表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

アピールポイント:恥ずかしい台詞もためらわない

 担当官が訊ねた。

「えー、青年さんはその時必要ならば、聞いている方が思わず照れてしまう様な台詞で気持ちを伝える事もいとわないご性格。

 ちなみに、私の心を今、その世間では恥ずかしい台詞とされる言葉で動かす事は?」

 青年はきょとんとした顔で、つい言葉を漏らした。

「今、ですか?」

 担当官の表情が凍った。

「なっ……そのままお待ち下さい」


 別室で社内会議勃発。

 ややあって―

「本日はお疲れ様でした。結果は……」


 青年はお祈りをされた。




【未解決編】

 後日、青年は緊張しながら面接先へ駄目元で電話をかけた。今後の就活のヒントになる何かを掴みたかったのだ。

 しかし、悲しいかな、青年は訊ねてしまった。

「せめて落とされた理由を伺えませんか!?」

「内密に出来ますか? この会話も録音していますが」

「出来ます」

 こちらも録音中だが、仕方ない。青年は録音スイッチをオフにした。担当官が言う。

「えー、我が社では恥ずかしい台詞は大歓迎。契約相手である老若男女を見事に口説いて頂かなければなりません。

 定期的に社内でハート泥棒選手権大会を催し、上位入賞者に重要な取引を任せる事も率先して行っております。副産物として生まれてしまう関係も、それが禁じられた関係でしょうと大切に使わせて頂いております。

 しかし、あなたは最初に担当官である私の心を動かせなかった。

……利益をもたらすものは搾りかすになるまで使う。それが『会社』、『企業』というものでして……では、失礼致します」


 通話が切れた受話器を握り締め、這いつくばりながら、青年はうめいた。

「とっさに披露していたら搾りかすにされる所だった……!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