしまう。


 ウィルのカップが空になったことを確認したアマは二杯目を注いだ。そしてテーブルに準備されていた砂糖の壺ではなく、作り付けの壁棚に手を伸ばし、白い粉の入った瓶を取る。ラベルはなく詳しい中身が分からない分、それは怪しさ満点だ。


 飲まなくてよかった、と思いつつ。

 ウィルが何を飲んでいたのか、余計に気になっていく。


 ちらちら盗み見ていれば、ふとこちらを見たアマと目が合った。彼女は例の瓶の蓋をおもむろに開き、小皿に一匙掬いそのままこちらに寄越す。

 ……知りたいのなら入れろということだろうか。


 どうしようか悩んでいると、先にサミがその少量を摘まみ舐めて、憮然とした表情になった。毒物の類ではないとだけ告げられた私は、意を決して一口舐める。


カ「こ、これは、


  ――――なんだろう?」


 乳製品、のような。バニラのような風味もある。でも決して、美味しいと断言できなければまずくもない。一つ確実なのは、これは砂糖ではない、それだけ。他に上手いリアクションも思いつかない。

 神妙な面持ちでウィルを見る。彼はこの謎の粉入りのミルクティーを平然と飲んでいた。

ウ「アルマスが出来心で作ったものの一種で、――プロテインと言うそうです」

カ「はい?」

ウ「つまるところ、プロテインです」


 にこにこ笑顔でまた一口。

 口に運ぼうとしたその手を私は必死の形相で止めた。

ウ「何でとめるんですか! これがあれば筋肉が手に入るんです!」

カ「ダメ、無理、絶対阻止する! なにその筋肉への執着は。

ともかく儚い系が筋肉むきむきはいかんでしょ! 矛盾しすぎてて訳がわからなくなる!」


 ぎゃいぎゃいとくだらない喧嘩を始めた二人の後ろで、

 互いの侍女は、黙ってミルクティーを飲みくつろいでいた。


※そしてその外側で警備に付くフラックスだけがちゃんと仕事していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