第10話 パーティー結成
ジャルとアナを連れてきた場所は……
僕の家だった。
僕はドアを開け、「さあ、遠慮なく入ってよ」と、言った。
ジャルとアナは、事態を飲み込めていないらしく、周りをキョロキョロと見ている。
中では……
母さんが、沢山の料理を作って待っていてくれた。
「ブルー、遅かったわね。
その子達が、ジャル君とアナちゃん?
話は聞いているわ。
今日は遠慮なく食べていってね」
「ブルー、どう言う事だ?
僕達を哀れんでるのか?
強くなるための修行をするんじゃないのかよ?」
「そうだよ、だって、ジャルとアナはあんまり御飯を食べてないでしょ?
それじゃ力は出ないし、体力もつかないよ。
ちゃんと食べないと、僕やあの3人衆には勝てないよ。
だから、今日は食べる事が修行なんだよ」
僕はそう言ってから、こっそり2人に耳打ちする。
「実は母さんも小さい頃に親を亡くしていてね。
偶々魔法が使えたから生き延びられた、らしいんだけど、君らの気持ちはわかるって。
だから、御飯くらい食べにきてもらえって、母さんが言ったんだよ」
そして、ジャルとアナと僕の家族で御飯を一緒に食べる。
ジャルとアナは無言で一心不乱に食べていた。
ちょっと涙を浮かべながら……
そして、食べ終わると、
「ごちそうさまでした。凄く美味しかったです」
と母さんに礼を言った。
それから、暫く色々な話をして、ジャルと一緒にお風呂に入った。
その後、2人はいつもの集会所に帰っていった。
翌朝、ジャルとアナは再び僕の家に来た。
今日は養成所が休みの日だからだ。
そして……
僕と一緒に朝練をする。
まずはラヂオ体操を教えて、しっかりとウォーミングアップする。
その後は、腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットをしっかりやる。
この時点で、アナが途中でギブアップしていた。
「ブルーは毎日こんなキツイ訓練してるの?
そりゃ私達より強いのも納得だよ」
アナはそう言って休んでいる。
「うーん、慣れだけどね。
僕も最初は全然できなかったしね。
ただ、これをやらないと、ハンターにならせてもらえなかったからね〜
それじゃ、次はマラソン行くよ!
アナはゆっくり休んでいてね」
そう言って、かなりへばり気味のジャルとマラソンに出かける。
ジャルは10分くらいでダウンしたので、歩いて戻ってもらう。
暫く走って戻ると……
2人ともぐったりと木陰で休んでいた。
とりあえず、2セット目は、無理かな。
僕が2セット目を終えると、2人とも多少動けるようになったので、僕の家に一緒に行き、朝御飯を食べる。
その後は、僕とジャルは畑仕事を手伝い、アナは母さん達の内職を手伝う。
働かざる者食うべからず、と言うかジャルとアナから自主的に頼まれたのもあるんだけどね。
畑仕事も立派なトレーニングだしね。
そろそろ8月、稲の花が咲き、穂が出始めた。
来月には稲刈りの時期が来る。
新米楽しみだな。
茹だるような暑さの中、僕とジャルとアルフ兄さんと父さんは、一生懸命畑仕事を行う。
昼ごはんを食べ、また畑仕事へ。
夕方は父さんの指導の下、素振りをし、みんなで夕飯を食べる。
アナは僕の妹のラーナと仲良くなったみたいで、一緒にあやとりをしていた。
そして、今日も集会所に帰る2人に手を振る。
「また明日ね〜」
そう言う僕に、2人は一礼して、「また明日な」「また明日ね」って返事をした。
翌日も、その次の日も、僕らは一緒に修行して、畑仕事をした。
養成所のある日は、一緒に朝練してから養成所に向かう。
ちなみに、相変わらず午後の訓練はヤーフルさんと僕の2人での模擬戦だけしかやらないらしい。
その間ジャルとアナの2人は、筋トレしたり、素振りや連携パターンの研究等の自主練習をしていた。
そうそう、アナは実は視力が凄く良く、かなり遠くまで視える事がわかった。
なので、父さんがスリングショットを自作してくれた。
ちなみに、スリングショットは、木をY字型に削って、ビヨーンガエルと言う、皮が異常に伸縮するカエルの皮を剥いでひも状にして作った簡易なものだが、石や鉄球、ドングリ等を正確に素早く飛ばす事が出来る。
これを、アナは軽く使いこなし、最近では狩をするようになった。
ウサギでもハトでも、小動物の狩はアナの方が僕より上手になっている。
一方で、ジャルは……
ある日母さんから、
「ブルー、あのね、あのジャル君、多分魔法の素質があると思うのよね。
しかも、回復魔法系だと思うの。
母さんじゃ、簡単な魔法しか教えてあげれないけど……
ちょっと聞いてみてくれない?」
と言われた。
僕は、すぐにジャルに伝えると、ジャルは目を輝かせて、
「是非!」
と頼まれた。
そして、母さんに弟子入りする事になり、時々魔法の修行をしている。
そんなこんなで、ジャルは魔法、アナはスリングショットでの遠距離攻撃を覚え、2人とも強くなっていった。
今では、ジャルとアナのコンビと模擬戦をしても、勝率は五分五分になってきた。
いや、若干負け気味……
単体戦なら、まだ僕の方が強いんだけどね。
そして、そんな感じで修行を続けていると10月になり、とある日、ジャルとアナから話があると言われた。
「まだまだ弱い僕らが頼むのもアレなんだけどさ、ブルーとアナと僕でパーティーを組まないか?」
「私達はガード志望だけど、当面はハンターをやって実績を残す必要があるから、お願い!」
2人にそう頼まれ、僕は……
「やった!
嬉しいよ。
是非是非頼みます。
君達2人なら、きっと上手くやっていけそうだしね。」
「ありがとう!
それじゃパーティー名を決めないと……」
と、ジャルが言ったので、
「kill the kingは?」
と、僕が言うと、
「「却下!」」
と、2人して拒否られた。
魔王殺し、強そうないい名前だと思うんだけど……
ジャルとアナは空に関係しそうな名前だから。
「うーん……
じゃあ、スカイハイ、でどうかな?
青い空をどこまでも羽ばたく鳥の様に高みを目指して、と言う願いを込めて!」
と、僕が提案すると。
「スカイハイ、良いね。
じゃあこれから僕らのパーティー名はスカイハイでいこう。
アナもいいよね?」
「ええ、異存ないわ。
あと、リーダーは、やっぱりブルーがいいと思うの。」
「えっ?
いや、僕が一番歳下だし……
ジャルの方が良くない?」
「いやいや、僕はリーダーって柄じゃないよ。
それに、ブルーが居なかったら、多分今でもあの3人衆にヤラレていたと思う。
あの時、ブルーが僕らを助けてくれた。
だから、やっぱりリーダーに相応しいのは、ブルーだと僕も思う」
と、ジャルまでが言うので、僕はリーダーを引き受ける事になった。
こうして、僕達は友達から仲間になった。
ハンターパーティー スカイハイ
これが僕らの物語の始まりなる。
そんな予感で胸が一杯になった。
僕達スカイハイのメンバーは地道にコツコツ修行を続け、それぞれの得意技術を伸ばしていく。
そして……
冬が訪れ、養成所の卒業が近づく。
これをクリアーすれば、正式に冒険者になれる。
僕らの夢見た道へ、例え過酷な現実が待っていようとも。
次回 第11話 卒業試験




