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第17話 初陣

ジャルとアナが帰ってから5日後に、僕達は初めてのゴブリン討伐に出かける事にした。

つまり、初陣である。


父さんにも、ゴブリン1体なら充分倒せるだろうとのお墨付きを貰ったし……

まぁ無理をしないのが前提だけど。


ちなみに、ゴブリンの生息域は、この村から直線距離で4日程の距離である。

しかし、途中に崖があるし、ゴブリンを村に引き込む訳にはいかないので、緩やかに蛇行しながら進んで行く。

そして、近隣の約2日分は、マッピングしてあるが、それ以降は僕達にとって未踏領域だ。

なので、慎重に野営、探索、マッピング、次の野営地決定、野営地移動を繰り返していく。


最初の探索の初戦は、4日目だった。

草むらを進んでいる途中で、ガサッという音がして……

現れたのはマムシだった。

ちなみに、僕とアナは蛇が苦手で、ジャルの後ろに2人して隠れる。

だって、あのニョロニョロがさあ。

毒があるのも怖いし……


結局、ジャルが近づいていき、モーニングスターで、滅多打ちにする。

そして、僕達はマムシの死骸をゲットした。

まぁでも、マムシはお酒に漬けると薬になるらしいし、意外と高く売れる素材なので、主にジャルに任せてどんどん集めて行こう!

うん、ジャルに任せてってのが重要。


そして、僕達はこの時点で村まで引き返すことにした。

最初から無理は禁物だしね。

それに、4日目の時点では魔石の気配は全く感じなかったし……

意外と、拠点作りに時間がかかるので、ロープや、薪とかの資材を村に取りに行く必要がある。

だから、僕は面倒でも村に戻る事を決めた。

ジャルとアナも撤退に異存は無く、賛成してくれたし。

帰り道は拠点作りが無いので、ウサギ等を狩りながら、足早に帰る。


こうして、僕達の初めてのゴブリン討伐は、無事何事も無く完了した。

まぁゴブリンに会ってすらないけどね……


その後は、暫く資材作りを行い、休養する。

実際に、森の中を進む事は、思ったよりも体力を消費する。

足場は悪いし、常に周囲を見張る必要があるし、夜の見張りは大変だし、寝る時間は短いし……

なので、帰った当日は、風呂にも入れず泥の様に眠ってしまった。

そして、翌日に母さんに、ベッドのシーツが泥で汚れてると怒られてしまった。


そうそう、夜の見張りと言えば、僕が見張りの時の事なんだけど、僕が哨戒して戻ると、ジャルとアナがテントでゴソゴソ何かしているんだよな……

一回聞いてみたけど、ジャルは「ただのプロレスごっこ」って言うし、アナは白い粘液をペロリと舐めてから、「ブルーが大人になったら教えてあげる」と、艶かしく誤魔化されてしまった。

うーん、大人って謎なんだな……

ってよく考えたらジャルとアナもまだ子供じゃん!とも思った。

まぁ子供時代は、数年の差が大きいらしいしね。


実際、ジャルとアナは、僕よりも修行期間が短かったが、伸び率が高いのでかなり強くなっている。

対人経験は僕の方が多いから、戦術の幅は勝っているが、身長や身体能力では負けている。

と、思っていたのも束の間で、2人ともこの前の里帰りでかなり成長したみたいだし……


正直なところ、あの3人衆にしたって、くだらない虐めをせずに、自己研鑽に励んでいれば、多分僕よりも強かったはずだしね。

まぁ、その場合、死んでいたのは僕かもしれないのだけど……


今回のゴブリン討伐で感じたんだけど、僕はそれ程特別な才能を持っているわけじゃないし、ちょっと戦うのが好きな子供なだけだと身にしみて思った。

だから、慢心してはいけない。

これからも、その事だけは絶対忘れない様にしよう。

僕は、そう心に誓った。


そして、2回目のゴブリン討伐も、特に何事も無く、探索のみで5日進み、ゴブリンに会う事も無く、帰還する事にした。

ちなみに、帰ろうと進み始めたところで、大きなイノシシを見つけたので、僕が囮になり、ジャルとアナが仕掛けた罠に嵌め、捕まえる事に成功した。

久々のイノシシ肉だ!


しかし、今の位置からこんな大きなイノシシを持ち帰る事は出来ない。

いくら血抜きが完璧でも、内臓とかは腐る可能性もあるし、3人で引きずって持って行くのもいろんな意味で危険だ。


僕達は仕方なく、イノシシをその場で解体し、牙と毛皮を回収する。

肉は、一部を食べ、残りは燻製を作ってみた。

と言っても、小さな竃なのであんまりたくさんは作れなかったし、色々試行錯誤していたら、それだけで一日が過ぎてしまった。

内臓はほとんど捨てたけど、肝臓は焼いてみんなで分けて食べた。

ジャル曰く、肝臓は栄養豊富で滋養強壮に良いらしい。

そして……

「今夜も燃え上がるかもよ?」

「バカ」

と言う甘い会話をしていた。


その晩、僕は2人の邪魔にならない様、ゆっくりと哨戒し、戻ったら満足気なジャルと交代した。

そして、翌朝から帰還の道程を取るのだった。


ちなみに、僕達の2回の出陣で得たお金は……

マムシ3匹 60ジル

イノシシの牙と毛皮 100ジル

計160ジル

だった。


約1ヶ月で、160ジル……

1食分の食費が3ジルとして、3食で1日9ジル、3人分で27ジルだから、1ヶ月約800ジルくらいか。

とても足りない。

食費以外の消耗品費もいるし、ハンターとして独り立ちするには、やはりゴブリンを狩らないとダメなのだろう。

今はまだ、ウチのサポートがあるからやっていけるけど、ジャルとアナは若干申し訳なさそうだし、できれば僕達だけでもやっていけるレベルにしたい。


それと、今回特に分配の話が一番の問題になった。

一番最初に決めた条件が、その後を決める。

僕は、ジャルとアナに三等分を提案したんだけど……


ジャルとアナは、リーダーが多く取るべきと譲らなかった。

つまり、僕2、ジャルとアナが1ずつの分配だと言う。

「そこまで過大評価されても困るよ!」

僕がそう言っても、

「リーダーは責任重大なんだから、沢山貰うべきだよ!」

「ブルーがいなかったらこのパーティーは成り立たないし、これだけは歳上の私達の言う事を聞いて!」

と、頑として聞き入れて貰えない。


結局、話は平行線になり、結論は出なかったので、僕の独断で、アナの手袋、ジャルの靴を新調し、残りのお金で薪とロープを買った。

そして、分配は次回以降決めることにした。


それから、暫く休養と畑仕事の手伝いをしていると、季節はすっかり春から初夏に移ろっていた。

流石に、梅雨時に長期で出掛けるのは大変だし……

と言う事で、この期間も結局自主訓練と畑仕事、近場の狩をみんなで行った。


そして、梅雨明けして数日後、僕達は3回目のゴブリン討伐に出掛けたのだった。


少年達は、苦労の末に初めての倒すべき敵と出会う。

しかし、その全てが順調にはいかなかったのだった……


次回 第18話 逃亡

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