第32話 殺刃鬼
僕は、ゴブリンのいる草原に来た。
草は僕の身長位に生い茂っており、前はあまり見えない。
まぁ逆に相手にも気取られにくいから良いのだけど。
ちなみに、魔石の感じから察して草原にいるゴブリンは5体。
いつもなら、アナが狙撃し、僕が残りを倒す……
いかんいかん、余計な事は考えるな!
どうせ今は味方が近くにいない。
つまり、生きているモノは全て殺せばいい。
刃だ。
僕はただの刃として戦えばいい。
深く、より深く集中する。
ただ殺す事だけを考え、神経を研ぎ澄ます。
殺す刃、古に伝わる修羅や鬼の様に……
そうだな、殺刃鬼モードとでも名付けようかな……
って雑念が入ってしまった。
いかんいかん。
とは言え、名前を付ける事でルーチン化しやすくなり、同じ状況を呼び出しやすくできるという事を聞いた事がある。
魔法の呪文の様に。
僕は再び殺刃鬼モードに入る。
今はただ殺す事以外に雑念は無い。
そして、僕は魔石の感知に従い、ゴブリンの方向へ一気に駆け出す!
多少の擦り傷など気にせず、マントを盾にして草など無いかの如く駆け抜ける!
そして……
いた!
1匹目だ、兎を追っていたため背中がガラ空きで隙だらけだ!
僕は何の躊躇もなく、ゴブリンの首を斬り取る。
そして、死骸は無視して次へ。
2匹目は正面に出たが、勢いのまま跳び蹴りして、倒れたところで血抜き君を心臓に1突き。
3匹目も手斧で一閃で首を刎ね飛ばす。
とにかく一撃で決めて、ゴブリンに仲間を呼ばせない事、それが重要だ。
4匹目、5匹目も余裕で殺す。
森と草原の境界に3匹まだいるな……
多分真ん中がリーダー格だろう。
僕は草むらから飛び出して、リーダー格の首だけを狙う!
やはりゴブリンリーダーだ。
だが、隙だらけの奴が構えるより速く、手斧の一撃で首を刎ね速攻で倒す。
他の2匹が怯んでいる隙に、左側の雑魚ゴブリンに血抜き君を刺して殺す。
流石に最後の1匹は状況を把握し、ナイフを構える。
なんかまともにゴブリンとの1対1で戦うのも久しぶりだな。
ゴブリンはリーダーを殺された怒りか、「グギャギャギャギャ」と叫んでいるが、近くに仲間はおらず、集まってくる様子はない。
ゴブリンは、ナイフを両手で持ち、突き上げる様にこちらにめがけて刺しにくる。
だが、遅い!
紙一重で避け、僕はゴブリンを足払いで転倒させる。
ゴブリンは、倒れた勢いで自分にナイフが刺さり、瀕死で喘いでいる。
さて、どうするかな……
僕は、ゴブリンの耳を生きたまま斬り取る。
断末魔の様な雄叫びをゴブリンがあげる。
そりゃ、痛いだろうなぁ。
次は、指を一本ずつ落としていく。
次第に、ゴブリンは泣いてる様な、懇願する様な声で鳴き出す。
「ふむ、例えば人間が命乞いすれば、ゴブリンは助けるのかな?
無理だよね、お互いそういう事なんだよ?」
なんとなく言い訳をしながら、ゴブリンの指を全て落とす。
ゴブリンはちょっとグッタリしている。
僕はゴブリンを仰向けにし、って危ない。
ゴブリンに噛み付かれそうになる。
まだまだ油断はできないらしい。
仕方ないので、ゴブリンの口に足元の石を突っ込み、黙らせる。
思いっきり突っ込んだので、ゴブリンは泡を吹いて気絶した。
僕はゴブリンの胸部を斬り裂き、心臓辺りを開く。
心臓が脈打っている。
まだ生きているんだな……
僕はゴブリンの生命力に改めて驚いた。
そして……
僕はゴブリンの魔石を、生きたまま引き抜く。
その瞬間!
ゴブリンの心臓は弾け飛び、目や口から血を吐き出してゴブリンは死んだ。
どうやら魔石が無くなると魔物は死ぬらしい。
まぁ普通は生きたまま魔石を引き抜くなんてできないんだけどね〜
幸い、飛び散った血液は血抜き君が吸ってくれたので、僕にはかからなかったけど、血の錆っぽい臭いが充満して臭い。
さて、次はどうしようかな……
森の中には6匹位のゴブリンの気配がある。
とりあえず、さっきの3匹以外のゴブリンの魔石の回収は後回しにし、消臭剤をかけ直して僕は森に入る。
森の中のゴブリンは分散していて、1匹ずつ、迅速、確実に狩っていく。
迅速、確実、迅速、確実、迅速、確実、迅速、確実、迅速、確実、迅速、確実……
あっという間に狩尽くす。
僕は慎重に奥に進み、森の出口に到達する。
ここからは未踏領域だ。
森の先は、再び草原になっているが、草の背は低く、見通しが効く。
そして、そこには30匹位のゴブリンがいる。
しかも、ほとんどが凖リーダー級で、残りはリーダー級だ。
それに、一番奥には小高い丘があり、洞窟がある。
多分、あの中にボスゴブリンとマザーがいる。
非常に強い魔石の気配がするし……
流石に今1人で全部を相手するのは難しいよなぁ……
できればボスとは1対1にしたい。
なので、僕は一旦森に戻り、放置していたゴブリンの死骸の処理を行う。
場所はわかるんだけどね〜
一々戻るのがめんどくさいが、仕方ない。
1匹ずつ、耳と魔石を回収していく。
多分、殺すよりも回収の方が時間がかかっている。
とは言え、今日だけで14匹。
リーダーもいたし15000ジル位になりそうだね。
1回の収入としては充分だ。
僕だけなら当分遊んで暮らせるレベルだし。
まぁ本当に仕事しないで遊んでたら、父さんに怒られそうだけどね。
いや、かなりヤバイかも?
