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第114話 平凡

アルマ痔牢を倒した後、少し休憩を挟んで僕は先へと進む。

その先にいたのは……

頭が牛の半獣人だった。

ミノタウルス、確かそんな様な名前の魔物か?

筋骨隆々で、身長が高く、それでいて身の丈程もある大剣を持っている。


「メェー!

俺様はミノギガンティア、至高の攻撃力を持つ魔法生物だメェー。

名前はモンタナだメェー。

俺様の愛刀馬鈍那の一撃は、アダマンタイトすら斬り裂くぜメェー。

俺様最強、俺様無敵、俺様超Tueeeeeee!」


なんと……

ミノタウルスのモンタナだと?

みの○んた……

何故だか、強大な闇社会の力を感じ、背筋が一瞬凍りつく。

うん、名前の事は気にしない様にしよう。

しかし、なんで鳴き声は羊かヤギなんだろうか?

キャラがブレ過ぎていて……

ついて行けないかもしれない。

それはともかく、あの大剣から繰り出される一撃は、確かに脅威だメェ。

あっ、思わず移ってしまった……

多分だけど、攻撃を真正面から受け止めたら、衝撃波で死ねるだろう。

一方で、攻撃以外のスピードはそんなにないし、再生能力も防御力も低いだろう。

つまり……

当たらなければ良いって事だ。


それと……

牛肉か。

最近食べてないよなぁ……

でも流石に、半獣人とは言え、人を食べるみたいで気がひける……

でもなぁ……


「あのさ、モンタは牛と人の融合体なのかな。

一応、人間って事でいいの?」


「人間だと?

バカにするなメェ!!

俺様はバルバトスブラックベリーとグローニンゲンとザーネンとオークから造られたメェ!

下賤な人間の遺伝子なぞ、入っておらぬわメェ!」


羊と牛と山羊、そして豚の魔物の融合体って意味か……

だからメェメェ言っているのか。

なんだか、そう思うと、とても美味しそうなモノに見えてくる。

引き締まった筋肉とか、微かな獣臭とか、腹が減ってきて仕方ない。

喋る人型の魔物ではあるが……

人じゃないって言っているし、良いよな?

とにかく、それならばしっかりとやらないと。


「な、なんだその目はメェ……

俺様は強いんだぞ?

なんだか……

嫌な予感がするメェ……

こうなったら、死メェ!」


そう言って、モンタは大剣を振り上げ、一気に振り下ろす!

その一撃は、強烈で鋭い。

正に至高の一撃……

当たればね。

僕は、当然の如く、その一撃が振り下ろされる前に、背後に回り込む。

そして、背中に血抜き君を突き刺し、血抜きを始める。


「こ、この俺様の一撃を避けた……

メェ?

