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第119話 閑話 追憶

あれから……

シアンさんは結局、あのダンジョンから出てくる事は無かった。

そして、シアンさんが向かった、隠し部屋の更に奥に入る方法は未だにわからない。

シアンさんの事だから、無事だとは思うが、俺も既に齢80歳……

寄る年波には勝てず、昨年に身体を壊し、7死仁も引退した。

まぁ、ちゃんとした後継者も見つかり、悔いはないのだが……

自らの手でシアンさんに、この国を渡す事が出来なかったのは残念だと思っている。


しかし、あのダンジョンの出来事程ではないが、あの後も色々あったな……

ダンジョンから出て、ヨグソトース団を倒した俺達は、残党を全員見つけて公開処刑し、街中で死体を晒し者にした。

これにより、既にヨグソトース団の恐怖支配に慣れてしまった住人は、俺達に安直に従った。

一方で、俺達はヨグソトース団の残した財貨を、全て街の復興に使い、街の活性化を図った。

この辺の詳細は、クロロに任せたからあんまりよくは知らないが、俺達が取ってくる魔石と、偶々街にいたイットリウム師の協力を経て魔道具の開発が進み、フォーマルハウトの街はとにかく盛えた。

そうすると、近隣の町や村は挙って俺達に恭順を示し、俺達の集団は、はちょっとした小国レベルの規模になってきた。

だが、これを良く思わないバニッシュ王国は俺達を犯罪者として、戦線布告を出してきた。

ちなみに、こちらはちゃんとバニッシュ王国に税金を納めていたのにだ。

まぁ、裏でヨグソトース団とつながっていたと言う大臣の差し金だったとの噂もあるが、真相はわからないままだったりする。

丁度その頃、俺達はダンジョンに入れなくなっており、ダンジョンは若者に任せ、俺達は戦場に出るようになった……


最初はこちらの兵が少なく、全滅のピンチも何度もあった。

特にバニッシュ王国のエンベロープ将軍は、巧みな戦術でコチラを翻弄し、タピオカ高原では俺達以外が全滅する程の激しい戦いになった。

しかし、シアンさんに貰った武器の力は絶大で、幾度もの死線を乗り越える事ができた。

そして、この頃から俺達は7死仁と呼ばれるようになっていった。

俺は絶死のベルゼと

全てを凍らすモノ、凍死のクロロ

その姿、紫電の如し、感電死のヨード

全てを焼き尽くすモノ、焼死のブロモ

その毒は腐らせ、狂わせる、狂死のアスタチン

全てを引き裂き、咲き乱れる花のように血風を散らす、散死のサルファ

全てを爆砕し、跡形も無く消し去る、爆死のニトロ

皆、あのダンジョンの生き残りだ。


そうして戦争は5年続いたが、魔石と魔道具の販売を増やしていった俺達の領土はその間も栄え、反対に幾度もの大戦で負け続けたバニッシュ王国は消耗し、疲弊していった……

まぁ、本当なら途中でやめたんだろうけど、いつも人数の少ないコチラを見て、1人でも倒し、武器を奪えば勝てると思ったらしい。

そして、バニッシュ王国ではクーデターが起こり、有力者が一旦支配した後、俺達への恭順の意を示した。

