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第33話 大虐殺

食料はあと2日分、明日には帰らないとまずいか……

まぁ、最悪の場合でもウサギを狩ればあと何日かはしのげるのだが。

そんなに無理する必要はないしね。

僕は最初の草原に戻り、野営して食事を取る事にした。


今頃アナやジャルは、温かいご飯を食べているのだろうか?

幸せにしているのだろうか?

そんな事を考えると、思わず涙が出そうになる。

僕だけがなんでこんなに辛いのか……

だけど、アナやジャルは孤児だからもっともっと辛い思いをしてきたのかもしれない。

それに、アラバ村にすら貧富の差があるのは僕だって知っている。

幸い狭い村だから、互助的な支えはあるけど、ウチの様に皆んなが余裕があるわけではない。

まぁ、逆にウチに余裕があるからこそ、今この野営が辛いのかもしれないけどね。


ただ、僕はハンターになると決めた。

だから、この辛さには堪えなければならない。

悪いのはゴブリン……

そうだ!

悪いのはゴブリンなんだ!

奴らを殺す。

狩って、バラして、晒してやればいい。

そんな事を考えながら、僕はヒルの巣窟に向かい早目に寝た。


翌朝、早目に起きてヒルの巣窟を出ると、空はまだ暗かった。

僕は軽めに朝食を済ませ、臨戦態勢に入る。

何故なら、草原にゴブリンが1匹いるからだ。

しかも、動きが速い!

スピードはウイングブーツ無しの僕と同程度か?

僕に気付いたのか、一直線にこちらに向かってくる。


僕は、少し草の少ない場所に誘導し、足の速いゴブリンと会敵する。

そのゴブリンは、目の所に【忍】と書いたバンダナみたいなものを付けていた。

古に居たと言われる忍者みたいなゴブリンだな。


忍者ゴブリンと僕は数合打ち合う。

パワーはほぼ互角、スピードはこちらがやや上で、体力は多分忍者ゴブリンの方が上だろう。

つまり、長期戦になるとこちらが不利だ。


でも、久しぶりに同格の相手との戦いは楽しい。

更に数合打ち合う。

勝負は互角!

ではなく、こちらは二刀流だから相手の攻撃を受け、斬り返す事ができる。

しかも、血抜き君はかすり傷でもダメージを与える事ができるから、次第に忍者ゴブリンは手数が減ってきた。


そして、スピードはこちらが上だから、相手は逃げる事もままならない。

徐々にこちらの攻撃が当たり始め、血の気が失せていく。

それでも必死に喰らいついてくる……

右腕を斬られれば蹴りで、片脚の血を抜かれ麻痺しても噛みつきと左手の鋭い爪で……

最期まで足掻き、ボロボロになりながら死んでいった。


僕は、その姿を見て感動すら覚えた。

出会えた事に感謝するくらいだ。

だがしかし、そうは言っても死んでしまえば、只の肉だしね。

ゴブリンの死骸を埋葬なんてしない。


とりあえず、忍のバンダナを奪って使ってみる。

ふむふむ、前が見えなくなる代わりに、その他の感覚が研ぎ澄まされる。

夜や霧の日なら、かなり有効に使えるかも?

あと、脚力も強化されるし、特殊な装備っぽいな。

ちなみに、目以外に巻くと、脚力強化しか発動しないらしい。

それでもかなり使えるけどね。


あと、さっきの忍者ゴブリンはどうやら盲目だった様だ。

盲いた獣……

陰獣

ふとそんな名前が思いつく。


それならば、その名前に相応しい使い方をしてやろう。

僕は、陰獣の死骸を持って森に入る。

もう暫くすれば夜明けが来る。

僕は急いで森と次の草原の間に、ゴブリンの死骸を集め、ロープで括って吊るして行く。

と、言ってもほとんど首だけなんだけどね〜


そして、完全に夜が明けると、ゴブリン達は仲間の死骸が無惨に晒されているのを見つける。

流石に怒った様で、ゴブリンリーダーを先頭に6匹のゴブリンがこちらに向かってくる。

6対1……

通常なら逃げる所だが、バンダナの威力、確かめてみるか。


僕はバンダナを目に巻き、ゴブリンの一団をギリギリまで引き寄せ、煙玉で視界を悪くする。

やはり、煙の中でも相手が手に取るようにわかる!

