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第19話 初討伐

僕達の敗因、それはいくつかあるんだろうけど……

経験不足

と言う事なんだろうと思う。

まぁでも、逃げたのは間違いだったとは思っていない。

あの場合、戦って怪我をしていた可能性も高く、最悪死んでいたかもしれない。

それに、父さんにも、危なかったら何も考えず逃げろって言われてたしね。

ちなみに、ピンチの時に1番は逃げる事で、2番目は決死で突っ込む事、案外死ぬつもりくらいの方が助かる可能性が高いらしい。

そして、最もダメなのが保留する事、とりあえず様子を見ようとか、成り行きで判断しようとか、考えているうちに状況は悪化し、何もできずに死んでいくらしい。

なので、今回逃げた事は間違いじゃなかった、そう思いたい。


ちなみに、これまでも命懸けの戦い?はあったが、対人や対動物よりも対魔物はプレッシャーが強い。

多分、人間の心の奥底に、魔物に対する根源的な恐怖があるのだろう、と僕は勝手に推測する。

まぁ、僕はその恐怖感を求めている様な部分もあるから、ハンターを目指したんだけど……

あの2人、特にアナにはその恐怖感が強かった、そう言う事なんだろう。


村に戻ってからも、アナは萎縮し、若干自信をなくしている。

このままでは、トラウマになり、2度とハンターはできないかもな、と父さんに言われた。

なので、僕とジャルで相談し、すぐに対ゴブリン用の修行を始めた。


まずは、僕がゴブリンの仮装をして、グギャグギャ言いながら、アナに近づく。

アナは、一瞬ビックリしたが、あまりにもゴブリンに見えなかったらしく、大笑いしていた。


その後は、グミっぽい実と言う柔らかい模擬弾を使い、僕をゴブリンに見立てて模擬戦を行う。

僕が指示したのは一点のみ。

2発目は必ず当てる、ただそれだけ。

でも、アナはすぐに理解し、グミっぽい実を2個持って連続打ちを試し始めた。


最初は上手くいかなかったが、次第に慣れると、2発とも正確に当たる様になってきた。

それを見て、僕は全力特攻や、ジグザグ、反転と色んなバリエーションでアナに近づく。

途中から、本気になってアナの弾道を見切って避けたのだが、1発目は避けられても2発目は必ず当ててくる。

更に、ナイフで弾くとか、木の小盾で防いだりもしたが、やはり2発目は外さない。


あと、手の空いていたジャルに弾薬補充役をやってもらうと、かなりの弾数が当たる様になってきた。

って言うか、この2人のコンビはかなり息が合っている。

阿吽の呼吸で、ジャルがアナに次弾を手渡す。

そのため、2人が慣れてくると、僕は近づく事すら出来なくなった。

って言うか、2発に1発は必ず当たるし、アナのスリングショットはかなりの飛距離があるからなぁ。

多分、近接戦にもっていかないと、この2人にはもう勝てないだろう。

そんな話をアナにすると。

「いや、一応当たってるけど、急所には1回も当たってないよね?

なんだかんだで、狙った場所は全部ブルーに外されているわよ。

だから、私じゃ全然勝てる気しないんだけど……」


「いやいや、急所じゃなくても、10発当たればヤバいからね。

うん、アナは自信もって良いよ、凄いよ!」

そう言って僕が励ますと、アナは嬉しそうに、「次は頑張るから」って言ってくれた。


そして、模擬戦の翌日には再びゴブリン討伐に出かける。

アナがトラウマになる前に、早めにゴブリンを倒した方がいいからだ。

いつも通り数日かけ野営しながら進み、ヒルの巣窟にたどり着く。

血抜き君を抜いて、ヒルの巣窟を抜けると、僕は感覚を研ぎ澄まし、ゴブリンを探す。


比較的近くに1匹いる!

僕達はゆっくりと、気配の方向に近づいていく。

すると、ゴブリンが……

のんびりと座っていた。

前回見たゴブリンよりもやや小さく、痩せている。

老ゴブリンなんだろうか?


このまま遠距離で行くか?

いや、また避けられると、アナの為にならない気がする。


事前の作戦通り、僕は囮として単独で近づき、老ゴブリンの頭に手のひらサイズの石をぶつける!

