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第57話 閑話 レオンとアリスの過去 旅立ち

僕はレオンを置いて先に進み、その後は大した妨害もなく玉座の間にたどり着いた。

そこにいたのは……

やはりエリーゼだった。


「あら、貴方は……

そうそう、クレープ王国でお会いしたわね。

確か、レオンの暗殺を頼んだのだったかしら?

そう、依頼は失敗したのね。

私の封印は解けていないものね……


ちなみに貴方も死霊になりにきてくれたの?

実はね、この子、とても凄い才能を持っているのよ?

あまりにも力が強すぎてね、自らを死霊化してしまい、レヴァナントになってしまったのよね。


貴方、確かアリスちゃんだったわよね。

アリスちゃん、この子の為に、死んでくれる?」


エリーゼの後ろに隠れている幼児。

どうやらそいつが、今回の騒動の首謀者らしい。

実際、濃密な死の魔力がプンプンしており、その力はエリーゼ以上だ。

ただ、悪意は一切感じられず、単に自分と同じ仲間が欲しい、そんな無邪気な考えで周りを死霊兵にしていると言った感じがする。

レヴァナント、死に戻りだったかな。

多分だが、暗黒魔法の力が強すぎて闇に囚われ一度は死んだのだろう。

それが、死霊化して生き返る、いや死に戻ると言う方が正解か?

そして、死の世界で得た魔力をふんだんに使って、死霊兵を集めて行く、そんなところだろう。


ちなみに、僕のところにも死の魔力を這い寄らせてきているが……

そんな力程度では、僕を殺せないよ?

むしろ、僕の力として次々と吸い込まれて行く。


「無理」

そう教えてあげたが……

相手は子供なせいか、理解はできないらしい。

死の魔力がエンドレスで僕に注ぎ込まれていく。


「えーっと、アリスちゃんは何故死んでくれないの?

おかしいわね……

ひょっとして、私と同じで何かの封印があるのかしら?

それとも、特異体質か何か?

可哀想に……

私と同じなのね。

私も早く死んで、この子と同じになりたいのよ。


そうだわ!

アリスちゃん、私の封印を解いてくれないかしら?

それがダメなら殺してくれない?

良いでしょ、貴方は殺し屋さんなんだし」


「殺し屋は廃業した。

ただ、解除はできる」


「そうなの?

でしたら御礼はなんでもしますわ!

私の封印を解除して下さいな」


そう、確かに封印は解けるが……

まぁ、本人の希望だし、いいか。


「我が真名、レオノーラの名をもって破邪の封印を解除する、ディスペル!」

エリーゼの封印は、レオンがかけたものだから私の記憶として残っている。

そして、パトリオットから絶え間なくくる、死の魔力を還元してエリーゼの封印を解除すると……

たちまちに、死の魔力がエリーゼに纏わりつき、エリーゼは一瞬で絶命した。


そして……

エリーゼは、死霊兵に?

いや、そうはならない。

何故なら、過去の悪業のせいか、暗黒魔法の使い過ぎのせいかは不明だが、エリーゼの魂はかなりすり減っており、既に死霊兵にすらなれないレベルのエネルギーしか持っていなかったからだ。

きっと封印を解かなくても死んでいただろうが……

こうして、暗黒魔法使いのエリーゼは消滅した。

呆気ないものだな……


そう思うのもつかの間、母親を失ったパトリオットが泣き出し、死の魔力が暴走し始める!

多分、僕とレオン以外の人間なら、即座に死霊兵と化すだろうが……

残念ながら、僕には効かないよ?

とは言え、魔力として摂取するには過剰だし、仕方ないので聖剣の力で振り払う。

それに怒ったのか、パトリオットは僕に向かって駄々っ子パンチを繰り出してきた。

いくら天才的な暗黒魔法使いで、レヴァナントでも高々幼児のパンチだ。

痛くも痒くも無い。


とは言え、鬱陶しいので聖剣で首を刎ねる。

正直、悪意の無い子供に手をかけるのは、気分の良いものではない。

なので、「安らかに眠れよ」、と言う一言を残し、その場を立ち去ろうとすると……

パトリオットが、立ち上がり、再び首が生えてくる。

レヴァナント、死に戻りだからか?

聖剣の力でも殺しきれない、不死だと言うのだろうか?

とにかく、僕はパトリオットが何度立ち上がろうと殺し続ける。

先程は憐憫に思ったが、化け物ならば是非も無い。

斬っては立ち上がり、斬っては立ち上がりを繰り返していく。

これが大人だったらかなり厄介だな。

ていうか、武の達人がレヴァナントになったら……

相当苦労しただろうなと思う。

まぁ、よく考えたら僕も一回戻ってきたんだっけ。

自力じゃないし、僕はアンデットじゃないから一緒ではないが、何となくは親近感が……

湧かないや。

無理だよね、アンデット。

ただ、レヴァナントはアンデットと言っても、血が出るし、身体は生身に近い、どちらかと言うと、魔力で死ぬ前の状態に戻している、のだろうか?

