虚無空間の終末
「何、それは本当か」
古川は急ごしらえの不可視バリアで覆われている惑星サムソの浮浪者から業魔の情報を得ることに成功。
惑星サムソは急ごしらえだが不可視のバリアのおかげで業魔からの襲撃を逃れ続けている。
だが、それも時間の問題だ。この世に生を受けている限り、業魔から逃げた事にならない。
業魔から身を守るためには斉藤や古川のように自身を高次元空間にいる事だ。それは今の地球人ハイランダーじゃ出来ない芸当だ。
この高次元空間にいさえすれば奴らに一方的に攻撃ができる。地球人ハイランダーでは習得が難しいか。
斉藤と古川についての情報はない。容姿、年齢、性別、趣味、の全てが不明だ。作者自身さえも分からない。
2人はどんな格好で浮浪者と会話したり、ショッピングモールで買い物したのか見当もつかない。
2人は三次元で表される一定の形を持たないからだ。三次元で表される全ての形を表現できるし、三次元で表されぬ形になることもできる。
いまは、面倒事を避けるために目立たぬ形をしているようであるが、それが何なのかは分からない。
ハイランダーは大抵人型なのだ。それが宇宙環境で活動するに最も適したフォルムらしいので。
だから、鳥ハイランダーや亀ハイランダーも人型かそれに近い形をしている。斉藤と古川もそんな感じで惑星サムソをうろついているのだろう。
本題に入ろう。惑星サムソで得た情報とは、サムソから9727億9147万4484キロ離れた場所にある惑星ヴリヴァヴァに業魔の幹部がいるらしかった。
浮浪者は嘘言っていない。心の中を読めば言っている事は真実だった。
2人がワープで惑星ヴリヴァヴァ降り立った。
しかし、そこは・・・
「何だ貴様ら!!!!」
斉藤と古川がワープで降り立った場所は業魔のボスと幹部が顔を並べる御前会議の場だった。
戸惑う業魔幹部に目もくれず古川はただ1人だけを見据えていた。
1人だけ漂うオーラが違うアイツ。
「お前だな。業魔のボスは」
「いかにも。俺は業魔のリーダー、夏樹だ」
「名字は?」
「小川だ」
「そうか、小川夏樹さん。アンタのタマもらいうけるぜ」
「やってみな」
「斉藤!時間停止だ!」
古川の指示によって時間停止された。当然奴らも全員止まっている・・・と思ったが、動いている奴がいた!
「俺は業魔幹部のメタセコイアだ。俺に時間停止は通じないよ」
メタセコイアは古川に飛びかかると右ストレートをしかけてきた。
「当たるものか」
古川はどうせ当たらぬと余裕かましていたが、古川の顔面に右ストレートが直撃。なんてことだ。
「防御ぐらいしなよ。俺は時間と空間を超越した業魔の幹部だ。俺は時間が経過する前に行動を完了させられるし、貴様の高次元空間を無視して攻撃もできるのさ」
「これは分が悪いかな。逃げるぞ斉藤!」
古川と斉藤は別の世界へ逃げた。パラレルワールドに逃げたのだ。
「逃がすかよ」
逃げた先の世界は虚無の空間。虚無空間は来るものを虚無に変える恐ろしい生きた空間である。
空間を超越しているため相手のメタセコイアも無影響。もちろん古川と斉藤も高次元空間にいるため無影響。
「ここなら思う存分に戦えるな」
はりきる古川。
「斉藤!アレやんぞ」
斉藤は頷く。
「よし・・・!」
瞬時に古川と斉藤の体は無限大に肥大化した。しかし、虚無空間は無限の大きさのため、2人は無限に肥大化し続ける。
「空間を超越しているらしいがメタセコイアさん。アンタはこの膨張しきった空間に耐えきれるか!?」
いくら無限の虚無空間とはいえ、さらに無限の大きさの斉藤と古川という2つの無限の大きさを取り入れてしまっている。
虚無空間は果たして持つのか・・?
「くっ・・・これは少し厳しいか。ならば元の世界まで逃げるまで!」
メタセコイアは帰ろうとしたが、叶わなかった。斉藤が虚無空間にロックをしたのだ。
この虚無空間は全ての空間、世界から切り離された場所になっていた。ロックされている限り、誰もここから出られない。
「ぐわあああああああああ!!!!助けてくれえええええええええええ!!!」
空間がオーバーフローして爆発した。メタセコイアは空間爆発に飲み込まれて消滅した。
今、斉藤と古川がいる場所は完全なる無だった。虚無という概念すらない。何もない。無。
空間が無くなった後は何も残らない。
「やっぱり肥大化は危険だな。誰かを巻き込むかもしれないし」
斉藤は頷いた。




