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第23話 冬休み

ゴブリンリーダーを倒した僕達は、急いで魔石とゴブリンの耳を回収する。

何故なら、新たに3匹のゴブリンがこちらに近づいている気配がするからだ。


「もうすぐ森の中から3匹のゴブリンがくるけど、どうしようか?

位置はバラバラだから、1匹ずつ迎撃できるけど」


「これだけ木が密集してると、私の弓の腕じゃ厳しいわ。

草原に誘き出すのが一番なんだけど……

あまり矢も残ってないし。

遅くなると危なくない?」


「いや、また集団になるとかえって危険かも?

僕が盾で制圧してブルーがトドメを刺せばいけるんじゃないかな」


「それに、アナがスリングショットで牽制してくれれば余裕だと思うよ。

それに、ジャルとも連携を試したいし。

ただ、暗くなってきたら退散しよっか」


「わかったわ、でも無理はしないでね」


こうして、僕達は一番近いゴブリンに近づいていく。

森の中を歩いているのはナイフゴブリン、気が抜けているのかあまり警戒はしていない。

ひょっとすると、さっきのゴブリン達の交代要員なのかもしれない。

とりあえず、僕が先行して木の影に隠れ、ナイフゴブリンが近づいて来た所にアナがスリングショットで石をぶつける。

痛みでアナの方を振り向いた瞬間、僕が後ろから手斧で喉を掻っ切る。

ゴブリンは言葉も発せずに大量に失血して倒れる。


次のゴブリンはジャルが先行して相手をする事に……

ジャルは盾をしっかり構え、棍棒ゴブリンに正面から突っ込んで行く!

だが、相手も棍棒で受け止め、しばし拮抗状態になる。

このまま押し合いが続くのか?

と思った瞬間、ジャルは少し身を引いて、相手のバランスを崩す。

そして、ブーストと魔法を唱え、一気に盾でゴブリンを押し潰す!

ズドーン!という轟音を立て、ゴブリンは木とジャルに挟まれミンチスペシャルになる。


あれは、ヤバイ。

多分、僕のスタイルとの相性はかなり悪い。

ジャルとは敵対できないな、僕はそう思った。


なお、全身の筋肉を無理矢理動かすらしく、この魔法を使うと当面動けなくなるらしいので、使い所は難しい様だ。

という事で、動けないジャルはアナに任せて、僕だけで最後の1匹を倒しに行く。

さっきの轟音で、気づかれたみたいだし、近づいて来るスピードも速い。


そして、僕は3匹目のゴブリンと対峙する。

いつものナイフゴブリンだ!

僕は、すぐに特大の煙玉を使い、辺り一面を煙で充満させる。

これでお互いの視覚と嗅覚は封じられた。

でも、僕には魔石を感知する能力があるから大体の居場所はわかる。

それに、事前に木の位置や地面の感覚を覚えておいたし、地面に魔石を埋め目印としている。


対するゴブリンは、視界を完全に封鎖され、頼れるのは聴覚のみ。

それさえ、自分でグギャグギャ叫んで台無しにしている。


僕は、速攻で魔石のある場所、つまりゴブリンの心臓に向かって血抜き君を突き刺す。

もちろん、この作戦にも穴はある。

相手が無闇矢鱈にナイフを振り回せば、こちらに当たる可能性がある。

なので、空気の僅かな感触でナイフゴブリンの攻撃を見切って避ける。

ヒット&アウェイで2、3回心臓付近に突き刺すと、煙が晴れてきてそこには1匹のゴブリンの死骸が転がっていた。


これなら、対魔物戦はかなり有利に進められるな。

1人で倒せるというのもかなり大きい。

対人戦ではあまり役に立たないんだけどね……

まぁ、これで僕達のパーティー、スカイハイは全員がソロでもゴブリンを狩れるレベルになった事になる。

もちろん、過信は禁物だし、1対1なんて状況は少ないから極力集団で確実に倒す方が良い。

それでも、確実に僕達は強くなっている。

自信を持って行こう、僕はそう思った。


その後、ゴブリンの気配は感じられないため、ジャルの提案で罠をいくつか仕掛け、僕達は草原に戻った。

一応、僕が魔石を感じる事ができるギリギリの距離で野営し、夜は火を消してから3人で固まって寝た。

いや、正確にはアナとの位置が近くてあんまり寝れなかったんだけどね……

しかし、夜の間はゴブリンは来なかった。

やはり、夜襲を警戒しているのだろうか?