しかも、なんだその攻撃は……

力が抜けるメェ……

これじゃ、俺様は……

何もできないメェ……」


そう言って、モンタは倒れ、息絶えた。

さて、ならばここからは、素早くやらないと……


「テテテレテッテテ、テテテレテッテテ、テテテテテテテテズッタンタン。

では今日はミノタウルスの解体をやりたいと思います。

テキストは3ページを開いてください。

まずはこの様に新鮮なミノタウルス、今回は特上のミノギガンティアが用意されていますが、これ程のものは滅多に手に入りませんので、普通のミノタウルスでも大丈夫ですよ。

まずは仰向けにして、胸の部分に少しだけ切れ目を入れ、魔石を取り出します。

魔石を取り忘れると、魔素が抜けにくくなりますので注意しましょう。

そして、全身くまなく、しっかりと魔素を抜き取ります。

そうしないと、肉が不味くなってしまうので要注意です。

次にうつ伏せにします。

その時も肉を傷めない様、丁寧にお願いします。

うつ伏せにしたら、この大剣、ミノタウルスは大抵、大斧とか大剣を持っているので、そのまま流用するのが丁度良いと思います。

大剣で、頭と手脚をしっかりと落とします。

頭は、タンが取れますが、素人には処理が難しいので、廃棄します。

手脚は、とりあえず新鮮なうちに収納魔法に仕舞っておきましょう。

それから、背骨に沿ってナイフで皮を切っていきます。

この時、内臓を傷付けない様に注意しましょう。

臭いが移ると、味が落ちる可能性があります。

そして、肩口と脇の皮もしっかりと切り、肩口から皮を剥いでいきます。

最初に皮の境目を切って、一気に剥ぎましょう。

背中側をまるごと剥いだら、背中の筋肉を切り取っていきます。

これが肩ロースになります。

それから、リブロース、ヒレ、サーロイン、ランプまで回収していきます。

まぁ、ミノタウルスの尻が汚くて、食べるのに抵抗があればランプは回収しなくても大丈夫です。

背中側を粗方回収したら、ひっくり返して前の皮を剥ぎます。

自身が無ければ、胸筋のバラを回収すれば問題ありませんが、手慣れてくれば腹筋も回収していきましょう。

内臓は……

何を食べているかがわからないので、ミノタウルスの場合はやめておきます。

人の死骸が出てくる事も良くあるので、注意して下さいね。

心臓はお好みでどうぞ。

あと、実はミノタウルスの第1胃のミノは、とても美味しいと言われています。

でも、寄生虫がいるので、特殊な魔法で焼かないと食べれません。

なので諦めましょう。

ちなみに、牛骨もスープにするのに最適ですが、偶に病気になる事もあるので、基本的には廃棄します。


さて、それでは早速回収した肉を焼いてみましょう。

収納魔法で良化したサーロインを、石焼セットに乗せ、藁で種火を作り、塩を振って、炭火でじっくりと焼いていきます。

ちなみに、焼き加減は充分火を通したウェルダンで。

じゅうじゅう焼ける音が、食欲をそそりますね。

では、いただきます!」


ちなみに、これは灸Pごっこと言われるママゴトの一種で、色々な魔物の解体、料理方法が伝えられている。

まぁ、オークとかミノタウルスとか、滅多にいない魔物の解体方法ばかりだけど……

そう言えば、僕の小さい頃に近くの村にオークが現れたらしい。

その時は、破槌のベンゾピレンとかいう人が倒したらしいんだけど。

あの時は、破槌ごっこが流行ったなぁ。

僕も家の槌を持ち出して、遊んで父さんに叱られたっけ。


それはともかく、モンタの肉を食べてみる。

うっ……

これは……





美味い!

軽く塩を振っただけなのに、異常に美味い。

実はさっきのアルマ痔牢も美味かったのだろうか?

そうなら……

いやまぁ、気にしない様にしよう。

正直、喋る人型の魔物を食べるのには、抵抗があったのだが……

美味いな、やはり肉だな。


そして、先に進んでいくと、次の相手は……

猫だった、見た目はただの猫……

多分魔法特化の魔法生物だと思う。

なんか、話かける前に不可視の魔法弾を連発して撃ってくる。

まぁ、相性としては最悪……

向こうにとってはね。


この程度の魔法なんて、例え無限に撃てても、効きはしない。

しかも、目では不可視の魔法でも、魔力が見えればなんとでもなる。

それと、絶対防御に近い魔法の結界も張っている。

剣で斬っても、魔法を撃っても、全て弾いてしまう。

だから、魔法攻撃自体がそんなに強くなくても、無敵なんだろう……

魔力を吸い取れる様な相手なんて、想定していないだろうしね。


「えっと、その程度の攻撃魔法なら、効かないよ?

あのさ、僕は猫派だから、あんまり殺したくないんだよね……

そうだ、この肉食べてみる?

さっき倒したミノギガンティアの肉だよ」


そう言って、肉を投げると、その猫は話し出した。


「我が名はジョヴァンヌッア、ケットシーの最上位ケットツェーだ。

我は極限の魔導使いなり。

我が魔導にひれ伏すがいいニャ

し、しかし、攻撃とは何の事かニャ?

