第40話 死を呼ぶもの
僕がアイルロポダの前に行くと、そいつは喋りだした。
「グワーッ!
オマエチイサイ、タベゴタエナイ。
マリョクモナイ、オレサマフマンゾク。
オマエ、コロシテアソブ!」
高等な魔物は喋ると聞いた事があるが……
本当にいるとは思わなかった。
あまりにもの威圧感に、僕は立ち竦んでしまう。
って言うか、多分戦いにもならず、嬲り殺されるだけ。
逃げようか?
一瞬思ったが、多分逃げられないのだろう。
それならば、例えかすり傷でも、一撃を与えて死にたい。
僕は震える膝を無視し、血抜き君を構える。
アイルロポダは四足歩行から立ち上がり、二足歩行になって僕を睥睨する。
「フンッ!
ハムカッテクルカ。
オモシロイ!
ナラバオレサマヲタノシマセロ」
そう言うと、全身が一瞬光り、アイルロポダの筋肉が増大する。
魔力強化だ!
多分ジャルと同種の……
魔力で力を増幅し、とんでもないパワーとスピードを叩き出す。
多分、普通に戦っても勝てない相手なのに……
格下相手でも手を抜かないのか。
それなら、死に場所として満足だ。
アイルロポダは右手を振り上げ、強烈な一撃を繰り出す!
僕は紙一重で避け、傷を与えようとアイルロポダの腕に血抜き君を突き刺す!
そう思った瞬間に、裏拳が飛んできて、僕は吹き飛ばされる。
そして、僕は地面に背中を強打し、意識が薄れていくのだった。
「主人公死亡につき、この物語は完了しました。
短い間でしたが、読んで頂き、誠にありがとうございます。
なーんてね。
冗談っすよ。
前にもこのネタやったって?
まぁ、そんな事はオイラとは関係ないし、知らねーっすよ?
まぁ、まだまだ終わらせるには早すぎるっすからねー。
せめて、オイラがもう少し活躍する所を、乞うご期待っす」
―――――――――――――――――――――――
またつまらないものを殺してしまった。
絶対強者であるはずのソレは、そう思った。
そして、動かなくなったソレに、トドメを刺そうと近づいていく。
しかし、その小さきものの気配が一変する。
膨大な力が膨れ上がっている。
これは魔力?
いや、これは魔力ではない。
死の臭い
死を司る力
多分、この世ならざる力
恐らくだが、俺様より強い力がある。
そいつは、かつて小さきものであった何者かが突然言った。
「あーあ。
ご主人サマは弱いっすねー。
オイラを使ってるんならもっとしっかりして欲しいっすよ。
まぁでも仕方ないっすね。
もーホントに仕方ないっすよねー」
「オマエハダレダ?
ナニモノダ?」
俺様はそいつに問いかける。
「オイラ?
オイラの事っすか?
まぁいわゆる妖精さん?
ケケケ。
今は血抜き君って呼ばれてるんすけど、一応雌型なんすけどね〜
って言うか、血抜き君とかなんなんすかそのセンス。
笑えるっすよねー」
「コロス、コロス!」
俺様は全ての力を注ぎ込み、一撃を繰り出す!
しかし……
地面に転がるのは、俺様の腕だった。
一瞬過ぎて、太刀筋すら見えなかった。
斬り口は真っ直ぐで、痛みも感じない、斬られた事すら分からなかった。
俺様は、飛んでいる蝿ですら摘める動体視力があるのに、だぞ?
「あちゃー、ちょっと本気出しただけなのに、ご主人サマの腕が折れちゃったっすよ。
脆いな〜
首狩りもそう思うでしょ?
えっ?
人間の子供だし仕方ないって?
まーそうっすけどね〜
でも、オイラとしては頑張って欲しいわけで。
って事で治しますかね。
ブラッドヒーリング」
そいつがそう呪文を唱えると、俺様の腕から流れる血が、根こそぎ吸い取られる。
そして、小さきものは全身の傷や、骨折が綺麗に治っている。
「ナゼ、ソンナヨワイモノニオマエガシタガウノダ?」
「何故って?
それはね〜
ご主人サマは死を呼ぶもの、だからなんすよね。
別にそういう能力とかじゃなくて、運命、みたいな?
周りの人間を、動物を、魔物を意図せずに、運命の弱い奴から自動で死なせていく、そんな運命なんすよね。
地獄の冥帝の寵児みたいな方なんすよ。
凄いっすよね〜
最初、こんな辺境の村で見つけてビックリしたっすよ。
ま、それでいて真っ直ぐで、魔物に容赦ないとことか、超ラブリーな所が気に入っているんすよね。
ホントご主人サマと一緒なら、沢山の死が見れて、面白いっすからね〜
って、これはご主人サマに内緒の事なんすけどね〜
って事で、秘密を知ったアンタは……
死んでもらうっすよ?」
俺様は恥も外聞も殴り捨てて、逃げ出した。
こんな化け物、敵うはずがない。
片手では歩き難いが、3足歩行で必死に逃げる。
遠くへ、とにかく遠くへ!
ひたすら、我を忘れて逃げ続ける。
そして……
気付くと目の前には、小さきものが?!
というか、さっきいた場所から動いていない。
「ナゼダ?」
俺様の問いかけに、ソレが答える。
「ブラッドイリュージョン、幻影魔法の一種っすよ?
血液を介して、中枢神経に直接幻影をかける魔法っすね。
こんなんも、あるっすよ?」
ソレがそう言って、手を振ると、俺様の左腕の血液が沸騰し、腕ごと弾け飛んだ。
強烈な痛みが、脳を焼くかのように伝わる。
「ブラッドボムの魔法っす。
って言うか、魔力は使ってないから正確には魔法じゃないんすけどね〜
冥術とかに近い分類、みたいな?
対生物なら、傷さえつければどんな相手でも殺せるんすけどね〜
覚醒状態のご主人サマじゃ、使えないのが難点っすね。
でも、内在性の冥術なら使えるかもだから、ブラッドブーストは使えるようになって欲しいっすけどね。
まぁ使えたら使えたで、神の信徒に狙われるかもしれないっすけど。
んで、パンダさんは、死ぬ覚悟できたっすか?」
腕を失い、圧倒的な力を持った相手に、俺様はなす術を無くした。
抵抗しても死ぬ。
抵抗しなくても死ぬ。
ならば、俺様はこれでも強き魔物に類する種族だ。
無駄死にでも生きるのを諦める訳にはいかない!
「オレサマオマエマルカジリ!」
俺様は叫びながら、ソレに噛み付こうとする。
「ふーん、一応は抵抗するんすね。
まぁ嫌いじゃないっすよ、そう言うの。
んじゃ、こちらもそれなりに対応しないと失礼に当たるっすね」
そう言うと、ソレは素手で俺様の身体を突きまくる。
そして……
「オマエはもう、死んでいるっすよ?」
と言うと、俺様の全身から血が吹き出し、それの持っていた刃物に全ての血を吸い取られる。
俺様は……
死ぬのか……
―――――――――――――――――――――――
「さてと、パンダさんは倒したけど、どーするっすかね〜
おっ、誰か近づいてくるっすね。
しかもかなり強い2人が……
ご主人サマ、それじゃ後は任せるっすよ。
頑張って強くなるっすよ?」
そう言って、ソレはいなくなり、ブルーの身体は雪の大地に倒れるのだった。
第1章 少年編 完
少年は、何故か生き残り、そして見知らぬ2人に助けられる。
そして……
2人からある提案を受けるのだった。
第2章 修行編
次回 第41話 師事
なお、次話は2018年7月1日掲載予定です。




