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生け贄の神子と華劇を  作者: 犀島慧一
第一章のおまけ
36/71

NG集もどき(11-13)

*いつも通りの注意事項*

※シリアスをお求めの方は、即刻退避をお願いします。

※うp主の気晴らし。シリアス漫画の表紙裏にあるようなもの、小話を目指して。

※これは本編とは全く関係がありません。

※これまでの雰囲気を壊したくない方は即刻退避を!

ア:アルマス

シ:シャムシエル


11(ランタナ入国、城門内部で出迎えたのは…)


 ストレリチア伯爵邸より何倍も大きい白く荘厳な建物を囲う門の前。

 彼が門番のいない鉄の門に触れれば、それは鈍い音を立ててゆっくりと、自ら招き入れるように開いていく。磨き抜かれた門に映った私と兄上は揃ってぽかんと口を開けていた。


ウ「改めまして、我がランタナ国へようこそお越し下さいました」

 ウィルは躊躇うことなくそこに入り手招きしている。私達は慎重を期してつま先から踏み入った。


 私達は雪で作られた世界の端にある、花畑にいる。遠く見渡せば巨大な竜がすっぽり納まっているかまくら、騎兵隊、謎めいた建造物が並び、曲がりくねった鉄橋は上空に架けられていた。

 一大スペクタクルとなったそれを観賞しに来た近隣住民は各所で列を成し、最終的にパスなるものを得た者から天空巨大滑り台を滑走して帰って行っている。

ウ「今年の積雪はひどくて、この国は気温も低いし溶けないしで、皆雪を掻く先に困っていたんです。


――そこで、城内に集めて立体建造物を作ったらいい時間潰しになるのではと提案したところ、このような参加型アトラクションができあがりました」

カ「たくさんあるから遊具にしよう、って発想がアグレッシブすぎやしませんか」

 また一人上空を滑っていく人がいる。

 諸手を挙げて悲鳴を轟かせながら猛スピードで去って行く姿を、列に並ぶ人は楽しげに見つめていた。

ニ「手すりがないが、滑り落ちたりしないのか」

ウ「落ちますよ?」

 会話をしたそばから、一人の少年がカーブを曲がり切れなかったため何もない上空へと放り出された。彼は笑いながらくるくると回り、平坦な雪へと落ちていく、それを突如芽を出した巨大植物がキャッチして、観客は歓声を上げた。

ウ「ああして、エルドラ様が拾ってくれるので大丈夫です」

カ「神様込みの遊具て……」

ウ「ちなみに今回のことを提案したのは神子側です」

ニ「自らでか?!」

ウ「客人を招くのにこういうものがないといけないと思いまして、二人で考えました! とにかく一度乗ってみて下さい!」


 かくして、私達はランタナの雪遊具で遊び尽くし、たくさんの便乗土産を買いあさり、無事故国へと帰還したのだが、

 ――何か、大切なことをすっぽかした気がしたのである。


12(謁見の間へと向かった一行。騎士装束について不思議でならない少女がいた)


 一息吐く暇も無く、私達は大きな門扉の前に立つ。

 ウィルが纏う空気を一変させ覇気のある凜とした声音で王の所在を問うと、警備騎士は揃ってその姿勢を正した。こういうところ、相変わらずだ。

 ウィルが敬礼すると、騎士も敬礼を返す。


 けれど、何故神子様が騎士の格好をしているのでしょうね。


 案内のために出て来た騎士の人も疑問を感じている素振りを、ほんの一瞬だけ見せていた。

 黙々と任務を遂行する彼らは一切口にはしないようなので、謁見の間への階段を登り切る前で私は切り出した。

カ「神子様、聞きそびれていたのですが今宵は何故そのようなお召し物を?」

ウ「申し訳ありません、興味本位です」

 相変わらず見上げないと確認できない高さだけれど、ぽぽぽと桃色に染まった頬でそっぽ向く。

カ「……その気持ち、解らないでもないですわ。特に銀の装飾が綺麗だもの。

――でも神子はまた別の地位ではなかったかしら。それ相応のお召し物は準備されていそうなものだけど」

ウ「……うぅ」

ウィルは両手で顔を覆い耳まで赤くなる。何だろう、少し悪いことをしてしまった気がした。

ウ「――なんです」

カ「え、何?」

ウ「……神子の装束は、あるにはあるのです。ただ自分用のものはぎりぎりまで時間をかけて織るもので、まだ完璧にできあがっていないのです」

カ「普段着用とかは? あるのでしょう?」

 再度問いかけると彼は赤ら顔のままこちらを見た。

ウ「騎士の服って、もうそれだけで格好いい気がしませんか」

カ「分かる」

 異論を認めない強い意志を秘めた蒼い瞳に、頷き返す以外の選択肢はなかった。けれど私はそのすぐ後にはこの返答を後悔していた。

 意見を肯定されたウィルは更に詰め寄ってくる。

 蒼い瞳に映る自分の姿が分かりやすく狼狽えていた。

ウ「しかも、戦闘を想定して作られているので、動き易いのですよ」

カ「な、なるほど」

ウ「汚れも落としやすいし、あとh……」

カ「待って待って、近い近いちかい!」


 結局、語り始めたウィルを止める術を持たない私は、

 騒ぎを聞きつけたレーヴァに乱入されるまで、至近距離で服の考察を聞く羽目になった。


13(謁見の間に、適当な名前をぶっこく男がいた)

 陛下が鷹揚に頷き玉座から立ち上がると、その姿は背後から射す日差しで神々しい。黄金のたてがみを持つ獣のような騎士の王。父上とは違い多くを語らずそこに立つだけで相手を服従させてしまう気迫に足が竦む。


だが、

シ「私はシャムシエル・「マイク・ゴールド」…………この者はアルマス・「ジョン・シルバー」……

すまない、仕切り直してもいいだろうか」

ニ「ど、どうぞ」

シ「私はシャムシエル・「今日はビーフストロガノフ」…………この者はアルマス・「明日はポークソテー」……

すまない、もう一度いいか」

カ「え、ええ」

シ「私はシャムシエル・「豚肉食べたいなー」…………この者はアルマス・「鶏肉でもいいなー」……


すまない」


 ……流石に、諦めたのね。

 苦労が悪目立ちして王様は威厳など跡形もない。私のような身でも同情が湧くほどに、その姿は疲弊仕切っていた。

ニ「お二人の名は存じ上げております。その、お疲れ様です」

 極めて微妙なぎりぎりラインの微笑(?)を保つ兄上と全く同意見だわ。私も真似た笑顔を作りその場を取り繕う。


 ほんと、お疲れ様です。


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