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彼女の後ろ姿

僕は彼女の歩く後ろ姿が好きだった。

バランスが悪くて、今にも転びそうな歩き方が好きだった。

「変なこと言わないで。あたし、自分の歩き方大嫌い」

彼女がどう思っていても、僕は彼女の歩き方も彼女のことも、大好きだった。

彼女のことを話そう。身長は150cm、体重はとりあえず秘密にしておこう。だけどそんなに太ってはいなかった。


小学校から高校まで陸上に青春を捧げていたらしい。

「現役時代はジャージーのコレクションが30以上あったんだぜ」

なんて話してた。

鼻の穴をふがふがさせて、さもすごいだろうと言わんばかりだった。

「陸部はねージャージーの上着をズボンに入れるんだよ。それがかっこよかったんだから」

どうでもいい情報なんだけど、あまりにも真剣に話すから

「どうでもいい」

なんて言えなくて、真剣に聞いてたっけ。


だけど口で言うほど活躍はしていなくて、せいぜい県大会入賞止まりだったようだ。

趣味は履歴書なんかにはとりあえず読書って書くタイプ。

本当は一年に文庫本を一冊読み切れたら、奇跡みたいなやつなのに。

特技はジャンケン。

何の根拠があるのかは分からないけど、いつも自信満々だった。

実際に強いけど、始まる前の気合いのかけ声は、恥ずかしいからよそでは絶対やらないようにって約束させてたっけ。

「気合い入れないと勝率が悪い」

ぶーぶー言いつつも僕以外の人の前では絶対やらなかったから、案外自分でも分かってたんだよな。

恥ずかしいかけ声だって。


彼女は、元気だった。結構いつも笑ってた。だから僕はこうやって話せるんだ。

もっと知りたいと思ってくれるかな。

彼女のこと。

彼女との、ことを。

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