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第52話 閑話 アリスの過去 要人暗殺

依頼者の家に戻ると、パンターさんが話しかけてきた。


「おいアンタ……

本当にレイパーズを倒しちまったのか?

信じられねぇ。

しかも無傷かよ。

ヤバ過ぎるな……」


「いい運動になった。

最後のシラサギ?とか言うオッさんが特に」


「いい運動って……

シラサギ?

ひょっとして……

暗殺部隊の総長のシラヌイか?」


「うん、総長のシラカバ」


「マジかよ?!

アイツが暗殺した相手は数百人って噂だぞ。

しかも、あの剣豪のガラムマサラや大魔導士ビフィックスを暗殺したって……

少なくとも、クレープ王国最強の暗殺者が、いとも簡単にやられるなんて……」


それはともかく、助けてくれてありがとう。

アンタが来なければ、俺達は全滅していた。

本当にありがとう」


「別に」

たかが数百人しか暗殺していない程度の奴か……

片手で戦える相手だし、まぁそんなものか。

しかし、あの程度でも中々いないからなぁ。

もっと骨のある依頼はないものか。

そんな事を考えていると、パンターさんが膝をつき、こちらの目線に合わせて話かけてきた。


「もし、アンタが良ければ俺達の依頼を受けてくれないか?

実は30日後の水の日に、俺達は蜂起し、クレープ王国でクーデターを起こす事を計画している。

その時に、陵辱姫を暗殺して欲しい。

報酬は俺達が払える額ならいくらでも出す。

頼む、いやお願いします」

そう言って、パンターさんは土下座する。


「別に」

そう言って、僕は暗殺依頼書を取り出す。

暗殺依頼書に書いてある事項は以下の通り。


依頼者 以下乙と略す、及び暗殺請負者 以下丙と略すは、呪術による束縛を受け、信義、信頼に基づかない契約に従うものとする。


一つ、乙は丙に前金で依頼料を支払う事

乙、丙共に契約成立後の変更は認めない

一つ、一度成立した依頼は乙、及び丙の如何なる理由に関わらず、変更、停止、破棄する事は出来ない

なお、違反者が乙の場合は乙の死を、違反者が丙の場合は暗殺者としての資格を剥奪し、丙の属する組織から別の者を派遣するものとする

一つ、依頼の対象者は1つのみとする

ただし、依頼遂行の際に妨害となる者の対処は丙に委任し、如何なる異議も受け付けない

一つ、既に対象者が死亡していた、もしくは実在しなかった事が確認された場合は、丙は契約を満了したものとする


「これを書けばいいのか?

わかった、サインしたぜ。

ちなみに、依頼料はいくら払えば良い?」


「んー、500ジル?」


「えっ?!

そんなに安くていいのか?

仮にも王族の暗殺だぜ、レイパーズだけじゃねー、衛兵だって沢山いる中で侵入し、殺す依頼だぞ?」


「じゃ、1000ジルでファイナルアンサー」


「いやいや、普通は数百万ジルとか……

まぁそんな金払えないが……

わかった、なら前金で払うから俺達のアジトについてきてくれ」


そう言われ、パンターさん達と家を出て、アジトやらについて行く。

しかし、歩くの遅いな……

村を出て、獣道を通り、山腹の洞窟がパンターさん達のアジトらしい。


そして、パンターさんは奥から金の入った袋を持ってきた。


「これが依頼料だ。

少ないが、全部持って行ってくれ」


そう言って、ズッシリと金の詰まった袋を僕に渡す。

多分、1000ジル以上入っている。

僕は、そこから1000ジルだけを抜き取り、パンターさんに突き返す。


「いや、残りも俺達の気持ちとして貰ってくれないか?

