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第27話 神父の手記

僕は、ミルに言われた通り、東地区の第四銀行へと向かい、貸金庫を開けて一冊の手記を手に入れた。

そこには、見覚えのある神父様の文字で、手記が綴られていた……


――――――――――――――――――――――――


私は私自身、何故この様な手記を書いているのかわからない。

多分、罪の重さに耐えきれないのだろうが……

願わくば、この手記が誰の目にも触れない事を望む。


私はそれまでただの孤児だった。

親の顔は覚えていない。

ただ、毎日をひたすら生き延びるので精一杯だった。


とある日、偶々財布をスった相手が聖十字教団の聖騎士で、私は聖騎士団長のアレニウス様に捕まった。

まぁ、その時の立ち回り、逃走が気に入られ、私はアレニウス様に引き取られる事になった。


その後の生活は、厳し修行と戒律があるものの、衣食住に事足りており、幸せだった。

そして、私は成人し、最終試験をクリアして聖騎士になった。


聖騎士になって暫くは、近隣の警戒や教会の警護等、比較的平和な仕事が多く、仕事の仲間とも上手くいっていた。

時には恋をして……

まぁそんな事はどうでもいいのだが。


しかし、そんな日々はある日一転する。

アレニウス様が、毒殺されたのだ。

誰が犯人かはわからない。

だが、司教の1人が銀翼十字団の仕業だと騒ぎ出し、色々あった末に銀翼十字団狩り部隊が結成された。


私は、周りの同僚が止めるにもかかわらず、それを振り切って部隊に参加した。

そして、私は生涯それを後悔する事になる。


銀翼十字団狩り部隊 ニルヴァーナのメンバーは、性器士等の社会的なはぐれ者の集まりで、狂人ばかりだった。

対する銀翼十字団の奴らは、もちろん許す事の出来ない狂人も少しはいた。


例えば、ただの普通のマッドサイエンティストを名乗る男は、錬金術で精製した硫酸や苛性ソーダ溶液を投げつけてくる攻撃をしてきて、多くの聖騎士を負傷させた。

最期は複数の槍に刺され、絶命したが、手強い相手だった。

何故か死に際に、「はーっはっは、貴様らの信じる神などいないのだ、所詮は全て科学、科学なのだよ!いつか思い知るがいい!」って言っていたが……

本当に神を信じる使徒かコイツ?

今となっては、コイツが銀翼十字団だったのかはわからない。


他にも、内臓占いのために大量殺人を犯したシリアルキラーの占い師や、自称魔法少女を名乗る35歳の雷の魔女や、全裸で見た者に死を撒き散らすストリーキング等、本当にヤバい奴らばかりだった。

