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第86話 夜の散歩

皆が寝静まった頃、僕は1人起き出した。

まぁ、昼にいっぱい寝たしね。

僕は、なけなしの魔力で全員に睡眠魔法をかけ、しっかりと眠らせる。

これで当分起きないだろう。


さて、とりあえずは……

盗賊っぽいやつらの方だな。

僕は、全速力で走り、盗賊らしき3人のところへ向かう。

普段なら放っておいても全然いいのだけど、今回はちょっと聞きたい事があるしね。

盗賊らしき3人が死ぬ前に、行かないと……


そして、僕がたどり着くと、盗賊らしき3人は5匹のガルフと戦っていた。

多分、1対1なら倒せるのだろうけど、魔物の数が多いから盗賊らしき3人には分が悪い。

実際、左の人は左手を、右の人は右脚を噛まれて負傷している。

そして、真ん中の人も息が上がっており、かなり追い込まれている。

ちなみに、真ん中の人でベルゼさんくらいかなぁ。

左右の人はジャンよりちょっと強いくらい。

よくこんなので、盗賊なんてやってるなぁってレベルだ。

まぁ別にどうでもいいけどさ。


僕は、とりあえず気配を消して、手前のガルフに近づき首根っこを掴む。

そして、一気に魔力を吸い取り、死ぬ寸前で血抜き君を刺して殺す。

ガルフなんて大した魔力にはならないが、無いよりは全然いい。

5匹もあれば走行強化くらいはできるだろう。


盗賊らしき3人は、突然の事に驚いたが、チャンスとみたのか、すぐに警戒しながら後退し、ガルフとの間合いを取る。

一方で、ガルフは突然美味そうな子供が来たとでも思ったのだろう。

盗賊らしき3人への警戒も忘れ、2匹が同時に僕に飛びかかってきた。

僕は、空中で2匹のガルフの首根っこを同時に掴み、一気に魔力を抜く。

血抜きはめんどくさいので、魔力がなくなったらすぐにポイする。

残り2匹のガルフは、何が起こったのかわからず戸惑っている。

セオリー通りなら攻撃、本能的には退却、どちらかにしていいかわからないので保留ってところだろうか?

その一瞬の迷いが、致命的だ。

僕は、即座に駆け寄り、中途半端に嚙みつこうとするガルフの首を右手で掴み、もう1匹は左手のペスで殴る。

ペスで数回殴られたガルフは、意識を失って倒れる。

ちなみに、殴られた衝撃では無く、ペスの能力だけどね。

右手のガルフが死にかけたら、血抜き君を刺し、血抜き君に血を充分に吸わせる。

意識を失ったガルフも同様に、魔力を抜いてから、血抜きして殺す。


「お、おい、小僧……

お前、何者なんだ?」

ガルフが全滅したからか、盗賊らしき3人の真ん中、つまりリーダーらしき男が話しかけてくる。


「うーん、助けられて何質問してんのさ?

まずは御礼を言うのが普通なんじゃないの?

まぁ、別に助けたわけじゃないからいいけど、そんなんだから盗賊は皆んなに嫌われるんだよ。

わかってるのかなぁ……

ちなみに、貴方達に質問する権利なんですないですよ。

むしろ、こちらの質問に答えてもらいます。

さっき会ってたオジさん、あの人は何者ですか?

知っているなら答えてください!」


僕の返事に驚愕しつつも、盗賊らしき、いやもう確実に盗賊でいいや、うん、盗賊は戦闘の構えを解かず返答する。

「ば、馬鹿野郎!

あの人の情報を売ったなんて知れたら、俺らは皆殺しにされちまう。

それに、仮にも元メジェス団の団員だからな、冒険者の小僧なんぞに屈するかよ!」


メジェス団……

そういえば?

「赤眼のメジェス、とか言って名乗っていたオジさんの盗賊団だっけ?

確かにあの人、多少強かったかなぁ……

多分、僕の父さんと同じくらい?

まぁ、でも最後は卑怯な手を使おうとしたから、手脚を斬り落としてやったら、泣いて謝っていたよ?

ほら、これがその時もらった団長の赤い羽根だよ。

こんなの何の役にも立たないから、全然要らないんだけどね〜」


「た、確かにそれは団長の……

こ、小僧、お、お前が……

い、いや、あ、貴方がメジェス団長を殺したのですか?」


「正確には、殺してはいないよ?

