終焉の7月26日(4)
チャラ男の後ろを必死で追いかけていった先にあったのは、阿佐ヶ谷らしくない小洒落たバースタイルの居酒屋だった。
阿佐ヶ谷にお住いの皆様、阿佐ヶ谷を愛する皆様、この小説では終始阿佐ヶ谷をこき下ろしっぱなしで大変申し訳ない。これが最後の阿佐ヶ谷disりになるので、この場をお借りして謝罪させていただく。
合コンはすでに始まっていた。
とはいえ、通常3対3の合コンのところを1人が欠席、1人が遅刻していたので、男性一人が女性三人に囲まれる形式となっており、到底合コンとしての体裁をなしていなかった。
チャラ男と裕介の到着に気付いた唯一の男性陣が、援軍に感謝するようなハーレムを奪う敵を憎悪するような複雑な顔をしていた。
店の入り口から見て、女性陣は背を向けるように座っているため、着席するまで顔は確認できない。しかし、髪型や服装からして裕介好みのギャルであることは察しがついたため、テンションが上がる。
席に着いた裕介は女の子の顔をチェックする。
パッと見、なかなか良質なギャルが揃っている。
元からいた男性の前に座っている女の子は、髪こそ黒髪であるが、真っ白なファンデーションの上に大量のチークを塗りたくっている作り物の顔からビッチ臭が感じられてなかなか良い。チャラ男の前に座っている子も、頭にお城が立っているかのような小悪魔ア◯ハ読モ的ヘアスタイルがそそる。裕介の正面に座っている子は、金髪に鼻ピアスが……
「あーっ!あのときの!!」
裕介は素っ頓狂な声を上げてしまった。
間違いない。裕介の目の前の女性は、裕介が電車内で痴漢をしたあの女性だ。サラリーマンに横取りされたあの女性だ。
「私、あなたとどこかでお会いしたことありましたっけ?はじめましてですよね?」
女性はキョトンとした顔をしている。
先ほどは無意識的に声を上げてしまったが、まさか「覚えてないですか?僕、あのときの痴漢ですよ。変態ですよ」などと正直に答えるわけにはいかない。どうこの場を取り繕うべきか。この女性は裕介のタイプだから、なんとかゲットしたい。どうすれば……
あ、そうだ。とっておきの返しがあるじゃないか。
「え?はじめて会った気なんてしないんだけど?もしかして、運命かな?」
女性は最初は不思議そうな顔をしていたが、突然、何かを思い出したかのように、小さく、あ、と声をあげた。
「そういえば、今日、テレビの星占いで、「運命の人に出会うかも」って言われたんです。きっと、あなたが運命の人なんですね」
女性は小さな顔をポッと赤らめた。




