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第62話 過酷な修行 レオンその五

魔法を貯める修行の翌日、色々な欠点がわかってきた。

呼吸や嘔吐で魔力は体外に抜けてしまう。

それだけでなく、排泄でも体外に抜け、魔法が発動してしまう。

小水はとてつもない水圧になり、ウォーターカッターとなって地面や樹を切り裂いてしまった。

更に極め付けは大便……

う○こが金になってしまった。

金のう○こを出す少年、そんな事がバレたら一生監禁されてう○こをし続ける人生になるかもしれない。

金のう○こを産む少年として、売られてしまうのだ。

しかも、出る瞬間に硬くなるから切れるんだよな、ケツの穴が……

まぁ、回復魔法で治すからいいけどさ、しかし何で金になるんだよ!

あまり、体内に魔法を貯め過ぎるのは、色々な意味で良くないのかもしれない。


それはともかく、体内の魔力は吐いたあの限界の時の半分くらいに減ってきた。

う○こが一番消費してるんだよな……

回復魔法や身体強化魔法よりも。

物質変換は魔力の消費が大きいのかもしれない。


どうしよう?

確かに金だが……

触るのは嫌だし、埋めておく事にした。

何故か消化し切れなかったトウモロコシだけが、金にならず挟まっているしね。

時間が経つとう○こに戻っても嫌だし。


そして、本日も魔法の修行だ。

今日は、各属性の魔法をテストしてみる。

まずは火魔法から……

メラメラと燃える炎を想像する。

魔力は右手にほんのちょっとだけ。

暴発して大火傷なんて嫌だしね。


なんて考えていたら、アチっ!

掌を火傷した。

まぁ、ほんのちょっとの炎が出ただけだけど……

体外に出す魔法の威力は大した事がない様だ。

ちなみに、ファイヤーボールとかが出ないか試したけど、僕にはできなかった。

火魔法は使えるけど、実用的ではないらしい。

訓練すれば、焚き火の火種位にはできるかもしれない。


次は水魔法を試す。

水魔法は物質を生み出すせいか、魔力はやや多めに必要らしい。

おー!

掌から水がチョロチョロと出てきた。

ちょっと舐めてみると……

ただの水の様だ。

味はない。

というか……

純粋な水なのか味が全くない。


「師父、水魔法って水の味がしないものなんですか?」


「普通飲む水はミネラル分が入っているからね。

シアンがただの水って念じたから、純粋な水になったのかもしれないね。

まぁ、普通は水魔法なんて飲まないよ?

もちろん、他に水がなければ別だけどさ、普通に川や井戸の水を飲んだ方が早いしね。

あっ、でもシャワーとかには便利なんだけど、一般的には魔力の無駄遣いになるからやらないかな」


「そうなんですか……

でもせっかくなんで、甘い水が出ないかも試してみますね」


僕は甘い水をイメージして出してみる。

甘い、確かに甘いのだが……

甘いだけじゃなく、変な匂いのついた水は、吐きそうなくらい不味かった。

これは飲めそうにない。


次に塩辛い水は……

辛い!

舌が焼ける様に辛い!

婆ア寝ろという、アラバ村原産の唐辛子の様に辛い。

辛すぎて、味が全くわからないくらいだ。


という事で、水魔法は実戦的にも、生活にも使えないレベルだった。


次は風魔法。

風魔法は、比較的少ない魔力で風の刃を出す事が出来た。

元が風魔法の魔力だからだろうか?

いや多分関係ないだろう。

しかし……

比較的威力の高い風刃は、相変わらず僕の手を切り裂くらしい。

遠くには飛ばせないし、実戦では使えないだろう。

修行次第かもしれないけど……


そして最後は土魔法。

師父の様なアースランスは使えない。

ただ、目の前に小さな落とし穴を作るくらいの事は出来た。

何の役に立つかはわからないが、唯一実戦で使える可能性がある魔法だ。

まぁ集中もいるし、何処まで使えるかは微妙だが……


こうして、僕は火水風土の4大属性は使用は可能だったが、どれも性能は微妙で戦闘にはあまり使えないという事がわかった。

戦闘に使えなければ全く意味がないしな……


「火水風土以外の属性だと、光魔法とその上位の聖魔法、反対に闇魔法とその上位の暗黒魔法があるよ。

まぁ、シアンは光魔法と聖魔法は使えるから、闇魔法でも試して貰おうかな。

ちなみに、暗黒魔法は禁忌だから教えられないし、使ったら殺すよ?

