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第38話 責任

ジャルが森へ入った後、僕は村を一回りして、ガルフの残党がいない事を再確認する。

そして、家の見張りは父さん達にお願いして、僕は仮眠を取った。

とにかく色々とあり過ぎて、限界だったからだ。


翌朝、再び森に入ると、中腹でジャルが死んでいるのを発見した。

5匹のガルフを倒したみたいだが、全身咬み傷や、引っ掻き傷が付いており、相当無茶をした形跡が見られる。

僕が一緒についていれば……

一瞬そんな考えが頭をよぎるが、あの時の僕は限界だったし、ジャルも正常ではなかった。

だから多分、僕が行っても遺体が増えて、2つになっただけだろう。


残りのガルフは多分、ヒルの巣窟の先にまだまだいる。

また今晩に襲撃があるかもしれない。

僕は村に戻ると、集会所に大人が集まり、被害等の確認をしていた。


話を聞くと、以下の通りだった。

村内で討伐されたガルフは21匹

5匹は父さんと、母さん。

3匹は村人、ただしかなり弱っていたらしい。

父さん達の討ちもらしか、僕が逃してしまったガルフだろう。

残りは誰が倒したか不明、と言う事になっている。

まぁ、多分僕が倒した分がほとんどだろうけど、敢えて自慢する事じゃないし。

村人の被害は……

ガルフが土を掘って床下から侵入したらしく、かなりの被害者が出た。

女性と子供で15人

その中にはアナとピーチ、そして、幼馴染のエルミとボッツも含まれていた。

近しい人が亡くなる。

この世界では当たり前の事だが、悲しくない訳がない。

更に、怪我人はもっと多い。

実際、ここに集まった大人の半分が怪我をしている。

そのため、皆が鎮痛の面持ちで、思案に暮れている。


そして、そんな沈黙を破る様に、村長さんが話し始めた。

「とにかく、これからどうするかを考えなければなりません。

近隣の村や町には応援を頼みましたが、どんなに早くても6日はかかると思います。

それまで、どうにか被害が出ないように、守りきらなければならない。

みんなで考えましょう、なんとか立て直しましょう!」


そこで、村人の1人が質問する。

「まずは、怪我人を治さないと……

ジャル様はどうされているんですか?」


僕はそれに答える。

「残念だけど、ジャルは森の中で死んでいた。

アナとピーチの復讐に1人で出かけたんだ」


それを聞いて、皆が動揺する。

そして、別の村人が怒鳴る様に聞いてきた。

「ブルー、なんでお前がジャル様を止めなかったんだ!

荷物持ちでもパーティメンバーだろうが!

お前のせいで、ジャル様が死んだ。

もうこの村は終わりだ!」

更に、僕が言い訳する間も無く別の村人が言う。


「そもそも、村をガルフが襲ったのも、スカイハイがゴブリンを狩ったせいじゃないのか?

祟りだ、この村にも祟りが来たんだ!」


「ブルーの家だけ無事なのも怪しいぞ!

コイツらがヘマして引き込んだんじゃないか?」


「お前のせいで……

自分だけ生き残りやがって。

ウチの子を返せ!」


「こうなった責任を取れ!」

「責任を取れ!」

「責任を取れ!

責任を取って、森でガルフを引きつけてこい!」

……


怒りの感情で責任を叫び続ける村人達を、村長は宥めようとするが、一度火が着いた状態は収まらない。

そして、僕がわかった、と言おうとしたその時

「黙れ!

大人がこれだけ揃っているのに、子供に責任を押し付けるな!

それに、この子がガルフを倒さなかったら、もっと死人が出ていたんだぞ?