僕は、素早く6匹のゴブリンを殺していく。

視界が悪い中では、魔石の感知に任せて血抜き君で心臓を突く方が楽みたいだな。

相手のガードも緩くなるし、暴れていても後ろからブスリと刺せば良い。


そして、煙が晴れると周りにはゴブリンの死骸だけが残った。

今ので洞窟を守る残りのゴブリンは20匹位に減っていた。

昨日からの補充はなさそうだな。

やはり精鋭部隊なのかもしれない。


僕は更に増えた死骸を甚振る様に斬り刻み、遊んでいるかの様に辺りに撒き散らす。

その惨状に、全てのゴブリンがこちらを睨む様に見ている。

いやまぁ一部に変なゴブリンもいるけど……


とは言え、流石にかなり殺したので向こうも寄ってくる様子はない。

ボスも出てこないし……

まぁ煙玉があと1個しか無いから、あまり沢山は相手できないんだけどね。


仕方がないので、僕は一旦森に隠れ、様子を伺う。

昼過ぎまでじっと待っていると、ゴブリン5匹が近づいてきて……

仲間の死骸を葬い始めた。

ゴブリンの葬儀……

死者に祈りを捧げ、身体の一部を土に埋める。

そして泣く。


こんな生態があるなんて……

まぁでもその分隙だらけだ!

僕はこっそり近づいて、1匹ずつ殺していく。

ゴブリン達は葬儀の作業で忙しく気付かなかった。

3匹目位で気づかれたが、あと2匹!

逃げ惑う2匹を容赦なく殺す。

洞窟を守る奴らは……

悔しそうな顔でそれを見ている。

けど、決してこちらを攻めには来ない。


最初から全員で襲ってくれば、ゴブリン達にも勝ち目が充分あったのにね。

まぁ僕の運が良かったって事なんだろうけどさ。

残りのゴブリンを数えていく、大分少なくなったし。

1、2、3……17匹か。

流石にまだ全部は殺せないかな。


僕は、魔石を回収し、森の入り口付近に罠を集中させてから、最初の草原に戻り、更にヒルの巣窟を抜けて夕飯を食べる。

そして、仮眠を取った後、目にバンダナをしながら夜通し走って村へ戻る。

バンダナの効果で暗い夜道もいつも通り……

いや、いつも以上だな。

思ったより早く、そして体力の減りも少なく家に帰る事ができた。

まぁ、深夜に着いたので母さんに怒られたけどね。


その夜、僕は夢を見た。


私は生まれつき目が見えない個体だった。

それはゴブリンとしては致命的で、ただ死ぬだけの存在だった。

しかし、目が見えない事でかえって他の感覚が鋭敏になり、特に夜の行動が得意になり、かろうじて生き延びる事ができたのだった。

そんな私を、先代のボス、首狩りは拾い、暗部として育ててくれた。

そしていつしか私は、先代の影となり、人間達を闇討ちで殺し続けていった。

思えばこの時ぐ一番幸せだったのかもしれない。


しかし、その先代のやり方に意を唱える者たちが現れ、私が居ない時に、マッチョ、当代のボスが汚い手を使って、裏切るような形で先代を倒してしまう。

追われた先代はいずれかへ逃げ去り、音沙汰がなくなった。

後からそれを知った私は、怒り狂ったが、1人で戦う程の実力も無く、仕方なく当代のボスに仕えるしかなかった。

いつか、先代の無念を晴らすために力を蓄えながら……


近頃、先代の斧を持った人間の小僧が現れ、同胞を殺していると言う噂を聞いた時はいてもたってもいられなかった。

その手斧を奪い、俺がマッチョを倒す!

そう思い、戦いを挑んだのだが……

結論から言えば、その人間の小僧は強かった。

全盛期の先代よりも強いかもしれない。

そして、私は手も足も出ずに殺された。

だが、コイツならマッチョを殺し、先代の無念を晴らせるはず。

ならば力を貸そうじゃないか?

ふふふふふふふ……


なんかこの手斧が出てきたけど、あの首狩りの手斧?

まさかなぁ、そんな訳ないか。

そう思い、僕は寝直したのだった。


何の因果か少年は、ゴブリンのボスを倒す事を決意する。

喜びに打ち震える手斧、相性の悪い相手、そしてマザー……

少年はゴブリン達を殺し尽くせるのだろうか?


次回 第34話 宿敵

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