胸のど真ん中 心の磁石が
「もう一つ説明しておきましょう。私が手を前に出しているのは能力の発動条件ではありません。この方がより集中して威力のある攻撃が出来るからです」
親切にも再び遠藤が解説を行う。それよりも古川は考えるべき事があった。遠藤の無の攻撃は一時的とはいえ、斉藤を無に帰しているのだ。
「無にする攻撃はとても強力ですよ。例えば古川様、あなたのIQは4456ですが、それを0にする事も出来ます」
何て範囲の広さだ、それをもし成功させられたら負けてしまうのではないか?と古川は思った。
「IQを0にすると相手が気の毒なお姿になられるので、あまり使いたくありませんが、他に手が無くなったなら使うかもしれませんね」
まずいな、と古川は思った。遠藤はいつでも自分たち2人を倒せる余裕を持って闘っている。
「何を0にすればいいのか、分かりませんねぇ」
大抵の0にする攻撃でも即座に復活する斉藤と古川に対して遠藤は攻めあぐんでいた。
「さて何がありますかねぇ。何か0にできて、あなた達にも効果的なそれは何ですかね」
古川は遠藤に飛びついて近接格闘を行う事にしたが、遠藤は体術的に優れている人物らしく、古川以上の格闘術を披露してみせた。
このままではいづれやられるな、と古川は拳を交えながらそうと感じ取った。
900年程殴り合って遠藤は悟った。あぁ、こいつら2人を倒すには知能を0にするしか方法はないと。
「手加減はここまでです。私も余裕ありませんので、確実にやらせてもらいます」
遠藤が本気を見せそうだった。