わかっているのか?」

父さんが一喝し、その場が静まり返る。


それでも、1人の村人が質問してくる。

「バルドさん、例えブルーが子供だとしても、ブルー達がゴブリンを狩ったせいで、こんだけの死傷者が出ているんだ。

私らだってわかってはいるんだが、感情的には無理なんだよ。

それとも他に何か方法はあるのかい?」


「ならば俺が倒してくる。

子供のやった事は親の責任だ。

それで文句はなかろう」

父さんがそう言うと、村人達は再び騒めき、意見が分かれる。


でも、僕は決意して皆に宣言する。

「父さんが居なければ、この村の守りが薄くなる。

だから、父さんは行っちゃダメだよ。

それに、僕だって正式に冒険者になっている以上、魔物は倒さなければならない。

多分ガルフがきたのも、餌になるゴブリンを殲滅しちゃったからだろうし……

誰かがやらなければいけないなら、僕が行きます!

父さん、僕のワガママかもだけど、お願いします!」


「ブルーが自分で決めたなら……

だが、命を棄てるような事はしないんだな?」


「僕だって死にたくないし、必ずガルフを殺してくるから。

ただ、全部は無理だと思うし、数匹は村に来るかもしれない。

だから、父さんと母さんはこの村を、アルフ兄さんとラーナを守ってね」


「わかった。

他の奴らも良いな?

この子がガルフを引きつけている間に、ワシらは村の守りを固める。

子供が命懸けで出るって言うんだ、文句のある奴は、ワシがぶん殴る。

わかったら、家族を連れて集会所に集まれ。

救援が来るまで、皆で籠城するぞ」


父さんがそう言うと、皆は納得したのか家に帰っていった。

僕は、少し仮眠を取ってから、準備を整えて出掛ける事にした。

夕暮れ時、これから夜にかけて襲い来るガルフを狩り続けなければならない。

僕の出立の前に、マルコさんは、餞別に煙玉を5個くれた。

父さんは、無言で古びた手袋をくれた。

確か握力が少し上がるグローブだ。

父さんが冒険者時代に使っていた、大切なグローブのはず。

ちなみに、ウイングブーツもそうだが、魔法の道具は使用者のサイズに自動的にフィットするようになっている。

理屈や原理はわからないが、そう言うものらしい。

なので、僕はそのグローブをありがたくもらう事にした。


母さんは、最後までついて来ると言い張ったが、母さんは強いが僕の脚の速さにはついて来られない。

だから、1人が良いのだと説得すると、指輪を1つくれた。

理力が上がり、思考能力が向上する指輪らしい。

確かにつけると頭がクリアになる気がする。

あくまで、気がするレベルではあるけどね。


こうして、僕は家族に見送られ、森へと向かう。

ただ、一部の村人には、「疫病神は出て行け!」とか、「お前が死ねば良かったんだ」とか、色々な罵声を浴びせられ、石を投げつけられた。

まぁ、全部避けて、軽くぶん殴ってやったけどさ……

ハンター舐めんなよ?


それはともかく、多分もう村には戻れないだろう。

これから、昨日より多くのガルフと相対しなければならないんだし。

生きて帰れる保証はない。

せめて、アナがいれば別だけど、アナはいない。

そして、犬死のジャルも。

ちなみに、父さんには、全てが片付いた後でジャルとアナの遺体を弔ってもらう様に頼んだ。

これで思い残すことはないだろう。


僕は意を決して森を駆け抜ける。

途中にいた数匹のガルフは斥候なのか単独だったので、サックリと殺し、ヒルの巣窟についたのは夜がかなり更けてからだった。

ヒルの巣窟を抜ければ、100を超えるんじゃないかと言う大量のガルフがいる。

でも……

ジャルや村人達ほど感情任せではないが、僕だって怒っているんだ!

例え命尽きようとも、殺して、殺して、殺しまくってやる。


僕は、ヒルの巣窟を抜け、今あるだけの最強装備で、見渡す限りのガルフの群れに雄叫びをあげながら突入したのだった。





少年は鬼神の如く、全てを斬り裂き、その敵を肉塊に変えていく。

そして、その果てに待っていたものは?!


次回 第39話 白と黒

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