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タイムループは終わらせない  作者: 菱川あいず
第2章ー濫用されるタイムループ
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衝撃の7月26日(1)

 腑に落ちない思いが気怠けだるさとなり、アラームへの反応をさまたげた。目覚まし時計を無視してベッドの中で微睡まどろむのは、堕落した人間の習癖であり、裕介にとっては初めてのことだった。

 いや、正確にいうと微睡んではいない。眠気は全くなく、むしろ頭の中はフル回転だった。


 

 あのチャラ男を見たとき、裕介は、タイムループの解除方法は黒幕打倒型かといぶかしんだ。あのチャラ男は敵であり、あいつを倒せばタイムループが止まるのではないかと思った。


 しかし、真実は逆だった。

 黒幕打倒型ではなく、黒幕救済型だ。あのチャラ男は倒すのではなく、救わなければならない。その証左しょうさは、あいつがバイクにかれて命を絶った瞬間、場面がまたベッドの中に戻ったことだ。あいつの死がタイムループの引き金だった。あいつが死に際に残したこの世への未練が怨霊おんりょうとなり、今回の怪奇現象を引き起こしている。


 タイムループを止める方法は簡単だ。全力疾走するチャラ男を止めればよい。どう止めたっていい。声をかけてもいいし、足をかけてもいい。羽交い締めでも半殺しでもいい。一秒でも動きを止められれば、あいつとバイクが衝突することはないはずだ。そうすれば、チャラ男の命は救われ、タイムループが止まる。



 しかし−


 納得がいかない。



 なぜ裕介があんなチャラ男の命を救うために一肌脱がなければならないのか。


 チャラ男は社会にとって不要な存在、いや、それを超えて完全な害悪だ。チャラ男がバイクに轢かれて死んだのならば、そのまま死なせておけばいい。誰も悲しまない。すでに実親からも勘当かんどうされているはずだから、家族だって悲しまない。国からすれば、ゴミ一人を養うための社会保障費が削れるのだから喜ばしいことだ。


 しかも、あんな全速力でロータリーに侵入し、左右も確認せずに生垣を乗り越えていけば、事故に遭うのは当然だ。完全に自業自得じゃないか。

 

 チャラ男が現世にどのような未練を残したのかは知らないが、どうせ先日クラブで知り合ったビッチとAまでしかいけてないとかそんなもんだろ。



 チャラ男には救済よりも粛清しゅくせいを与えるべきだ。あいつの命を救うのは裕介の信念に反する。道徳心に反する。


 そもそもなぜチャラ男と裕介がタグ付けされているのか。もちろん、あんなライオン男と裕介の間には過去に一切の面識がない。あいつがどうしても命を助けて欲しいならば、タイムループの主人公は裕介ではなくどこかのギャルサーの姫を設定するべきじゃないか。なぜ裕介を巻き込むのだ。理不尽この上ない。



 いくら思考を巡らしても、チャラ男を救うことを正当化するすべは見つからない。チャラ男を救わない以上はタイムループからは抜け出せないのだが、救えない。まさに袋小路じゃないか。

 一体どうすればいいのか。ジーザス。


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