だから、闇魔法までにしておこうね。


それと、各属性の応用として、雷や嵐、地震やマグマ、生命魔法や木魔法なんかもあるけど、シアンにはまだちょっと早いだろうね。

最低でも4大属性単発で使えないとね。


あと独立系なら、精神系の魔法、時空や空間の魔法、錬金魔法、後は召喚魔法かな。

まぁ召喚魔法は時空系に近いから独立系に入れたけど、実際は4大属性とも深く絡みあっているのは……まぁいいか。

という事で、前おきが長くなったけど、闇魔法でいってみよう!」


「はい!」

僕はそう答え、暗い暗い闇を想像し、魔法を発動させる。

すると、僕の手の中に光の粒子が吸い込まれ、周りが暗くなってくる。

多分だけど、光の粒子が魔力に変換されている。

なので、最初のちょっとの魔力があれば、闇魔法はかなり長い時間使える可能性がある。

ただ、まぁ、範囲は狭く、僕1人分が隠れる程度だけど……

ん?

今なんか、魔力が増えた気がする。

とりあえず、闇魔法を解くと、師父が驚いた顔をしていた。


「シアン大丈夫?

なんともなかった?」


「いえ、なんともありませんけど?

そういえば、魔力がちょっと増えたんですけど、何かしました?」


「いや、実は……

シアンが闇に包まれて、出てこないからさ。

それに、生命の気配がしないから心配になって、風魔法で闇を払おうとしてみたんだけど。

なんか私の魔法が消えてしまったんだよね。

もう心配で、心配で……


こんな魔法見たことなかったから。

恐らくだけど、マジックドレイン系の作用が働いているのかもしれないね。

残念ながら闇魔法を使う知り合いっていなかったからなぁ。

闇魔法はあんまり知らないんだよね。

でも、負の力だから、吸収は得意なのかもしれないね。


うーん、しかし、シアンは光魔法と闇魔法が得意みたいだね。

いや、得意というか、何らかの法則があって、光と闇がたまたま扱いやすいのかもしれないな。

次は、空間魔法も試してみようか?」


「空間魔法ってどうやるんですか?

全くイメージがつかないんですが……」


「空間魔法はね、なんというか……

ここじゃないどこかと、つなげる感じかな。

私が知っているのは、4大属性の精霊が住む精霊界、神々が住むと言われる神界、悪魔が住んでいると言われる魔界、死者が逝くと言われる冥界、それと大昔には異世界という世界と繋がった者が居たと言う伝承もあるよ。

その際に電子レンジという、謎の箱が召喚されたらしい。

まぁ使い道がわからず、何処かの国の宝物庫に収蔵されているらしいけどね。


最後に、これは収納魔法にも応用されているんだけど、人はそれぞれイドと言われる、深層意識の世界を持っているらしいんだよね。

この世界は無限に広く、あらゆる場所につながっていると言われている。

シアンは、夢で蝶や芋虫になった人って言う昔話を聞いた事がないかな?

あれはイドを通じて、人の意識が別の世界に行っているんじゃないか、そんな説まであるんだよね。

でもって、このイドは魔法とも重要な関係性を持っているんだけど……

シアンの場合は、このイドが現実にはみ出しているのかもしれないね。

まぁ、それはともかく、イドの中には無限に物が入ると言われていて、収納魔法は自分のイドに物置を作る感じらしいんだよね。

ちなみに、それを袋に固定したのがマジックバッグで、実際私はマジックバッグを持っているから、収納魔法は使った事がないんだけど、シアンには必要でしょ?」


「そうですね、わかりました!」

僕はそう元気一杯に返事をして、空間魔法を試してみる。

しかし、実際は話が難し過ぎて全然わかってなかったのだ……


井戸、井戸を出して物置を作る。

井戸、井戸、井戸、井戸……

僕はひたすらこの世界じゃない井戸を想像する。

すると……

魔力の大半がゴッソリと減り、目の前に何かが現れる。

井戸だ!


僕達の目の前には、古ぼけた、石の蓋がされた井戸が現れた。

なんだか、塩と生き物の様な独特の香りがふわりと漂っている。


「磯の香り?

