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第42話 閑話 レオンの過去 初陣

私の名前は、レオン グラッセ、グラッセ王国第2王子。

まぁ正確には、第1王女なのだが……

ここグラッセ王国は、東の果ての大きな島の、更に東端にある小さな王国だった。

実際、私が産まれた時は、従属する街は一個にまで減ってしまったらしいし。


そんな小国で、私は女の子として産まれた訳だけど、膨大な魔力を持っていた為、男として、王子として育てられる事になった。

何故なら、兄のラビト グラッセは病弱で、魔力がかなり少ない上、気が弱く、王子として向いていなかったから、万が一の時の代わりとできるように男の名前を付けられ、王子としての教育を施されたのだ。


まぁ、私は魔法の天才で、顔も良く、運動神経も優れていたし、貧乳だったので女とバレる事も無かった。

後で知ったのだが、乳母や産婆、母上の側近のメイドも含め、私の性別の秘密を知った者は全て処刑されたらしいし。


そんな私が15歳の時、私達の国は隣国のカヌレ王国から侵略を受け、降伏を求められた。

降伏条件は王家の一族全員の処刑と、全国民の隷属、つまり奴隷化だった。

勿論、そんな要求に応えることは出来ず、私を将軍として、カヌレ軍を国境の平原で迎え討った。

平原には敵、敵、敵、敵……

ざっと敵軍は30000人程らしい。

対するこちらは貧相な装備だが、それなりに鍛えられた騎兵が600人足らずで構成された騎士団のみ。

ちなみに、こちらの軍勢は、絶望の中、決死の覚悟で集まった者ばかりだった。

私を除いて……

カヌレ軍が迫る中、国王は国民に布告を出し、皆で逃げる準備をしている。

だから、私達に課せられた任務は時間稼ぎ、1人でも多くの民草を逃す事だった。


まぁ、普通に考えたら死にに行くようなものなんだが。

私は初陣ということで、浮き足立っていた。

「ねぇねぇ、ゲイツ騎士長、沢山いるけど何人殺していいの?

って言うか、どうやって戦えばいいの?」


「通常ならば、相手方の先鋒が侵攻理由の口上を述べて、こちらが応じます。

その後は、剛の者が一騎打ちを行い、後は成り行きになります。

王子、いえ将軍は出来るだけ口上を長くし、時間を稼いで下さい。

その後は、私が一騎打ちに出ますので、将軍は後ろから指揮して下さい。

そして……

我ら騎兵が全滅したら、王子だけでも逃げて下さい。

我らとて、グラッセ王国の精兵です。

せめて、1人2殺で1000人以上は倒してみせます!」


「開戦の口上をやってから一騎打ち……

うーん、面倒だなぁ。

とりあえず、敵の将軍っぽい奴の所に行ってみるよ。

ゲイツ騎士長だけついて来て〜」

そう言って、私は馬を駆り、敵軍の中央にいる将軍っぽい奴の所に向かう。

ゲイツ騎士長以外の騎士団員を置き去りにして。


「私はグラッセ王国の第2王子にして、騎兵隊将軍のレオン グラッセだ。

古からのしきたりに従い、開戦の確認に来た。

そちらも将軍を出せ!」

そう言うと、相手からは重厚な感じ鎧を纏った男が弓兵を引き連れて、出てきて答える。


「俺はカヌレ王国第2王子、この軍の将軍、マリオット カヌレだ。

おまえらに未来はない。

全員殺されるか、奴隷として降伏するかを選ぶがよい」


「そのような条件、受け入れられる訳がない。

ならば私達は最後の1人まで戦うだろう!

しかし、カヌレ王国の者よ、何故我らが国に侵攻するのだ?」


「フンッ、知れた事。

俺らはこの大陸を制覇し、全てを支配する。

既にフロマージュと、ババロアは支配した。

たから、グラッセ、モンブラン、そして大国であるペスカトーレ、ボンゴレビアンコを打倒するため、俺が将軍に選ばれたのだ。

だから、俺達の覇業の礎となるためにまずはお前に死んでもらう。

しきたりを利用して時間稼ぎをするつもりだろうけど、俺はせっかちでな。

すぐに始めさせてもらうぞ、弓兵隊、撃ち方始め!」


そう言って、マリオットは一騎打ちもやらずに一方的に矢を放ってきた。

大量に降り注ぐ矢の雨を、私は即座にアースウォールの魔法で土壁を作り、防ぐ。

そして、土壁で矢を完全に防ぎながら、ゲイツ騎士長に聞く。

「ゲイツ騎士長、向こうが撃ってきたし、好きにやって良いよね?」


「いけません!

王子がやられたら終わりです!

逃げて下さい」


「いや、どうせ逃げてもね?

矢で射られてやられるだけだしね〜

アースニードル!」

そう言って、私は眼前の敵、って前が見えないから適当に魔法を放つ。

魔法により、地面からは無数の鋭利な突起が突き出し、敵兵を串刺していく。

そして、すぐに矢の音がなくなり、地面から突起が出る音と馬の嘶き、肉を突き刺す音、兵士の叫び声が響き渡る。


私は、土壁の魔法を解除し、敵の様子を見てみると……

先程のマリオットも含め、多くの敵の串刺し死体が眼前に広がっていた。

ざっと3000人はやれたかな?

