第41話 師事
僕が目覚めると、そこには超絶美形の金髪碧眼の2人の男女がいた。
あれ?
僕はアイルロポダに殺されたはず?
この2人は、天国からの使いなのだろうか?
しかし、周りを見渡すと、アイルロポダが死んでいる。
多分、僕もまだ死んでいない、生きている。
そうか、この2人が助けてくれたのか……
僕は起き上がり……
身体中が痛い。
起き上がれない。
まるで全身の筋肉を、限界以上に酷使したかの様に。
物凄い筋肉痛みたいなものだと思ってもらえばいいだろう。
僕は、女性の方に膝枕されており、なんかの薬と水を飲まされ……
再び寝てしまった。
そして、翌朝?に起きると、身体はすっかりと治っていた。
何故か岩室の様な建物に居て、布団まで引いてくれてあった。
だが、隣にアイルロポダの死骸が寝かされており、訳がわからない状態だった。
僕は立ち上がり、2人に話しかける。
「あの……
助けて頂きありがとうございます。
御二人が来なかったら、僕は多分死んでいたと思いますし。
しかし、凄いですね、アイルロポダを、モンスター級の魔物を倒すなんて」
すると男性の方が返答する。
「いやいや、私達がついた頃には、とっくにこの白黒熊は死んでいたよ?
たまたまこの近くの村を通った時にさ、かなり昔に白黒熊が出たって言う伝承があると聞いてね。
せっかくだから狩っちゃおうかな?
って考えて来たんだけど、白黒熊は死んでいるし、その側に子供が倒れているし、もうビックリだよ。
だから、てっきり君が倒したのかと思ったんだけど、違うのかい?」
狩っちゃおうかな?が、魔導式冷蔵庫でも買っちゃおうかな?位の気軽さに、違和感を覚えるが……
「僕は、一撃で気絶してしまったから、気づいたら2人が居て……
てっきり、2人が倒してくれたのかと思いました。
というか、ここはどこなんですか?」
「私は誰とか?
ププッ」
女性の方が、独り言を言って笑った。
「アリスが冗談とか珍しいね。
それはさておき、多分君を安心させるための冗談だから気にしないでいいよ。
僕はレオン、旅の冒険者だよ。
ここは、君が倒れていた場所に、僕が魔法で簡易の岩室を作ったんだよ。
まぁそして、この白黒熊を倒しにきたら、君が倒れていたって言うのは、さっき言った通りなんだけどね。
って言うか、なんで君みたいな子供がこんな所にいるんだい?」
魔法で岩室?
そんな話は御伽話のレベルでしか聞いた事もない。
それに、アイルロポダを軽く倒しに来たと言うのも嘘ではないだろう。
この2人からは、とんでもない威圧感を感じる。
これが圧倒的なレベルの差なんだろうか、正直、アイルロポダよりも数倍怖い気がする。
「実は……」
僕はこれまでの経緯を、緊張しながら、ゆっくりと話した。
小さい頃にゴブリンを倒してハンターを目指した事、冒険者の養成所で仲間に出会えた事、ゴブリンを殺しまくりボスとマザーを倒した事、親と戦った事、、仲間が妊娠して抜けた事、ガルフが村を襲って沢山の人が殺された事、怒りのままガルフに復讐した事、そして、アイルロポダを見つけ、一撃でやられた事。
一つ一つを丁寧に話した、気がする。
それを聞いて、レオンさんは僕に提案してきた。
「なるほど、多分だけどブルー君には何か潜在能力があるのかもしれないね。
まぁ、それが何にせよ、ここまで生き延びた事は凄い事だよ。
そうだな、ブルー君ならいいかもしれない。
アリスはどう思う?」
「オッケー牧場」
「と、言う事で、突然なんだけどブルー君。
君は僕達の養子にならないかい?
僕達2人には子供がいなくてね、気に入った子を見つけたら、養子を迎えようと思っていたんだ。
君なら僕達について来れそうだし、どうかな?」
「はい?