こうして、俺達は一国を支配し、その国の名を蒼断死様蒼死耀国と名付けた。

いや、結局長いから蒼死国と呼ばれていたけどさ、あの時はテンションマックスで、盛り上がっていたしなぁ……

ちなみに、最初は議会制度を導入していたが、総長であるシアンさんがずっと不在な事と、一部の汚職が発覚し、途中から王政に変えざるを得なかった。


ちなみに、俺やサルファはあんまり政治に興味がなかったきら、戦争が落ち着いた後は、軍を率いて近隣の魔物討伐に繰り出していた。

と言っても、この近隣に出る魔物なんてゴブリンにガルフ、バイコーン位しか出ないけど。

それでも、魔物を倒せば感謝されるし、ボスゴブリンはそれなりに強く、楽しかった。

ボスゴブリンは、特殊な武器を持つ奴も多いし。

確か、シアンさんも、何度かボスゴブリンと戦ったって言っていたっけ。

もちろん、1人でゴブリンの集団を狩り尽くすなんて事は出来なかったけど……


そして、暫くは平和な生活を過ごしていた。

妻のラーナと出会ったのもこの頃か。

最初は爆炎魔法を使い、ソロでゴブリンを狩り尽くす女魔導師の噂を聞いて、単に興味が湧いただけだったが……

一目惚れだった。

シアンさんに似た顔立ちもさながら、炎の魔法を操り、大群のゴブリンを前に凛とした佇まいで戦う姿に憧れを抱いたからだ。

そして、俺はゴブリン退治を口実に、何度も彼女と出会い、何度も告白した。

最初は普通に断られただけだったが、あまりにもしつこかったため、途中から爆炎魔法で焼かれたっけ……

それでも、繰り返し繰り返し告白すると、断る理由を教えてくれた。

彼女の兄、ブルーと言う人は大罪人らしい。

ガルフを呼び寄せ、村を滅ぼしかけたため、追放された。

でも、優しかった兄を探し、彼女は冒険者になったとの事だった。

だから、国の重鎮である俺とは付き合えないと……


だけど、俺は諦めなかった。

俺もシアンさんと言う人を探しているし、何度も人を殺している。

ブルーさんを探すのも手伝うし、罪には問わさせない。

そう誓ったところで、ラーナは折れ、俺と付き合う事になった。

と言っても……

デートはゴブリン討伐か、ブルーさん探しに限られたけど……

そんなこんなで3年付き合ったある日、隣国のデジョン皇国が、ペテ河を越えて侵攻して来たとの知らせが入る。

デジョン皇国は、古くからこの周辺国をまとめていた盟主で、俺達が国を興した時から上納金を納めていた。

しかし、莫大な利益を生み出す金の卵にでも見えたのだろう、デジョン皇国は俺達に何度も従属を迫ってきた。

だが、シアンさん以外の人に忠誠は誓えなかった俺達は、その話を断り続けた。

それに痺れを切らしたのか、デジョン皇国は上納金を納めに行った使者を斬り、その翌日には兵をまとめてペテ河の渡河を敢行して来た。


「と言う事で、当分はまた戦争に行かなければならない。

すまないが、魔物退治は少し休ませて貰っていいかい?」


俺はラーナに事情を話す。

するとラーナは……


「仕方ないわね、じゃ、さっさと焼き払うわよ?