いやでも、精神は戻ってなさそうだし、中途半端なのかもしれない。


うーん、100目の死に戻り、僕は死にマシェーンとでも言いたいのか?

せめて立ち上がるのが早ければ、もうちょっと早く終わるんだけどな〜

さっさと終わらないだろうか?


300回目、なんとなく魔力が減ってきた気がする。

どうやら無限ではないらしいので、ちょっと安心した。

しかし、いい加減飽きてきたんだが……

もう夕方なんだよな。

というか、既にパトリオットは死に過ぎたショックで正気を失い、あーとかうーとか言って徘徊するだけで、死の魔力を操れていない。

ほとんどただのゾンビみたいなモノになっている。


650回目、まだ死なないので袈裟斬り。

血飛沫が飛び散り、辺り一面の血溜まりを増やす。

651回目、まだ死なないので心臓を1突き。

血が直線状に吹き出す。

652回目、まだ死なないので魔糸で首吊り。

鬱血し、死んだと思うと下に落ちており、復活している。

653回目、まだ死なないので斬り上げ。

血飛沫が飛び散り、辺り一面の血溜まりを増やす。

654回目、まだ死なないので脳天かかと落とし。

脳髄が飛び散るが、直ぐに元に戻る。

655回目、まだ死なないので首投げからの叩きつけ。

一瞬痙攣するが、元に戻る。

656回目、まだ死なないので聖剣の波動で焼き切る。

完全に消滅したと思ったが、再び身体が復元される。

657回目、まだ死なないので拳打のラッシュ。

全身から血を流し吹き飛ぶが、死に戻る。

658回目、まだ死なないのでアルゼンチンバックブリーカー

脳髄が飛び散るが、直ぐに元に戻る。

659回目、まだ死なないのでなぎ払い。

真っ二つになるが、直ぐに元に戻る。

660回目、まだ死なないので2段斬り。

三分割されても、直ぐに元に戻る。

661回目、まだ死なないので短冊斬り。

バラバラ死体になっても、直ぐに元に戻る。

662回目、まだ死なないので乱れ雪月花。

華麗に殺しても、直ぐに元に戻る。

663回目、まだ死なないので八艘飛び斬り。

8連撃も死ぬのはワンカウント。

664回目、まだ死なないのでムーンサルトキック。

頭が地面にめり込んでも、直ぐに元に戻る。

665回目、まだ死なないのでマルチウェイ。

強力な攻撃で刻んでも、直ぐに元に戻る。

666回目、袈裟斬りで……

やっとパトリオットは既に動かぬ屍体となり、そして灰になって消えてしまった。


こうして、真夜中まで続いたパトリオット討伐に、やっと終わりがきた。

しかし、666回とか……

不吉と言われている数と同じか。

正直なところ、何者かの意図を感じるような気もしないでもないが……

まぁいいか、終わりよければ全て良し!

レオンのところに戻ろう。


そして、レオンのところに戻ると……

レオンが「ピータン!」と叫びながら奇妙な構えをしていた。


母の修行は夜中まで続いたが、暗黒魔法使いが倒されたのか、突然別れを言う間もなく消えてしまった。

母上、父上、ありがとうございます。

そんな感謝の気持ちを込めて、私はいなくなった2人に敬礼する。

そして……

母に教わった事を忘れないように、復習する。

まず右手を上げ、左手は股間を隠す様に構え、腰と上半身をくねらせながら「ピータン!」と叫ぶ。

絶対防御、ピータンの構えだ。

しかし、アリスにこれを見られ……

「引くわ〜」

と、言われてしまった。

ダメだ、この構えは封印しよう。

私はそう心に誓った。


「それはともかく、終わった?」


「恙無く」


「そか、じゃあご飯にしようか」


こうして、私達は全ての問題を片付け、その後は事後処理に奔走した。

兄のラピドは、生きてはいるが、廃人同然で皇帝の座にはつけない。

そのため、臣下達は私に兄の位を移譲させ、私はグラッセ帝国の3代目の皇帝となった。

そして、私が皇帝に着いたと知るや、この大陸の全ての国はグラッセ帝国に従属を誓った。

かくして、大陸の覇者となり、皇帝となった私は、最初の勅命を下すため、関係者を全て集めた。


まずは10血、そして10血と対をなす優れた文官である10汗、従属した各国の王や上位貴族達、その全てが私の前に跪き、首を垂れる。

「皆さん、私の命で集まってくれてありがとうございます。

私が皇帝になれたのも、10血や10汗、その他多くの兵や文官、そして各国の王や貴族の方々、更に多くの民草の助けがあったからです。

私についてきてくれてありがとう。

心から感謝します」


その言葉に、多くの臣下が感動し、涙を流す。

そして、誰かが言い始めたのをきっかけに、「レオン陛下万歳」と大合唱が始まる。

暫くその合唱が続き、皆が落ち着いてきたのを見計らい、私が右手を軽く挙げる。

それを合図にサーっと静けさが訪れる。


「それでは、私の最初の勅命を皆に下す!

