表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/145

第21話 夜襲

弓ゴブリンから逃げ帰った後、僕には暫くの休憩が必要だった。

そのため、ヒルの巣窟は抜けられ無かったが、消臭剤のおかげかゴブリンは追って来なかったので、僕達は草原の中でゆっくりと休む事ができた。


「それで、ゴブリン討伐はどうするんだ?

ブルーが無理そうなら帰っても良いし。

無理はしなくても良いんだぞ?」


「いや、ダメだよ。

ジャルの気持ちはありがたいんだけど、今倒さないと、僕の心が折れてしまいそうな気がするし。

それに、弓ゴブリンが村に来たら被害は甚大だよ。

だから、今日僕達で……

倒そう!」


「わかった、でも無理はしないようにな。

ちなみに、弓相手にどうするかが重要だよな。

何か作戦かは考えてる?

多分、アナのスリングショットでは飛距離が足らないだろうし……」


「ジャルの盾に隠れて近づいて、私が撃つのはどうかな?

木の上にいるなら、落とせば良いし」


「いや、それだと、ナイフゴブリンがジャルとアナを襲いに来るだろう……

僕も弓ゴブリンがいるから、遊撃もできないし」


「そうすると、両方を押さえないとダメって事か……

もしくは、相手の隙を突くしかない、って事だよな?」


「うん、だからね……」

僕はジャルとアナに作戦を説明する。


「ブルー、本当にそんなんで、上手く行くのか?」

「私は良いけど、ブルーが一番危険になるんじゃ……」

ジャルとアナは心配そうに聞いてくる。


「正直なところ、五分五分くらいか、ミスったら死人が出る可能性が高い……

僕もそう思う。

でもさ、試して見なければわからないし、この作戦に賭けてみてくれないかな?

もちろん、強制はしないけど、僕1人でもやってみるつもりだよ」


「いや、ブルー1人では行かせない。

それに、ブルーはスカイハイのリーダーだし、ブルーが決めたらなら従うよ。

な、アナ」


「もちろんよ。

私もリーダーの決定には従うわ。

それに……

絶対、私がブルーを護るから、絶対に死なせないから」


「ありがとう、2人とも。

それじゃあ、準備を始めよう」


そう言って、僕達は早めに夕飯を済まし、交代で仮眠を取った。

そして、月が夜の真上に来る頃に、僕達は弓ゴブリン討伐に出かけた。


僕達は消臭剤を入念にかけ、月明かりを頼りに草原を屈みながらゆっくり進む。

それに、念のため弓ゴブリンの斜め前からのルートを取っているため、より時間がかかっている。


ちなみに、この地域のゴブリンは類人種らしく、人に近い生態をしており、昼行性のため、夜は寝ている事も多いらしい。

多分、弓ゴブリンは全く動いていないので、木の上で寝ている可能性が高い。

ナイフゴブリンは交代したみたいな気配があったから、夜番をしている可能性があるけどね……


生い茂る草の中をゆっくり、ゆっくり、息を殺しながら進む。

そして、やっと草原と森の境界にたどり着いた。


ナイフゴブリン、もとい、交代した棍棒ゴブリンは起きてはいるが、うつらうつらとしている。

弓ゴブリンは……

ちょっとこの位置では見えにくい。


しかし、森に入ってしまえば、樹に隠れる事も出来るので弓の脅威は半減する。

僕達は、慎重に、静かに移動しながら、予定通りに棍棒ゴブリンを先に倒す事にする。


まず、僕が先行して、棍棒ゴブリンに背後から近づく。

そろり、そろりと、気付かれないように……

そして、ゴブリンの首に縄輪をひっかける!

縄をひっかけた一瞬、ゴブリンが振り向き、目が合ってびっくりしたが、ジャルとアナが一気に引っ張り、樹の枝に吊るす事に成功した。


すぐさま僕が心臓に血抜き君を一突きし、棍棒ゴブリンにトドメを刺す。

念のため、アナがスリングショットを構えていたが、杞憂で済んだらしい。

ほとんど音はしなかったし、僕は無事だ。


そして、残るは1匹。

弓ゴブリンだ!

僕達は慎重に進み……

弓ゴブリンを見つける。

よかった、やっぱり寝ているようだ。


アナは慎重にスリングショットを引き絞り、弓ゴブリンの頭上に鉄球を撃ち込む!

ボスッという鈍い音がして、弓ゴブリンが落ちてくる。

そして、落ちた先で僕が血抜き君でトドメを刺す。

こうして、僕達は無事に弓ゴブリンを怪我もなく倒す事に成功した。


ちなみに、弓ゴブリンの弓は樫の木で作った、しっかりした作りのもので、ゴブリンと一緒に落ちたが無事だった。

矢は何本か折れて、3本しか残ってないけどね……


とりあえず、弓はアナに渡し、試しに撃ってもらうと中々の命中精度だった。

威力も飛距離もこれまでのスリングショットより強力だ。

「うーん、ただ連射できないし、弓を引き絞る力が結構いるから、一撃必殺にしないとダメかも。

それに、狙いをつけるのが意外と難しいからより慎重に撃つ必要があるわ」


「でも、今後は弓も練習しないとね。

出来ればアナが動きながら、動いている敵を正確に狙い撃ちできるレベルになれば、無敵だよ。

大丈夫、ジャルの防御もあるし、アナならできるさ」


「とりあえず、今は弓が3本しかないから、連続撃ちは練習できないけど、頑張ってみるね」


そう言って、アナは必死に練習を続ける。

僕はその間索敵し、ジャルは弓拾いをやってくれていた。

そして、朝になると、交代のゴブリンが近づいてくる気配を感じた。

弓ゴブリンがいると思い、何も知らずに近づいてくるナイフゴブリン。

そのナイフゴブリンの頭を、離れた位置にいたアナの弓が正確に撃ち抜き、一撃でゴブリンを仕留める。


ただまあ、今回は相手が油断しており、臨戦態勢じゃなかったのが大きいのだが、アナにとっては射撃の自信がついただろうし、いい事なんだろう。


こうして、僕達は新たな武器を手に入れ、3体のゴブリンを狩る事ができた。

今回の成果はこれで十分だろう。

僕達は、綺麗な朝焼けを見ながら、帰途に着くのだった。


少年達は冬を前にして、今年最後のゴブリン討伐に出かける。

無事に冬を越す準備をするために。


次回 第22話 冬支度

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