ただ、手脚を斬り落として放置したから、生きてるとも思えないけどね。

うん、僕が倒した時点では生きていたから。

一応、人殺しは……

基本的にはしない主義だから、貴方達も殺しはしないよ」


「た、頼む!

お願いだから見逃してくれ!

俺らただの下っ端に過ぎないし、そんなに悪い事だってしていない。

ちょっと商人を襲うだけだし!

な?

見逃してくれよ」


「うーん、とりあえずはあのオジさんの正体を教えてよ?

まずはそれから考えよーかなぁ」


「それだけは……

頼むよ、勘弁してくれよ。

な、なっ、どうしても話せない訳があるん」

言い訳がめんどくさいので、僕は血抜き君を一閃して、盗賊のリーダーの目を抉り裂く。

ついでに、両脇の手下の手首も斬り落とす。


「あのさ、僕も次の用事があるんだよね。

早くしてくれないかなぁ?

話すのが遅れる度に斬っていくから。

さっさと話した方が楽になりますよ?」


「痛え、痛えよぉ。

斬られるのがこんな痛いなんて、知らなかったんだよ。

俺は今までこんな事をしてきたのか?

神様、罪を悔い改めます。

すみませんでした……」

盗賊のリーダーは、痛みでトリップしたのか、血の涙を流しながら泣き出してしまった。

あー、面倒だ……

僕はペスで数回殴って黙らせる。


そして、手首を失って青ざめている、盗賊の手下に質問する。

「結局、あのオジさんの正体は誰なのかな?

そろそろ教えてくれる?」


「あ、はい……

あのお方はヨグソトース様です。

フォーマルハウトのダンジョンを仕切っている、ヨグソトース団の団長様です。

メジェス団がなくなって困った俺らに、見張りの仕事をくれて……」


「何でダンジョンを仕切っている団長が、初心者の冒険者を集めてるのさ?」


「な、なんでもダンジョンに入れて、魔石集めをさせているらしいです。

かなり儲けていて、ヨグソトース団は構成員も増えてますが、ダンジョン内は子供の方が動きやすいって理由で、そこいらの勇者気取りのガキから金を取った挙句、ダンジョンで強制労働させているみたいです。

お願いです、命ばかりはお助けを……」


なんだ、その程度の事か……

別に死ぬ様な事ではなさそうだし、なんとかなるかもしれないな。


「ちなみに、フォーマルハウトのダンジョンで間違いないんだよね?

それと、強制労働って、鎖に繋いで働かせたりするわけ?」


「は、ハイ!