わからんニャ。

気高き我が、そんな卑怯な事をするわけがないニャ……

そして、敵が出したそんな物を食べるわけが……

敵から施しなどと……

う、ニャ……

この逆らえない豊潤な香りは……

ハグハグ、なんだ、この味は!

こんな美味いもの……

食べたことがない。

魔性の味……

お主どこでコレを手に入れた?」


猫は、結界を解き、僕の肉を食べならが質問してくる。


「だから、さっき倒したミノギガンティアだけど?

まぁ、それだけじゃなくて、僕の収納に入れると良化されるんだよね。

ちなみに、川魚があるけど、これも食べてみる?」


そう言って、僕は魚を出す。

すると、猫は再び魚を食べ始めた。


「ハグハグ、うみゃあ。

凄い、我は魚は嫌いだったのだが……

こんなに美味いとは……

ヤバイ、ヤバ過ぎる……



フゥ。

では、食べたところで、正々堂々と戦おうかニャ?

いざ、尋常に勝負ニャ!」


いや、正々堂々の前にさっきからずっと、僕にこっそりと魔法を撃ってるよね?

まぁ、効かないけど。


「勝負って言ってもな。

僕は猫が好きだから、できれば殺したくないんだけど?

そうそう、ウサギもあるよ。

食べるかな?

まぁ、流石にお腹いっぱいか。

じゃ、仕方ないし勝負する?」


「う、ニャ……

ウサギがあるなら……

たしかに今は食べれないが……





わかった、休戦してやるニャ。

でも、食べ物が無くなったら殺す。

隙を見せても、殺す。

本能の赴くままに殺す。

絶対に、お前に従うわけじゃないニャ。

あくまで、休戦ニャ。

わかったかニャ?

従魔になるわけじゃないからニャ。

ははは、常に我に狙われる恐怖を味わうがいい!」


「わかった、わかった。

まぁ、寝てる間だけは勘弁してくれよ。

それと、たまに話し相手くらいにはなってくれると嬉しいかな。

本当は触って、撫でたりもしたいんだけどね……

そしたら君は死んでしまうだろうし、話すだけしかできないってのもあるんだけどね。

それと、なんて呼んだらいい?

ちなみに、僕の事はシアンって呼んでくれ」


「我が名はジョヴァンヌッアだ。

まぁ、長いならヴァンでもいいぞ、シアンとやら。

ククク、しかし、所詮は貴様など、あの御方の依代の候補に過ぎぬしな。

あと少し、束の間の生を楽しむがいいさニャ」


「んー、そこの所は心配ないと思うけどね。

それより、次の相手はどんな奴なのか知っている?

また何かに特化しているのかな」


「フンっ。

次はただの凡人、いや凡庸な魔物だ。

我らの様な特別ではないぞ?

お主なら余裕じゃろうてニャ」


「へー。

僕も凡人だけどね。

なんか、ちょっと共感するかも?」


そんな話をしながら、僕はヴァンを連れて次へと進む。

そして、そこに居たのは……

ただの人型の魔物。

多分、魔人……

だが、なんだか怖い……

こんな感覚は、久しぶりだ。


「いやあ、初めまして。

僕はナイアラットホテプ、まぁ人によっては這い寄るとか、無貌とか、血塗れの舌とか呼ばれてるけどさ、別に気軽にテプーさんとか呼んでもいいよん。

ちなみに、種族は無いよ、ただの平凡な普通の混沌さね。

だから、僕には最強の攻撃力も、極限の魔導力も、至高の防御力も、無限の生命力も、最高のスピードも、そして究極の知能なんてないのだよ。

まぁ、そう警戒しないで欲しいものだな」


ヴァンが凡庸というその魔人は、気軽な口調で、怪しく語りかけてくるのだった。

追い込まれた若者達は、死を覚悟し、思い出す。


次回 第115話 閑話 死仁

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