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第15話 準備

ハンターになった僕達が行なった事は……

そう、縄作りだった。

干した稲、つまり稲藁を使ってロープを作って行く。

まず、稲の鞘、出っ張り部分を取り除き、水をかけて湿らす。

これを、木槌で叩いてひたすら解す。

そして、手のひらで挟んでクルクルッと縒り合わせる。

こうした地道な作業で、ロープを作って行くのだが、僕は不器用なので、縒り合わせができない。

意外に、縒り合わせが上手なのはジャルで、アナは僕より不器用で……

鞘取りだけをやっている。

まぁ、人それぞれだ、得意不得意は仕方ないし。


僕達は、ロープ作りをひたすらしながら、空き時間は鍛錬と、ウサギ狩りを繰り返す。

戦績はアナが一番で、ジャルは……

まぁ見なかった事にしてあげよう。

流石に猪程の大きな獲物は獲れなかったが、一度だけ狸が獲れた。

ちなみに、この地方では、狸汁をババア汁と言い、ウサギを混ぜるとカチカチ汁と言うらしい。

皆んなで食べた、カチカチ汁……

美味しかったな。


そうして、いつの間にか、冬が過ぎ、春が来た。

もうすぐ春節祭の時期だ!


この時ばかりは皆で祭りの準備をする。

それに、ジャルとアナは一時的に里帰りしてるし……

やはり、春節祭は孤児院で祝いたいとの事らしい。

それと、冒険者になった報告もしたいみたいだしね。

僕の家族は、ジャルとアナにいっぱいの野菜と米を持たせ、皆んなで見送った。

そして、2人が戻ったら本格的に狩りを始める約束をして。


そして、暫くすると、春節祭が来た。

僕らは祝う、この春の日の祭を。

まぁ村長さんの話は長いけど……

浮かれて踊る。

皆んなで飲んで、食べて、騒いで、これからの大変な一年を過ごすために、楽しい1日を思いっきり楽しむ。


こうして、僕は10歳になった。

昨年は、ここで初めてヤーフルさんに会ったんだっけ……

まぁヤーフルさんの事は忘れよう。


そうそう、あれから実はいくつか拠点を作っておいたんだ。

ゴブリンの住処に向けて、ロープや、非常食、それと炭を常備して置くために。

それに、かまどの作り方も父さんに教わった。

野営の際に、火を焚くのは暖を取ったり、食事作りに役立つからね。

もちろん、獣除けにも。

ただ、煙は遠くから見えるから、ゴブリンとかの魔物を呼び寄せる可能性がある。

なので、かまどを作ってあまり煙が出ない工夫をすると良いらしい。

断熱効果がどーのこうのと、父さんが言っていたが、少ない燃料でも効率良く加熱ができるらしい。

煙も、排煙穴を工夫して、出口で分散させる事で、目立たないようにしているしね。


そうして、暫くすると、ジャルとアナが帰ってきた。

2人とも、若干疲れた様な顔をしているが、長旅だし、仕方ないのだろう。

僕は、「おかえり!」

と、満面の笑みで2人を迎えたのだった。


こうして、僕達スカイハイは再結集し、新たな冒険が始まるのだ!