確かにアンタは強いが、一番難しい仕事を頼むんだ。

だから……」


「契約違反は死」

そう、余分なお金を貰ったら、パンターさんを殺す必要がある。

まぁ死にたいならいいんだけどねー。

多分違うと思うけどさ。


「す、すまねぇ。

しかし、金以外でも必要なものがあったら、遠慮なく言ってくれ。

魔道具だってある程度なら、入手できるんだぜ」


「心配不要、依頼は達成する」

そう言って、僕はパンターさんのアジトを後にする。


しかし、30日後の水の日か……

中途半端に時間が余るな。

クレープ王国の王都までは、ここから3日程、殺し屋ギルドからは5日程度だ。

ちなみに、3日程前に殺し屋ギルドを出てから、仮眠しかしていないし、食事も不味い携帯食のみ。

どこかでゆっくりしたいが、流石にこの近辺の村では泊まれないだろうし……

仕方ない、帰るか。

僕はそう思い、殺し屋ギルドへと向かう。


ただ、途中にレイパーズらしき集団がいたので、戦ってみたがどいつもこいつも弱かった。

あのシロハゲとか言うオッさんが特別だったのだろう。


そして、殺し屋ギルドに帰宅したのだが、誰もいなかったので、数日はのんびりダラダラと過ごした。

そして、バズさんとマスターが食材を仕入れて帰ってきたので、この前の依頼の報告と追加の依頼について説明する。


「依頼完了、邪魔な知らないオッさんは殺した。

追加依頼で陵辱姫を殺す」


「最近、クレープ王国のレイパーズの暗殺部隊総長シラヌイが殺されたって聞いたが、アリスだったのか。

それでもって、レジスタンス辺りに陵辱姫の暗殺を依頼されて受けた、って事だな?

しかしまた、陵辱姫とは難易度の高い相手だな。

陵辱姫は当然暗殺者の対策をしているだろうし、何千という兵士を潜り抜け暗殺する必要があるからな…」

相変わらず、バズさんは僕の言葉を補足してくれるんだが、よくわかるな。


「陵辱姫ねぇ。

まっ、好きにすれば良いさ。」

そんな感じで、アッサリと了承してもらえた。


「そうそう、ここに戻る前に変な奴らが森の入口にいてな、アレ多分なさっき言ってたレイパーズだぜ。

俺とマスターには興味なさそうだったから、目当てはアリスだろうけど。

あー腰がいてぇ。

俺も腰が痛く無ければ、余裕で倒すんだがな」


「暗殺じゃなければ、俺も戦ってもいいんだがなぁ。

あんまり強くなさそうだから、めんどくさいな。

しかし、こんな外れまでご苦労様な事だ。

アリス、1人で行けるか?」


ギルドのマスターの依頼に僕は、

「りょ」

と、答える。


ギルドの周りにの森には、100人くらいが入りこんでいる。

この前の名前を忘れたオッさんっぽい雰囲気だから、暗殺部隊だろう。

たった3人のギルドを100人で襲うとか、よっぽど暇なんだろうが……

と言うか、マスターは昔に馬鹿やって依頼を受けれないし、バズさんは腰が痛いって言って依頼を受けない。

つまり、依頼を受けているのは僕だけなんだよな……


それはともかく、せっかくのお客さんだし、丁重におもてなししよう。

僕は扉を開けると、手当たり次第にお客さんの首を刎ねていく。

今回は、数が多いのでハンデは無しだ。

相手はこの前みたいにナイフを使うし、衣装も同じなので仲間なんだろう。

仇討ちか〜

なら、もっと強い人を連れてこないと意味ないぞ?


るんたった、るんたった♪

鼻唄混じりに、テンポよく敵を斬り伏せていく。

大体、地形を完全に把握したこの森で、格下の君達が襲いに来る事自体が間違っている。

実際、3割くらいは罠に引っかかったり、ヒルの巣窟にはまって死んでいる。

せめて、僕の方を罠だらけのホームグラウンドに誘い込むくらいしないと、相手にならないよ?

しかも、何とかのオッさんレベルもいないし。


弱い奴らから順に倒していくと、最後に残ったのは童顔の可愛い男の人だった。

まぁ僕の方が可愛いけどね。

それに、僕はノーマルなので男には惚れない。

掘らせる気もない。


「何故だ?

シラヌイ様が育てた精鋭が、こんなにもアッサリと……

だが、この私は部下達とは違うぞ!

私はシラヌイ様の一番弟子、アリアケ。

シラヌイ様が最強だった事を示すため、私が死神アリス、貴様を倒す!」


あー、あのオッさんの弟子か。

何故だ、が好きなのも、教えられたのかなぁ……

そして、あのオッさんよりも2段階くらい弱い。

なのにどうして勝つ気なのかねぇ?