それはさておき、ヒルの巣窟に戻る頃には昼過ぎになっており、僕は遅めの昼食を簡単に食べる。
食料はあと2日分あるから、まだ帰る必要は無い。
「さて、どうするかな〜」
と、思わず独り言を言ってしまう。
僕はヒルの巣窟を抜け、拠点からロープやトラバサミ等の罠の道具を持ってくる。
そして、再びヒルの巣窟に戻り、草原を抜け、森に入る。
ちなみに、森にはゴブリンが3匹いたが、やはり迅速かつ正確に殺していく。
そして、僕は森に罠を仕掛けていく。
もちろん、自分が掛かったら間違いなく死ぬし、罠の近くに魔石を埋めて、なおかつ逃走ルートはしっかり確保する。
幸い魔石はいっぱいあるしね。
さて、準備が終わったな……
僕は、森を抜け、慎重に草原へ。
やはり、洞窟を守る様にゴブリンの大群が配置されている。
全部に囲まれたら、死ねるよな〜
死にたくないけど。
とりあえず、森を出て、ゴブリン達の前に出て行く。
ゴブリン達はサッと顔付きを変え、警戒して構える。
距離はまだ離れているからか、ゴブリン達は襲ってこない。
やはり洞窟を守っているのだろうか?
「やーい、ゴブリンのうんこ垂れ!」
と、挑発しても動く様子はない。
まぁ言葉も通じていないと思うけど……
暫く睨み合いを続けるが、特に動きはない。
ならば……
僕は全速ダッシュで一番手前のリーダーゴブリンに近付き、手斧で喉を掻っ斬る!
流石に構えた相手なので浅い、首を落とす事は出来なかった。
だが致命傷だろうし、良しとする。
そして、斬った勢いのまま反転し、森に向かってすぐに逃げる!
即座に5匹のゴブリンが僕を追ってくる。
僕は、ギリギリ追いつかれない速度に調整し、ゴブリンを森の方向に誘い込む。
そして、森の手前で急に反転して、一番足の速いゴブリンの首を一閃して落とす。
向こうは全速力で走っているので、かなり隙だらけだったしね。
それを見た残り4匹は、警戒して速度を落とす。
僕はそれを見て、素早く森に入り樹の裏に隠れる。
ゴブリン達は、僕を見失うが森に入って僕を探す。
僕は、魔石の気配でゴブリン達の位置を把握しながら後ろから回り込み、1匹のゴブリンに背中から血抜き君を突き刺す!
更に、2匹目のゴブリンは手斧で首を落とす。
残り2匹!
だが、2匹のゴブリンは焦って逃げ出した。
そして、1匹は罠に捕まり、もう1匹は森の入り口で僕が追いつき、手斧で首を斬られ死亡した。
とりあえず計6匹減らしたが、まだ20匹以上いるしなぁ。
まぁ相手も警戒を更に強めており、こちらに近づいてくる様子はない。
なので、僕は森に入り、罠に捕まったゴブリンをある程度弱らせてから、生きたまま森の入り口に引っ張っていく。
そして、他のゴブリン達の前で生きたまま公開処刑していく。
僕はゴブリンの耳を削ぎ、目を抉り取り、指を一本一本斬り落とし、皮を剥いでいく。
ゴブリンはイイ声で断末魔をあげて鳴く。
それを見ても他のゴブリン達は動かない。
とは言え、怒って叫び狂う者、残忍な処刑に目をそらす者、気持ち悪くなり吐き出す者、涙を流し泣きだす者、興奮してヨダレを垂らす者……
ゴブリンにも感情はあるみたいだな。
って最後の奴はヤバそうだけど。
まぁもちろんこれが人間の処刑なら、僕も気持ち悪くて見れないと思うけど、魔物のゴブリンだからかなんの躊躇いも無い。
同じ生き物とは感じれないからだろうか?
それとも僕がオカシイのだろうか?
そんな事はどうでも良いとして、これ以上挑発しても動かなさそうなので、魔石を抜いて殺し、僕は森に戻って回収をするのだった。
ゴブリンの大群
そして、ボスゴブリンとマザー
本来なら討伐隊が命がけで戦う相手だが、少年は1人孤独に闘い続ける。
それが正しい事だと信じて……
次回 第33話 大虐殺