養子ってどういう意味ですか?!
えーっと、2人の子になるって事ですか?」
突然過ぎてよくわからない、だがこの2人なら僕を瞬殺できる。
答えは慎重に選ばなければならない。
「そうそう、まぁ君が良かったらだけどね。
でも良く考えてみてくれ。
君は既にこの近辺の魔物を狩り尽くした。
つまり、ハンターとしては廃業だよね?
しかも、呪われた子として、もう村人からは受け入れられないと思うよ?
だから、仕事もなく、近隣の人達からは怖がられ、この先君が村に戻っても先はないかもしれない。
多分、君ならば一人で旅立つ事になるんじゃないかな。
一方で、僕達についてくれば、色々な魔物と戦える。
僕達の知っている技術も身につけれるし、一石二鳥だよ?
まぁ勿論、自己鍛錬が足らないと死ぬけど、当分は2人でサポートするし」
レオンさんの言い分は正しい。
この先を考えれば、いつかは村を出なければならない。
でも……
「御2人についていける事はとても魅力的なんですが……
僕の両親はまだ生きてるし、勝手に別の家の子供になるのは……」
「うーん、確かにいきなり養子ってのは抵抗あるよね。
ならさ、弟子って事でどうかな?
私が師父で、アリスが師母、ブルー君は弟子、これで字面だけは親子っぽいし、まぁ形式的なものだけど、君は家族を裏切らなくても済むし。
まぁ、弟子なら辞めたくなったら、いつでも辞めれるしね。
別に僕達は君を育てみたいだけだから、強制はしないし、村に帰りたいならいつでも送ってあげるよ?
どう?どう?」
確かに……
弟子なら家族を裏切らないで済むし、僕にはデメリットもない。
レオンさんが言うように、村には多分帰れないし、帰ってもジャルもアナもいない。
スカイハイはなくなり、魔物もいない。
一生村で怖がられて生きる。
流石にそんなのは嫌だ。
僕は決意して、レオンさんに言う。
「僕はまだ未熟者で、不束者ですが、よろしくお願いします。
これからは師父、師母と呼ばせて下さい!」
僕は思いっきり頭を下げ、お願いする。
「えっ?
ホントにいいの?
わーい、よろしくねブルー君。
これからミッチリ修行してあげるから、楽しみにしてね。
あ、そうだ……
僕達も色々と訳ありでね、君の安全のために、できれば弟子の間は偽名を使って貰おうかな?
ブルー、蒼き者、僕達の国の言葉だと……
そうだね、君はこれからシアンでどうだろうか?」
「シアンになって思案に暮れる」
なんか、不穏な言葉が聞こえた気もするけど……
気にしないようにしよう。
「わかりました。
これからよろしくお願いします。
師父、師母、貴方達の足手まといにならない様に頑張ります!」
こうして、僕は第2の両親ができ、新たな人生をスタートする事になった。
僕の名はシアン、師父レオンと師母アリスの弟子。
先行きは不安だけど……
なんとかなる、そんな気がしたんだ。
「ちなみに、このアイルロポダの死骸はどうするんですか?
魔石を回収して、爪は素材になりそうだし。
かなり高く売れそうですよ?」
「うーん、お金には困ってないしね〜
それに、この程度の魔石には興味がないし、シアンが倒した?んだし、シアンの物でいいんじゃない?
ねぇアリス、ちょっち解体してあげて」
師父が師母に解体を頼むと……
「りょ」
と一言返事した後、僕には見えない程の一瞬で、アイルロポダを完全に解体した。
そして、師父が魔石を僕に渡して言った。
「おめでとう、これでブルー君、って間違えた。
シアンも今日からモンスターハンターだ。
これから大変だと思うけど、頑張るように」
「ガンバ」
僕は、その言葉に、涙を流しながら魔石を受け取るのだった。
師父レオン、その生い立ちは……
第42話 閑話 レオンの過去 初陣