「オッさん弱かった」

僕が正直に教えてあげると、アリアケは激昂し、糸を取り出した。

魔糸だ。

魔力に応じて、自由自在に操る事ができる伝説の暗殺道具。

シゴトニンゲンと言う暗殺者が使っていたと聞いた事があるが……

アレ、欲しいなぁ。


「お前はこの魔糸で跡形もなく斬り刻んでやる!

覚悟し、グハッ」

アリアケが話している間に、ナイフを4本投げ、手脚の腱を正確に切る。


そして、動けなく這い蹲るアリアケから、魔糸を奪う。

「おもろー」

確かに、自在に動く。

力加減もできるみたいだし、なかなか便利だ。


「私でも、扱うのに3年はかかったのに……

いや、それより、それは私のだ!

返せ!」


「返すと思う?」

思わないよねー、言ってみただけだろう。

まぁでも、五月蝿いしなコイツ……

そうだ!


僕はアリアケを近くの湿地に引きずっていく。

そして……

「イビルワーム!」

そう言って、1匹のミミズを魔糸で掴み、アリアケに無理矢理飲み込ませる。


イビルワームは、動物の体内に入ると大量の卵を産み、身体の中からゆっくりと喰い尽くすミミズだ。

まぁ、この地方の人間なら、その恐怖は誰でも知っているし、アリアケも吐き出そうと必死になっている。


「頼む!

助けて……

私が悪かった。

二度とお前には手を出さないから、頼むよ」


「逆の立場なら助ける?」

僕がそう聞くと、アリアケはグッタリと項垂れる。

そりゃ、暗殺者が敵を助けるわけが無いからな。

まぁ4日くらい苦しめば死ねるだろう。


「ならば、せめて殺してくれ……」


「嫌」

僕は、そう言って、その場を後にした。

まぁ、今頃こんな所に来た事を後悔しているだろうが、僕は知った事ではない。

しかし、レイパーズは鬱陶しいな。


そう思ってギルドに戻ると、バズさんが僕に地図を渡してくれた。

「その地図にレイパーズの居場所を調べて書いておいたぜ。

どうやって?

そんなん企業秘密だ。

まぁなんとなく、そんな気がしたしな。

依頼、頑張れよ」


僕は頷いて、翌日からレイパーズ狩りに出かけた。


レイパーズは弱かったので、詳細は省略するが……

人を殺すと感謝される、この国のモラルは異常だ。

どの村でも、どの町でもレイパーズは嫌われており、実際にレイパーズは、権力を盾に暴虐の限りを尽くしていたらしいけど……

それでも、死ぬと喜ばれる人間にはなりたくないものだな。


そんなこんなで、各地を回っていたら、いつの間にか明後日が約束の水の日になっていた。

うーん、2日早いが……

面倒だし、丁度クレープ王国の王都に近いので今日行こう!

僕は王都に行き、とりあえずは昼食を食べる。

ここの名物はドネルケバブか。

切って食べる羊肉が中々美味しい。

僕はケバブ片手に、街を観光しながら、襲い来るレイパーズや衛兵達を魔糸で斬り刻んでいく。

あれから大分使いこなせる様になり、今ならばご飯を食べながら、片手でも魔糸を扱い、敵をなぎ払う事ができる。

大通りには死体の山が転がり、血の河が用水路に流れ込む。

ただ、やはりこの国は狂っている。

何故だか死体にみんな石を投げてるし。

もちろん、レイパーズや衛兵にも恋人や家族はいて、その死を悲しむ者たちもいる。

そして、遺体に近寄る者は石を投げられ、時には棍棒等で殴られ、新たな遺体を増やしていく。

まぁ、自業自得なんだろうけど。


僕は気にせず、王城まで軽いステップで歩いていく。

ダメだよ、門を閉めても魔糸で登れるし。

バリケードなんて、意味がない。

王城の中を無人の荒野の如く進んでいく。


そして、王女の間に居たのは……

陵辱姫と、あのグラッセ帝国の皇后、エリーゼだった。


アリスの目的は陵辱姫を倒す事

だがしかし、陵辱姫は奥の手を隠し持っていた。

そして、不気味な笑みを見せるエリーゼは……


次回 第53話 閑話 アリスの過去 死霊の脳髄

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