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第一章 40  馬鹿力

 タカキーズではブラッシェド・バンブーによる襲撃などを警戒し、厳戒態勢が取られていた。それは24時間建物の外に歩哨を置くほどの徹底ぶりだった。そして、その中心的な役割を果たしていたのが、我らがミシマ・タクマであった。彼は献身的に人の嫌がる歩哨を買って出て、警備にあたっていた。周りもそのような彼の姿や態度を見て一目置くようになり、ミシマさんはいつしかタカキーズ護衛団の師団長の一人となっていた。そんな折、僕はミシマさんに相談され、一緒に町に出ていた。僕のグレートエスケープ、パーフェクトプロテクトは奇襲に対しては非常に有効であった事から、度々買い物などに駆り出されていたのだった。


 「タカキっち、どうこれ?伝説の聖剣のレプリカだって?かっこよくね?」


 「ミシマさん、それってインテリア雑貨ですよ……。どういう思考をしたらレプリカで戦えると思えるんです。」


 「かぁ~手厳しいな~相変わらず~。じゃあ、ちょっと選んでよタカキっちがさぁ。」


 ミシマさんは来るブラッシェド・バンブーとの戦闘に備えて、自らの装備を整えたいと、現在は武器屋で新たな剣を物色中だった。


 「とりあえず、ここは出ましょう、正直高いわりに目新しい物も見当たらないですから。」


 店の人に聞かれないようミシマさんに伝えると、即答で「じゃあどうする?」と不満げに顔をしかめた。


 「シモンズさんに武器も扱っている骨董店の話を聞いてまして、そこに何かしら目ぼしいものがあるかもしれませんよ。」


 「骨董店かぁ~、いいね、うっかり伝説の聖剣があったりしてな。」


 「いや、それはないと思いますよ………。」


 お気楽なミシマさんを伴い僕はそこから二つ通りを挟んだ、さびれた路地にひっそり開かれていた骨董店「いくら屋」をようやく探し出した。骨董店というよりはどちらかといえばオシャレなアンティークショップといった佇まいの店だった。

 店主はこの店の三代目だというまだ若い女性だった。僕たちが落胆したのはさほど広くはない店内を見まわし、武器の存在が認められなかった事だ。店主に尋ねると最近は古い武器はほとんど売れないため、現在は取り扱っていないとの事だった。僕はシモンズさんからの紹介である事を告げると、店主はそれならという事で、店の裏側に隣接している倉庫に案内してくれた。

 倉庫の中はひどく埃臭かったが、ものすごい数の剣や、槍、弓などの武器が並べられていた。確かに錆びついたり、刃こぼれがひどいなど、その武器の本来の役目をすでに終えていると思われる物がほとんどであった。


 僕が骨董店を訪ねた理由は当然一つだけだった。僕が持ってるアイテム同様に「ベロを出して笑うキャラクター」、このマークの付いたアイテムを手に入れる事だった。ミシマさんは相変わらず豪奢な装飾が施されたような物ばかり物色していたが、彼が「それ」を手にした事はある意味「運命」と言ってもよいだろう。


 「なんだ?すっげ地味な剣だな。あははは、なんだこのベロマークは?いらねっ。」


 ミシマさんは再び古びた剣をガラクタの山に戻した。それはまさに剛刀と呼ぶのにふさわしい大きな剣だった。僕は彼に近づき、その剣の柄に「ベロを出して笑うキャラクター」の刻印を確認すると、うれしくなって柄を掴み持ち上げようとした。だがその剣は地面に突き刺さった聖なる剣のように、選ばれし者ではない僕ではビクともしなかった。その剣は確かに巨大でその金属で出来た鞘だけでも相当な重量であろう事は容易に想像出来た。しかし、これほどまでに微動だにしないとは考えられない事であった。


 「ん?どうしたタカキっち?それ何かいいヤツなの?」

 

 剣を持ち上げる事に苦戦していた僕を見て、ミシマさんは軽々とその剛刀を持ち上げた。そしてそのまま刀身を鞘から抜き去る。古びた鞘と柄からは想像できないほど美しい刀身が仄暗い倉庫の中で輝いていた。


 「おっ?中身はなかなか綺麗じゃん。いいかもなこの剣。」


 僕はかなり驚いた、本当に1mmすら動かす事の出来なかったこの巨大な剣を、ミシマさんは片手で軽々と振るっていたのだから。ミシマさんは気に入ったのかブンブンと剣を振り回し、使用感を確認していた。僕はその間にこっそりと、カオスポケッツからベロマークシリーズのカタログ兼アイテムの取説を出して、この剣の項目を探す。それはすぐに見つかった。


 ●アイテム名/馬鹿力ばかぢから

  ・この世で最も重量のある剣。特性のない者には持ち上げる事も出来ない。

   それ故にこの剣を振るった際の破壊力は半端ない。

  ・使用できる者の条件/馬鹿である事

   この剣は使用者の「馬鹿」を糧として力を発揮する。

   つまり馬鹿であるほどにその力は増大されていく。


 「うりゃ~!ふんっ!」


 ミシマさんが振るう剣の風圧が半端ない。まさに選ばれし者ミシマ・タクマ……。

 だが、この事実はそっと闇に葬ろう。


 結局、早々に帰りたかったミシマさんをなんとか説得して、僕は半日かけて倉庫内を隈なく調べた。そして剛刀「馬鹿力」の他に、もう一つだけ「ベロシリーズ」のアイテムを発見する事が出来た。店主はガラクタなので料金はいいと言ってくれた。特に「馬鹿力」については、運ぶのも数十人かかりだったので、助かると喜んでくれた。どうやら過去にミシマさんほどの逸材がこの剛刀に出会う事がなかったのだろう。ただのデカくて重い剣、それが「馬鹿力」の認識だったようだ。そして、も一つのアイテムについて、帰り道ミシマさんは、


 「ところでさ、タカキっちの買ったその眼鏡……何?」


 と、首を傾げた。

 そう、僕が手に入れた新たなアイテムは眼鏡。その名を「マジック・ミラー」と言う。対ブラッシェド・バンブー、特にあの少女が放ったナガイ君すら避けることが出来なかった電撃対策になるのでは、そう期待させるアイテムだったのだ。


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