相手に学習能力があるなら、それは驚異となる。

次回は更に警戒して別の作戦を取るかもしれない。


太陽が4分の1程登った頃、僕はゴブリン3匹の気配を感じた。

もしも、奴らが夜明けと共に出てきたなら、奴らの住処の距離はそんなに遠くないのかもしれない。

そして、3人で慎重に様子を見に行くと……


全てのゴブリンが罠に引っかかっていた。

うーん、前言撤回。

やはり、所詮はゴブリンか……

僕達はすぐにゴブリンを殺し、耳と魔石を回収する。

昨日と合わせ、魔石が15個、ゴブリンの耳が11セット、つまり13000ジルを稼いだ事になる。

これだけあれば、充分だ!

僕達は相談の上、村へと帰還した。


その帰り道、僕達は今回のゴブリンについて語り合う。

「しかしさ、本来ゴブリンって集団行動を好まないよな?

でも、前回の弓ゴブリンや、今回のゴブリンリーダーを見ていると、統率されている様な感じがするんだけど……

ブルーはどう思う?」

ジャルが僕に聞いてくる。


「少なくとも、本能のままに襲ってきてる訳では無いと思う。

ただ、なんかゴブリンが人間みたいな事するのはちょっとムカつくけど!

グギャグギャしか言えないくせに……

ねぇ、アナ」


「別に私はゴブリンをただ殺すだけだから、感情があろうとも、知能があろうとも関係ないわ。

でも、確かにジャルが言う通りなら、危険ね。

今後も気をつけましょう」


「そうだな。

僕達も強くなってきたけど、油断はできないな。

それはともかく、アナとブルーの成長が凄いから、僕はかなり焦るよ」


「いやいや、ジャルのあの攻撃、かなりヤバイから……

まあ、それはともかく、また冬はみんなで修行しないかな?

2人から学びたい事も沢山あるし」


「ごめんなさい、ブルー。

今年も私とジャルは里帰りしないといけないの。

だから、また数日は旅に出させて欲しいの」


また2人で、か……

僕の胸を何かがチクリと刺す。

でも、2人の生い立ちを知っているから、僕には止める事ができない。

僕はわかったよ、と頷くしかなかった。


僕達は村に帰り、魔石を換金すると、16000ジルになった。

あれ?多くない?

って思ったら、ゴブリンリーダーの魔石はやや大きめで質が良く、リーダー討伐ボーナスも加算されているらしい。

僕は4000ジルだけ貰って、残りはジャルとアナに渡す。


「いや、僕達が貰い過ぎだろ?

あと4000はブルーの分で良いと思うけど?」


「いやいや、今回は里帰りの路銀がいるだろ?

だから、遠慮なく貰ってよ。

それだけあれば孤児院の足しにもなるだろうしさ」


「孤児院は……」

ジャルが黙り込むと、アナが助け船を出す。


「ありがとう、ブルー。

今回は長めの滞在になるから、凄く助かるわ。

その代わりに、お土産は良い物を買ってくるから、楽しみにしていてね」


こうして、3日後にアナとジャルは里帰りに旅立った。

そして、僕はあの2人に負けないよう、父さんとの修行に励むのだった。



少年と少女は故郷の町に帰る。

その途中、良い意味でも悪い意味でも懐かしい人達に再会する。

そして、再びの別れが……


次回 第24話 再会

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