本日、今日この時をもって、私は皇帝の権限をザイナホンに委託し、西の大陸へ向かい更なる力を手に入れる事にする。

10血、10汗はザイナホンを私の名代として仕える様に!

各国の王も、ザイナホンに従い、平和の維持に努める事。

再度言うが、これは勅命なり!

違反するものは、私に逆らうことと同じであると覚悟せよ」

私の勅命に、皆騒めき始める。

特に1番の当事者であるザイナホンは、混乱のため事態が把握できていない。


「レオン陛下、何故、何故に私なのですか?

10血や10汗には私よりも優れた人々が沢山います。

というか、この大陸はレオン陛下あっての平和が訪れています。

せっかくの平和を、無駄にしない方がいいのではないでしょうか?」

ザイナホンの反論に私は答える。


「ザイナホン、貴方は兄嫁の弟であり、何よりファンデル将軍から政治を教わり、認められた人物なんですよ?

だから、自身を持って下さい。

それに、国難は去ったので後は治安を良くし、税金を抑え、各国との流通を活発にすれば良くなるはずです。

貴方なら出来ますよね?」


「しかし……

レオン陛下、貴方は苦労の果てに、やっと今の地位を手に入れられた。

そして、それを皆も望んでいる。

それなのに、何故貴方はそんなにもあっさりと今の地位を捨てられるのか?」


「ザイナホン、貴方は皇帝とは何だと思いますか?」


「全ての民を導くお方の事です。

ファンデル将軍からは、常日頃から上に立つ者は民の為にあれと、教わっております」


「そうです、皇帝とは全ての民を導き、先に進める者の事です。

だが、私もアリスも、先に進みすぎている。

超越してしまっている。

だから、私では誰もついて来れない。

例え10血、10汗ですら、私達の足下にも及ばない。

そんな国で、私が出来ることなんてない。

いや、むしろ私達では逆に壊してしまうかもしれません。

だから、ザイナホン、貴方や10血、10汗が治めた方が丁度良いのです。

良いですね?

貴方達は、貴方達のペースで先に進めば良いのです。

無理に私達に付き合う必要はありません。


それに、今は大丈夫ですが、いつかネビュロスが復活します。

その時のために、私達は力を蓄える必要がある。

西の大陸には、ここよりも強い魔物が多いらしいからね。

って事で、後はよろぴく〜」


そう言って、私はアリスの手を取り、皆が呆気に取られているうちに駆け出し、宮殿を出る。

誰も追いつけない。

まぁ実際、何だかんだ言ってザイナホンは、ちゃんとこの大陸を治めるだろうし、10血が治安維持を行えば争いも起きない。

政治経済に関しては10汗がちゃんと纏めるだろう。


その後、私達は、西の端の港町に着き、船に乗り、西の大陸へとたどり着いた。

特に追手はなかったし、多分皆諦めたのだろう。

その後は、アリスと2人で冒険者となり、モンスタークラスの魔物を専門に狩り続けた。

と言っても、ギルドは通していないし、素材は全てマジックバックに適当に放り込んで売っていないので、金級止まりだが。

多分真面目にやったら、魔法銀級か金剛級にはなれるだろうが、正直名誉とか興味ないし、魔物を狩る方が楽しいので、逆に金級位の方が丁度良い。


あれから80年、私達はそれなりに修羅場を潜り抜け、強くなった。

だが、そろそろ魂の寿命が短くなっていて、死の足音が近づいてきている。

まぁ、魂の結合の影響か、肉体は保持されており、見た目は若いままなんだけどね。

そんな時だ、アラバ村の奥に伝説の魔獣がいるとの文献を見つけ、私達はアラバ村の奥の森に入っていった。

そこあったのは、おびただしい数のガルフの死骸。

そして、更に森を抜けるとゴブリンの住処だったらしき跡があり、その先には……


1人の少年が、アイルロポダの死骸と共に倒れていた。

まさかこの少年が?

だが、何故だか私もアリスもこの少年に惹かれるものがあった。

だから、残り少ない人生を、この少年を強くする事に費やそう。

私達はそう心に決めたのだった。




師父と師母の修行、少年は新たな名前、シアンとしてこの2人に師事し、修行を行う。

それは、過酷で危険な修行の始まりだとも知らず……


次回 第58話 過酷な修行 レオンその一


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