特にストリーキングは、生死の呪いを防ぐ聖遺物ムードンコがなければ皆死んでいただろう。


だがしかし、こんな奴らはごく僅かで、大半は一般の善良な市民だった。

みんな、普通の暮らしをし、ただ幸せに生きていた。

信じる神は同じはずで、ただ解釈が違うだけなのに争わなければならない。

そして、私達の部隊はその無辜な人々を虐殺しなければならない。


更に悪い事に、私以外の部隊員はほぼ最悪な奴ばかりで、ロリ野郎、ペド野郎、ロリペド野郎、見境なし、ババ専、ホモ専、ショタ専……

マトモな人間は直ぐに死に、こんな奴らしか生き残らないから

まぁ、最初はマトモでも、任務の非道さに狂人と化した奴も多いが……

ちなみに、かろうじて私は正気を保っているため、そのうち私が部隊長扱いされてしまう……

正直嬉しくはない。

銀翼十字団の人には悪魔団長と言うアダ名を付けられているみたいだし。


そうは言っても、こんな生活は数年しか保たず。

心も身体もボロボロになっていたある日、カンピロバクター司教から、ニルヴァーナを脱退して孤児院をやらないか?との誘いを受ける。

私は是非もなく、これを受けるのだった。


その後の孤児院での神父としての生活は幸せだった。

色々な経緯で引き取られた子供達を、真心を込めて育てる。

自分の幼い頃や、アレニウス様に引き取られてからの事、そんな事を思い出しながら一生懸命だった。

育てた子供らは、教会の役に立つためにと送られて、それを見送る時は涙した。


そして、それは……

絶望に変わる。

卒院した子供の1人が、帰ってきた。

肌はアザだらけで、目は窪んで、痩せこけており、ボロボロの身体だった。

とりあえず水を飲ませようとしたが、私の腕の中で安心したように息を引き取ってしまった。


私は、真相を知るために探偵を雇い、卒院した孤児達の行方を追った。

するとわかったのは、男の子は教会の関連施設で強制労働させられている事、女の子は高位の聖職者に引き取られている事だった。

ちなみに、聖十字教団の聖職者の内、司祭以上の高位層は規律で公務以外の異性との接触が禁じられている。

そのため、女の子を引き取る事は出来ないはず……

怪しいと思った私は、更に調べを入れると、引き取られた女の子達は怪しい設備で処理をしてから、廃人同様にして聖職者に引き取られる事がわかった。

正直私には、何故そんな事をするのか意味がわからなかったが、規律の抜け穴を狙っている事が判明した。つまり、聖職者は異性との接触は禁じられているが、人形や動物は規律の対象外となる。

だから、女の子達を薬で廃人化して、人形、もしくは犬人間にしていると言う。


とても聖職者とは思えない所業に、私はハラワタが煮えくりかえる思いだった。

しかも、カンピロバクターの奴はこの功績で大司教に上がっている。


私は、神父を辞めようかとも一瞬考えたが、そう出来ない訳が2つある。

一つ目は、調査を依頼していた探偵が、銀翼十字団として処刑されてしまった事で、教会を辞めれば私は確実に始末されてしまうだろう。

そして、新しい神父が派遣されて何も変わらないだけになる。


二つ目は……

正直なところ、人の事は言えないと言われてしまうかもしれないが、私はシスターのマリア、本名はマリアージュで性器士の隠し子なのだが、彼女と関係を持ってしまい、男児が1人産まれてしまっている。

教義との兼ね合いもあり、孤児として扱っているが、ジャルは可愛い我が子だ。

ちなみに、アナとマリアは腹違いの姉妹になるので、ジャルから見てアナは叔母に当たることになる。

実際は兄妹みたいに育っているので、この先どうなるかは心配だ。


私は罪悪感を抱えながら神父を続けた。

そして、なんとかジャルとアナだけは冒険者の養成所に送る事が出来た。

他の子を犠牲にした上でだ。


彼らが無事冒険者になれれば……

まぁ、冒険者になれたとしても生き残るかは彼ら次第なのだが、それでも親として、生き延びて欲しいと思うのは罪な事なのだろうか……


この手記は、信頼できる知己の魔術士に渡す事にする。

ジャルには私と同じく、聖魔法の素質がある。

だから、いつかは魔術士の彼女の元に辿り着くだろう。

馬鹿な父親を許してくれとは言わないが、復讐にこだわらず生き延びてくれる事を祈って。


———————————————————————

ここまで読んだ後に、別の人の文字で追記されていた。

多分ここからはミルだろう。


———————————————————————


ババアが急死して、この手記を見つけた。

未だ教会の狗として、子供達の自由を奪い続けている偽善の神父は、俺が神の御許に送ってやる。


クソ神父はやたら強かったが、手記の事を話したら隙が出来たので、ナイフで喉元を引き裂いてやった。

その後、シスターに遭遇したんだが……

なんだよあのシスター、やたら強かったぞ!?

流石の俺も死を覚悟するレベルだったが、神父が死んだ事を知った途端、自殺しやがった。


後は残された子供達だが……

銀翼十字団の仲間に頼んで、適当に用意した子供の死体と交換して連れ去ってもらった。

いや、別の子供を殺した訳じゃなく、スラム街に転がっているのを拾っただけだぜ?


そして、最後は俺の魔法で教会に火を放ち、証拠は隠滅した。

後は、まぁ神父の関係者がいたら、いつかこの手記を渡してやろうと思う。


————————————————————————


この手記はヤバい。

特にアナには見せられない。

僕は、お金を払って再び手記を銀行に預けた。


その後、宿に帰り、アナの看病をした。

そして、数日後にやっとアナが回復し、動けるようになった。

僕達は、宿を引き払い、ブルーの待つアラバ村へと帰るのだった。

少年達は着実に強くなっている。

一歩ずつ確実に。

そして、その力が何をもたらすかを知らずに。


第28話 狩の再開

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