ヤバイ!」

師父がそう呟いた瞬間、僕達は魔法ではない不思議な力に吹き飛ばされる。

そして、石の蓋が少しずつ開いていき……

「ギ、ギギッ」

という、人の様で人ではない様な不快な声が響いてくる。

僕達は固唾を飲み込み、井戸を注視していると、井戸の縁に青白い、痩せ細った手がかかり、中からは長髪の女らしきモノが出てきた。

女は「アヴォー!」と叫びながら、四つん這いなのに高速でこちらに向かってくる!


「アリス、聖剣!」

そう言って、師父が師母に聖剣を投げ、臨戦態勢に入る。

そこからは、僕の想像を超える、ハイレベルな戦いだった。

師父も師母も、僕が目で追うのがやっとのスピードで女と戦うが、魔法ではない不思議な、超自然的なエネルギーの何かを使った攻撃は感知も防御もできず、あの師母ですら時々吹き飛んでいた。

だが、最後は師父が聖魔法で動きを封じ、師母が聖剣で叩き斬って倒す事ができた。


「ふー、井戸の悪霊、かなり強力だったね。


という事で、召喚魔法は時に危険なモノを呼んでしまう事がある。

だから、次からは気をつけるように。

それとね、井戸じゃなく、イドね!

水汲み場の井戸じゃないからね。

深層意識、って言っても難しいか。

シアンの心の中って言った方が良いかな?

つまり、自分自身の領域を開くみたいな感じでやってみてごらん」


「すみませんでした。

次は気をつけます。

ところで……

さっきの悪霊が、なんか黒い箱みたいな何かを落としたんですが?

表面にVHSみたいな文字が書いてあり、白い丸と中に細い紐っぽいものが絡まっていて……

なんか嫌な感じがするんですがどうしましょう?

あと、魔力があまりないので、魔法をお願いします!」


「うーん、そうだね。

じゃあ早速、その黒い箱を空間魔法で封印してみようか。

魔力は、これくらいで良いかな?」


そう言って、師父は風魔法の風刃を出してくれる。

僕はそれを吸収し、今度は自分の心の中の空間につながる様に念じてみる。

あ、そうか、うん、なるほど、なるほど……

どちらかと言うと、心を無にした時の感覚に近い場所に、イドという空間はある様だ。

僕は、それを少しずつ開いていくと、目の前に空間の歪みの様なものが現れた。


そして、僕は黒い箱を摘んで、その空間に突っ込んだ。

黒い箱を摘んだ瞬間、なんか鏡とか噴火とか謎の映像が見えた気もするが、特に身体に異常はないみたいだ。

ついでなので、僕は持ち物を全部入れようとしたんだけど……

血抜き君だけは入らなかった。

やはり、このナイフは普通じゃないのだろう。


「師父、ちなみに、生き物は入るんですか?」


「良い質問だね。

収納魔法は基本的にはなんでも入るはず……

なんだけど、生きているものが入ると、死ぬケースが多いんだよね。

まぁ、使い手によって違うんだけど、死なないケースもあるらしいから、そこは試して見ないとわからないかなぁ」


「それと、2回目以降は魔力なしでも開けれるんですが、これって普通なんですか?」


「普通は違うんだけど……

収納魔法は毎回魔力がいるはずだよ?

うーん、多分だけど、入り口が閉まっている様に見えて、実は完全には閉まっていないのかもしれないねぇ。

マジックバッグも別に魔力を消費しないし、魔力の残渣が残っていて、開け閉めできるんじゃないかと思うよ。

まぁ、そうすると魔力が無くならないように、定期的に開いた方が良いのかもね。

ちなみに、入れるのはできたけど、出すのはできるかな?」


「あ、そうですね、やって見ます!」

僕は、手斧をイメージして取り出してみる……


できた!

だが、出てきた手斧は、なんだかいつもと違う?

そこで、僕は試しに細い木を切ってみる。

元々よく斬れる手斧だったのだが……

斬れ味が上がっている。

細い木が、まるで手答えがないレベルで切れるのだ!


「師父!

なんだか収納した手斧の斬れ味が、上がっています。

収納すると何らかの変化が起きるのでしょうか?」


「へー、それは珍しいねぇ。

まぁ、イドの世界は人それぞれって言われているし、シアンの場合にも何らかの効果があるのかもしれない。

じゃあ、このクッキーを入れたらどうなるかな?」


僕は、師父に言われた通り、クッキーを入れて、暫くしたら出してみる。


「腐ったり、変色はしていないね。

匂いは……

この香り!!

味は……」

そう言って師父はクッキーを食べ……

少年は次なる試練に挑む。


次回 第63話 中間試験

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