結構クリーンヒットし、老ゴブリンは一緒よろめく。

僕は、ある程度距離をとって、

「こっち来いよ!」

と、挑発する。

老ゴブリンは、一瞬迷ったが、相手が子供1人とわかったせいか、グギャグギャ言いながらゆっくり近寄ってくる。

前回の若そうなゴブリンは、すぐに突っ込んできたが、今回のゴブリンは老ゴブリンだからだろか、慎重な気がする。


とにかく、アナの射程距離まで誘いだす。

わざと少し崖になった様な行き止まりに近い地形にくると、老ゴブリンは舌舐めずりをしながら、ゆっくり近寄ってくる。

そして、追い詰めた、と相手が思って構えた瞬間に、崖にの上にいたアナが斜め上からスリングショットで鉄球を叩き込む!


鉄球は、老ゴブリンの目に当たり、眼窩をえぐった。

老ゴブリンは一撃で沈黙し、痙攣しながら倒れる。

その隙に、僕は老ゴブリンに近づき、心臓に血抜き君を1突きして、トドメを刺す。

こうして、僕達はパーティーでの初めてのゴブリン討伐に成功する。


アナも安心して、ジャルと喜んでるいる。

やり遂げた、そんな笑顔だ。

そして、「じゃあ、魔石と耳を取って帰るかい?」

と、ジャルが聞いてきたので、僕は答える。


「いや、まだまだだけど?

近くにもう1匹いる、続けて倒した方が良いと思うんだ」


「だけど……

アナは多分さっきので疲れてるし、一旦休めないか?」


「ブルーの言う通りだと思うの。

ジャル、私は大丈夫だから、ここで止める様なら、きっとこの先もっと大変な事態になった時に何も出来なくなりそうだし……」


「アナが言うなら仕方ないけどさ……

ブルー、あと1匹で本当に止めるなら、僕も反対はしないよ」


こうして、僕達はもう1匹のゴブリンも狩ることにした。

実際、さっきの老ゴブリンはかなり弱い敵だったと思う。

なので、ここで止めると次回も同じくらいの強さと勘違いし、相手の実力を見誤る可能性が高い。

だから、もう1匹戦って強さを調べる。

そうしないといけないと思ったからだ。


多分、実際に戦ったアナはそれに気づいている。

そして、連戦がトラウマの脱却に必要だって事も……

もちろん、ここで負ければ事態は更に悪くなり、アナはハンターを辞めるしかなくなるかもしれない。

ジャルはそれがわかって、僕を止めようとしたんだと思う。

でも、やっぱり乗り越えないとね。


と言う事で、先ほど同様に僕がゴブリンに近づき、囮となる作戦で行くことにする。

僕はゴブリンにゆっくり近づいていく。


今回は若そうな、筋肉がしっかりついたゴブリンだ!

そして、辺りを警戒しながら歩いている。

さっきの老ゴブリンでも探しているのだろうか?

今回は石をぶつける隙がなさそうなので、少し遠めに距離を取り、「こっちだ、ゴブリン!」と挑発する。


ゴブリンは、僕を見つけると即座に反応し、ナイフを構えながらこちらに近寄ってくる。

僕はすぐにアナ達の所に向かって走りだす。

今回は振り向かない。

ゴブリンの魔石の気配を頼りに、一定距離を保ちながら、先ほどの崖にたどり着く。

そして、追い詰められたフリをし、アナ達に合図する。


バスッ、バスッっと鉄球がゴブリンを打ちつける。

ゴブリンはガードし、鉄球の連続攻撃に耐えているが、動きは徐々に鈍くなっている。

スリングショットとはいえ、3センチくらいの鉄球を何度も撃ち込まれれば、当たりどころによっては骨が折れる。

実際、腕と脇腹が骨折している様だ。


10発が当たった所で、僕はゴブリンと対峙する。

ゴブリンは満身創痍だが、最後の気力で僕に襲いかかってくる!

だが、その攻撃では遅い。

僕は、余裕を持って避け、肩口からゴブリンを斬り裂く。

更に、ゴブリンにおもいっきり蹴りを入れる。

ゴブリンは倒れ込んだ……

と思ったら、蹴られた状況を利用し、勢いを消す様にゴブリンはクルッと一回転して、再び僕に対峙する。

こいつ……

戦いなれているのか?


しかし、その瞬間にアナがスリングショットで、鉄球をゴブリンのコメカミに打ち込む。

クリーンヒットしたゴブリンは、絶叫した後に少しよろめく。


その隙に、僕はゴブリンに近づき、喉を掻っ捌く!

そして、間髪入れずにゴブリンの心臓に血抜き君を突き刺す。

こうして、僕達は普通のゴブリンを倒す事に成功したのだった。

初めての討伐を経験し、少年達は成長していく。

だが、対する相手とて、黙ってやられてくれるわけではなかった。


次回 第20話 遠距離攻撃の恐怖

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