まぁ、そろそろデジョン皇国の方にも行くつもりだったし、丁度良いわ」


そう言って、ラーナは俺について来た……

いや、危ないからダメだって止めたんだけどな、彼女は1度決めたら聞かないから。

例え俺と戦う事になっても、彼女は譲らないだろう。

だから、俺は諦めて彼女を戦場に連れて行く。

最初は、俺の部下の兵達ですら、何で女がとか、知らない奴を入れるのかとか言っていたのだが……

戦場はペテ河から3日ほど進んだ所にあるバーナム平野、敵総数は約3000人、こちらの兵力は500人程だった。

そして、ラーナは俺について来た後、戦場を見渡すと、1人で前に出て行った。

敵軍は、女が1人、タダの生贄かと侮り、何もしてこなかった。

そして、ラーナは魔法を放ち、1000人程の敵軍を、一気に魔法で焼き払った。

その威力に、敵も、俺の部下ですら呆気に取られる。

だが、すかさず俺は部下に号令を掛け、敵残党を斬り殺していく。

結果としては、俺達の圧勝だ。

部下は1人も死ぬ事なく、敵の大半が死ぬか、退却するか、降伏した。


ちなみに、ラーナは敵対する者には一切の躊躇もなく焼き払っていく。

その姿に、やはり俺はシアンさんとの面影を重ね、ラーナに求婚した。

ラーナには、「バカ」って言われたが、最終的には頷いてくれた。

こうして、俺はラーナと婚約し、その勢いのまま、2人でデジョン皇国の首都まで攻め上がり、皇王バナジウムに降伏を迫った。

首都が陥落し、自らの命が危ういと理解したバナジウムは即座に降伏し、求めていないのに服従を誓った。

いや、単に早く結婚したかったから終わらせたかっただけなんだが……


それから俺は、ラーナの生まれ故郷であるアラバ村へと向かったのだが……

両親に結婚の申し出をすると、まず義父さんから決闘を申し込まれた。

って言うか、義父さんスゲェマジで……

手を抜いたら死ぬっていうか、本当に死にかけるまで決闘は続き、ギリギリ引き分けて終わったから良かったが、アレはかなりヤバかった。

ちなみに義父さんも、義母さんもラーナ似で、そしてどことなくシアンさんに似ていた。

それに、義父さんの剣撃は、シアンさんのナイフ捌きに似ていた気もするし……

そして、義父さんに認められた後は、義母さんの修行だった。

呪刀無しでの闇魔法の修行……

1か月間ずっと、毎日毎日、魔力が尽きて気絶するまで魔法を使い続けた。

そうして、闇に飲み込まれない様に魔法が使えるまで、みっちりガッチリ、スパルタに鍛えられた……

あれ?

結婚の申し込みに来ただけなのに、俺は一体……

と、悩む暇もなかったくらいに。

いや、後日悩んだけどさ。


その後、俺はラーナとの結婚を正式に了承してもらい。

村をあげて結婚式をやって貰った。

まぁ、中には快く思って居ない人もいたらしいが、俺も一応一国の重臣だしな。

それに、この一家に逆らえる奴なんて、いるのか?

いや、義兄のアルフさんはスゲー普通なんだけどさ。


それと、ラーナには3人の兄がいたらしく、長男のアルフさんと次男のミルさん、そして三男のブルーさん。

ただ、ミルさんはブルーさんの親友の仇で殺されたらしく、既にいない。

それと、ブルーさんも行方不明だが、死んではいないらしい。

何でわかるかって言うと、ブルーさんが産まれた時に作った、魔導人形が壊れていないからって事だと聞いた。

ちなみに、ブルーさんの特徴から、俺達の知っているシアンさんと同一人物である可能性は非常に高い。

だから、俺はシアンさんが生きていると確信している。

それ故に、時々ブルーさんの魔導人形を確認しに行き、シアンさんの生存を確認していたりもした。


だが、それからthe大蒼帝国の建国だったり、俺とラーナとの間に子供が産まれたり。

色々あって、結局シアンさんをあまり探しに行けなくなった。

もちろん、国の情報網はフル活用したが、出来る事なんて限られているし、冒険者ギルドも政治介入を嫌っているから、あまり協力は得られていない。

そして、何事もないまま月日は過ぎてしまい……

5年前にヨードが死んだ。

死因は心臓発作で、戦場で死んだわけではない。

次に、アスタチンが脳梗塞、サルファが胃がん、ニトロが肺がん、ブロモが老衰と全員年齢が原因の病気で死んでいき、遂に去年はクロロが腹上死で亡くなった。

全員が大往生で、死地で死ねなかったのは、幸か不幸かはわからないが、皆それなりに充実した人生だったと思う。

そして俺も多分……


ちなみに、最近になって、the大蒼帝国の2代目皇帝が選出された。

まぁ、クロロ不在で、シアンさんがいつ戻るかわからないし、仕方ない事なんだが……

実は選ばれたのは、弟のベルベの孫だったりする。

世の中どうなるかわからないものだな……


俺ができるのはここまでだが、この手記を残す。

願わくば、シアンさんに届きますように。

















あれから、立ち寄った村で偶然ベルゼさんの手記を見つけた。

僕を見つけるために、色々な場所に配られたらしい。

しかし、ベルゼさん達が国を作ったり、ラーナと結婚したとか、衝撃の事実が書かれていたが……

概ねみんな幸せだったらしい事は、良かったと思う。


だけど……

これからどうしようか?

僕は今後について思案にくれるのだった。


「別に、好きに生きればいいニャ」


僕の心配を他所に、ヴァンは気の抜けた声でそう言ったのだった。


少年は、かつて一緒だった若者達の遺産を見に帝都へ。

しかし……


次回 第120話 過去の亡霊

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