――――――――――――――――――


僕とアナは、春節祭を前に、孤児院へ里帰りする事にした。

と、言っても、孤児院のあるカンクの町は此処アラバ村より全然人が多く、栄えている。

どっちかと言うと、アラバ村の方が僕達の里っぽいし。


ちなみに、カンクの町までは山を2つ越えなければならない。

前回は偶々、乗り合いの馬車に乗せて貰ったが、この時期はまだ馬車を使う商人さんが来ていない。

だから今回は徒歩で行かなければならない。

うーん、でも徒歩だと1週間はかかるんだよな……

しかも、ブルーの家族にはお土産として、米と、持ちきれないくらいの春野菜を貰った。

かえって荷物が重くなるので断ったのだが、強引に持たされてしまった。

なんだかんだで、僕達はあの家族に弱いし。


まぁ野菜は途中で食べないと痛むし、急ぐ旅でもない。

比較的安全な道を歩いて行くだけだしね。

ただ、途中にはカシ村があるから……

あの村は素通りしよう。


途中の道では、狩りをしながら、野営の練習や鍛錬も忘れない様に行なった。

最初の3日間は何事もなく、順調な旅だった。


4日目はカシ村を一気に駆け抜けた。

どうせ誰も僕達を知らないだろうし……

特に誰からも声をかけられなかった。


そして、5日目の朝ご飯を食べてから少し歩いていると……

街道の途中で、商隊が野盗に囲まれているのを見つけた。

商隊のガードは5名、対する野盗は7人!

ガードは連携して護っているが、人数的に若干不利な様だ。


僕は、アナに

「助けに入るよ!」

と、声をかけ、戦闘準備をする。

まずは、アナがスリングショットで手前の野盗に石をぶつける。

アナの攻撃は野盗の目やこめかみにクリーンヒットし、1人の野盗がぶっ倒れる。

その隙に、僕は野盗の所に駆け寄り、シールドバッシュで1人を打ち倒す。

どうも僕が倒した相手が、野盗の首領だったらしく、野盗達は「お頭!」と叫んで動揺している。

もちろん、ガードもその隙を逃すはずがなく、1人、また1人と野盗は倒されて行く。

こうして、僕達の加勢により、野盗は全員倒され、首領以外は斬首に処された。

もちろん、僕達は処刑までは見てないけど……


そして、あらかた片付いた後に、ガードのリーダーっぽい長身のおじさんから声をかけられた。

「俺はこのガードパーティー、ジルコニウムウオールのリーダー、セルバ、銀級の冒険者だ。

さっきは助かったぜ!」


「僕はジャルです、銅級になったばかりです」

「私はアナ、ジャルと同じく銅級です」


「あの手際で新米だと?

お前さんらの教官は、よっぽど凄い奴だったのか?」


「いえ……

僕達の教官は、ヤーフルさんって言う人で、怪我で引退した冒険者らしいんだけど……」


「えっ?

あのインチキヤーフル?

あのロクデナシが教官で、良くここまで強くなったな……

お前さんら凄えな!!」

実際、本当に僕達を鍛えたのは9歳の少年、って言っても信じてもらえないよな、多分。


「それはともかく、実は俺らのパーティーに居た魔法使いの爺さんが死んじまってなぁ。

ちょっと連携が崩れてたんだよ。

だから凄え助かった。

ありがとうな!


でな、こんな事を頼むのもなんだが、お前さんらガード志望っぽいよな?

良かったらウチに入らねぇか?

ウチはマルロさんの専属だから、食うには困らねぇぜ」


いきなり、ガードパーティーへの入隊を誘われた。

こんな実績のない僕達を、誘ってくれるパーティーなんて他には……

無いかもしれない。

でも、僕は、

「ごめんなさい、当分はハンターをやるって、友達と約束してるんです。

だから、今は入れてもらう事はできません」


「残念だな、嬢ちゃんの方も同じ……か。

まぁ気が向いたらいつでも訪ねてくれや。

俺達はカンクの町を拠点にしてるから、マルロさんの店に来てくれてもいいしな。

それと、これはマルロさんからの報酬だ」

そう言って、セルバさんは僕達に1000ジルを渡してくる。

「こんな大金貰えません!」

と、一旦は断ったのだが、強引にもらわされてしまった。

その代わり、僕達はカンクの町まで、ジルコニウムウオールのパーティーに同行させて貰うことにした。

セルバさん達には短い間だが、色々な事を教わった。

マルロさんも凄くいい人で、将来はこのパーティーに入りたい、そう思った。


そして、町に着くと僕達はセルバさん達と別れを告げ、僕達の生まれ育った教会に向かった。


そこにあったのは……

黒焦げた只の廃墟、だった。


ジャルとアナが居ない間に、一体何が起こったのか?

訳もわからず、2人は立ち尽くす。

そして、居場所の1つを失った2人は、もう1つの居場所へ向かうのだった。


次回 第16話 帰途

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