ダンジョンはフォーマルハウトで間違いありません。

強制労働については……

本当に知らないのでわかりません。

でも魔物を倒して、魔石を取らせてくるなら鎖に繋ぐ必要はないかと……

ご、ごめんなさい、本当に知らないので、申し訳ございません」


「そっか、ありがとうね。

御礼ってのは変だけど、手首の傷は治療してあげるよ」

そう言って僕は、盗賊の手下2人の手首の断面に回復をかけ、治療をした。

血抜き君で斬ったから、当面は血が出ないけど、そのうちドバッと出てくるから、止血代わりにって意味で。


「ちなみに、僕の事を誰かに話したら……

まぁ、誰も信じないとは思うけどね。

でも、今日の事は忘れて、前向きに生きてね。

じゃ、バイバイ〜」

呆気に取られて、立ち尽くす盗賊の手下2人をその場に残して、僕は次へと向かう。

あの2人も、運が良ければ生き残れるだろう。

ここから街や村がかなり遠いから、辿り着ければ、だけどね。


僕は、走りに必要な筋肉のみに、身体強化の魔法をかけて次の場所へと向かう。

目的地は、例のキラーマンティスらしき魔石の気配の場所だ。

どうやら、キラーマンティスらしき気配は、さっきから一ヶ所に留まっているみたいだけど……


僕は、明日1日かけて踏破するだろう行程を、馬よりも疾く駆け抜ける。

そして、たどり着いた場所は、村だった。

夜に襲われたせいか、篝火が倒れて所々火の手が上がっているが、生きた人の気配はほとんどない。

あー、やっぱりな……

村の中心には、キラーマンティスがいた。

老若男女、多分全ての村人が遺体となって、キラーマンティスの下に集められている。

あれは、多分産卵期のメスだろう。

腹の中に小さな魔石が沢山あるし……


キラーマンティスは、100年に1度産卵期が来ると言われている。

普通のキラーマンティスはCクラス下位だから、金級冒険者数人でも倒せるのだが、産卵期のメスは別格になる。

とにかく、獰猛で辺り構わず動物、人、魔物ですら食べ尽くす。

一説によると、ドラゴンの幼体を喰ったと言う伝説もあるらしい。

普通のキラーマンティスよりも強く、魔法を使うとも言われている。

そして、クッキーでも食べるかのように、村人の遺体をその鎌で上手に挟み込み、貪り食べている……

その身体は黒く、見るものに一種の恐怖を与えると言うが……

まぁ、デカイカマキリなんだけどね。


僕が来ると、まるで新しい餌を見つけた様に、満面の笑みを浮かべ……

ってイメージだけで、カマキリの表情なんてわからないけどさ。

とにかく、嬉しそうに鎌を振り、風刃を放ち攻撃をしてきた。

透明な風魔法の刃、普通なら不可避でただ切り刻まれるだけ……

なんだが、魔力が見える僕にはあまり意味がない。

というか、魔力が渦を巻いている師父の風刃に比べれば、大した事ない魔力で直線的な攻撃なんて、ただの魔力の塊に過ぎない。


僕は、左手の手甲、ペスで風刃を受け止め、魔力を吸収する。

実はこのペスは、魔法を全て無効化する力があるらしく、魔法攻撃を受けるのにちょうどいい。

まぁ魔法の無効化と言っても、手甲の部分だけだから、ごく一部なんだけどね〜

ただ、手甲無しで受けると、どうしても怪我をするし、効率が悪いから、ペスがあるだけで大分助かっている。


ちなみに、キラーマンティスは僕が死なない事を不思議がって、首を傾げている。

そして、風刃を2、3回飛ばしてくる。

僕はそれを難なく吸収すると、キラーマンティスは興味を失ったのか、再び村人の遺体を食べ始めた。

ボリッ、ゴキュ、グリュと言う咀嚼音が、誰もいない静寂の中響きわたる。


さて、魔力がある程度溜まったしね。

僕は全身に身体強化魔法をかけ、キラーマンティスへと突撃する!

キラーマンティスの両手の鎌の斬撃を避け、懐に入りその頭を左手でブン殴る!

ヨシ!

クリーンヒットが入った。

これで意識を失ったはず……

そう思った瞬間、中脚からの蹴りが繰り出される。

何故?

咄嗟に防御魔法を展開したが、村の端まで吹き飛ばされる。

ヤバイ、ちょっと、当分動けないかも?

回復魔法で回復しながら、とりあえず寝転がったままでカマキリを見る。


こちらに向かってくる様子はない。

むしろ、頭は動いていないが、手脚が勝手に動いている。

ああそうか、確か虫系の魔物は頭を落とされても動くんだった。

神経節が手脚にもあって、自律行動するとかなんとか?

まぁ、頭の意識が戻るまでは安全って事か。

しかし、さっきの一撃、防御魔法張って無ければヤバかった。

実際、内臓にも少しだけダメージがあるっぽいし。

それに中脚の蹴りじゃなく、鎌の一撃なら死んでいたかもしれない。

その点は運が良かったのだろう。


まぁ、キラーマンティスの頭が回復するか、僕が回復魔法で治すか、どちらが先かが生死の分かれ目になる……

はずだったのだが、回復したのはキラーマンティスが先だが、僕を襲わずに村人の遺体を食べ始めた。

所詮は虫って事か。

僕も完全に回復したので、再度身体強化魔法をかけ、キラーマンティスに挑む。


次は、側面から脚を狙う。

血抜き君で斬り裂き、左の中脚と後脚にダメージを与える。

身体の割には細い脚なんだけど、硬さは意外とあって、半分くらいしか斬れていないか。

それでも、キラーマンティスは痛みで気が狂ったのか、辺り構わず鎌の風刃を放つ。

僕はその一部を吸収し、再びキラーマンティスの懐に入り、左手のペスでキラーマンティスの頭をブン殴る!

やはり、脚を斬られているせいか、先程みたいな蹴りは来ない。

ただ、鎌の斬撃は繰り出したままなので、当たらないように避け、右側面から中脚と後脚を斬り裂きつつ、キラーマンティスの背後に抜ける。


流石に全部の脚を斬れば、バランスが保てない……

はずなのだが、キラーマンティスは羽を羽ばたかせ、低空飛行を始めるのだった。

さて……

どうしようかな?

少年は、魔物と戦う。

友の安全のために……

いや、それはただの自己満足かもしれないが。


第87話 何も無かった

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