運の悪い者は何度も突き刺しされたり、中途半端に生きて痛みに苦しむ者や辛うじて避けた者も馬から落ちた衝撃で傷まみれになっている。

初めて人を殺してみたが……

こんなものか。

まぁ血の匂いが臭いなぐらいにしか感じなかった。


そして、私はアースニードルの魔法を解除すると、次いで魔法で土人形を3000体程作り出し、死んだ敵兵から武器を奪って、残りの生きた敵兵に攻撃させる。

敵兵は、突然地面から槍の様な突起が出た事に驚き、呆然としていたため、土人形の進行に対処できず、仲間だったモノの武器で殺されて逝く。


勿論、抵抗する者もいたが、相手は土人形。

剣で切っても、槍で刺しても、弓で射っても、火魔法で焼いても、雷撃魔法でさえも……

何をしても倒せずに襲ってくる。

次第に恐怖で逃げる者が増えていくが、総司令官である将軍が死んでいるため、逃げる前衛と状況が理解できていない中衛で衝突が起こり、同士討ちが各所で起こる。


更に、機を見て敵右舷の一団2000人位が反旗を翻し、カヌレ王国軍に襲いかかる!

ちなみに、我らがグラッセ王国軍も状況が理解できず立ち尽くしていたので、私はゲイツ騎士長に即座に命令する。


「ゲイツさん、グラッセ王国側に逃げる残党が居たら殲滅!

直ぐに騎士団に戻って伝えて!

私は引き続きここで魔法で敵を倒しますから」


「ですが……

王子の護衛が……」


「心配しないでもいい!

多分、私は貴方の何倍も強いから。

将軍命令です、祖国を守りなさい!」


「イエッサー!

御武運を」

そう言うと、ゲイツ騎士長は騎士団に戻っていく。


さーて、それじゃ楽しもうかな。

そう思ってから、私は敵軍との前線付近に向かっていく。

そこでは、土人形が1人の男を囲んでいた。

身長は私の1.5倍程ある大男で、筋骨隆々で巨大な槍を振り回している。

ちなみに、土人形には楽しめそうな強者を殺さず残す様に指示していたのだが、この軍にいるのはこの1人だけっぽい。


「私の名前はレオン グラッセ。

グラッセ王国軍の将軍だ。

貴方は中々の強者とお見受けする。

名前を聞かせてもらえるかい?」


「我が名はバルサ ミコス、この軍の副将だ。

カヌレ王国に古くから使える武家のミコス家の現当主なり!

お主がこの魔法の使い手か?

小賢しい真似、と言うには規模がデカすぎるな。

いずれ我が祖国に仇なす者となろう。

悪いが、今ここで討たせてもらうぞ!」


「ミコス家……

結構有名な武家だった様な?

なら、楽しませてもらえそうだね。

じゃ、いざ尋常に勝負!」


私は土人形を下がらせ、馬を駆り剣を引き抜く。

バルサは、私を目掛け突きを放ってくる。

大技かと思ったが、正確で速い!

私は馬の軌道を変えつつ、馬上に立ってジャンプし避ける。

そして、バルサの肩口と脚を立て続けに斬り裂く。

浅い……


流石は武家の名家なだけはある。

多分、ウチの騎士団の誰よりも強い。


「お前、魔法使いじゃないのか?

その剣さばき、只者じゃないな。

いや、身体強化の使い手か?


一騎打ちに魔法を使うのは無粋なり!

純粋な武の力、見せてやろう」


「いや?

身体強化なんて使ったら一瞬で終わるし?

そんなつまらない事はしないよ。

それに、人と戦うのは初めてだしね〜

今までずっと土人形相手だけだったから。

あ、ちなみにこの土人形は土の精霊が入っていて、自動で動くから、自作自演の修業じゃないよ?


って事で、次は本気でやってみようかな」


私がやる気になり本気で構えると、バルサは膠着して動かなくなった。

恐らく、何百通りの攻撃を想定しているのだろう。


「来ないの?

来ないならこちらから行くよ?」

そう私が言うと、バルサは雄叫びを上げ、無心で突っ込んできた。

成る程、確かに純粋な武の力だ(笑)。

まぁ最善手だろうけどね。


多分、まともに打ち合えば質量差で負けるが、瞬発力と力の制御はこちらの方が上だ。

私は、相手の槍の穂先の一番弱い部分に、剣を適切な角度で当て、相手の力を利用して槍を破壊する。

ちなみに、金属の弱い部分がわかるのは土魔法使いが得意とするスキルなのだが、戦闘で相手の武器破壊に使うのは、私くらいだろうな……

そして、必死の一撃を避けられた上に、槍を破壊され、唖然とするバルサの首を一気に刎ねる。


「うーん、これじゃ土人形の方が強いよなぁ。

もっと強い相手がいると期待したんだけどね〜」


そう1人で呟き、私は残党を始末していくのだった。



レオンは将軍として、アポーの街を攻略する事に。

だが、その犠牲は……


次回 第43話 閑話 レオンの過去 街の攻略

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